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×××SS_fgo(clap log.不夜城のキャスター)

fgo 不夜城のキャスター
真名に触れる描写、百合表現があります。
過去拍手お礼夢。

鼓膜を揺らす心地のよい声。時折、さらりと髪を撫でられくすぐったくて気持ちよくて軽く身じろぎしてしまう。
話は山場を向かえ、目を瞑ると瞼の裏に鮮明に情景が映っていた。

「――……こうして、この話は終わりです。いかがでしたか? マスター」

物語を語り聞かせてくれた不夜城のキャスターに視線を向け、すごく面白かった! と感想を伝える。良かった、と不夜城のキャスターは安堵の色を浮かべた。
ここ最近、眠る前に必ず不夜城のキャスターの物語を聞いている。不眠が続き、顔色が悪いと心配をしてくれた不夜城のキャスターに相談をしたことがきっかけだ。それなら役に立てるかもしれないと言われ、眠る前に物語を聞いたところ、ぐっすりと寝ることができた。
二、三日は安眠ができるようにと静かな話をしてくれたが、続きが気になるわくわくとするような話をリクエストしたところ、一日一話を約束に超大作の冒険譚を語り聞かせてくれた。今日はその冒険譚の最終話。海賊が主人公の話は第三特異点で出会ったフランシス・ドレイクを彷彿とさせた。
楽な体制で話を聞いていたため、寝転がっていたが上半身を起こす。ベッドの端に腰掛けている不夜城のキャスターにもう一度礼を言うと、マスターに喜んで頂けたのなら何よりです、と照れたように言った。

「マスター、最近はよく眠れていると聞きました」
「うんっ、キャスターのおかげでぐっすりと! でも、冒険譚の時は続きが気になりすぎてちょっと眠れなかったりもしたのだけど……」

後頭部を片手でかき、えへへっ、と笑う。けれども不夜城のキャスターはどこか暗い色をしていた。

「では、私のお役目はそろそろ終わり……ですね」

思わずぱちりと目を瞬き、えっ? と声を上げる。

「私が毎夜こうしてマスターの部屋を訪ねているのは、あなたが眠れる手伝いをする為……。ですが、もう安眠ができているのなら、役目を終えたも同然。ですので、」
「やだ」

言葉を遮り、不夜城のキャスターの手を取った。彼女が何を言おうとしていたのかを察し、ふるふると軽く頭を横に振るなり真剣な瞳を向ける。

「もし……もしもキャスターが迷惑でなければ、これからもあなたの語る物語を聞かせて欲しい。傍に居てほしいの」

最初は話を聞いたお陰でぐっすりと眠ることができていたと思っていたが、ここ数日共に居て気づいた。安心して寝ることが出来ていたのは、不夜城のキャスターが傍に居てくれたからだ。傍に居てくれるだけで安心する存在――それが不夜城のキャスターなのだ。不夜城のキャスターは一文字に唇を結んでいたものの、程なくして嬉しそうに微笑んだ。

「迷惑なはずがありません。あなたは私の理想の良き王――私こそ、貴女の傍でこれからも物語を語りたい……」

手を握り返すなり、良いでしょうか? と不夜城のキャスター。もちろん断る理由なんてない。指を絡めて応えるように握り返し、満面の笑みを浮かべた。

短夜に重ねて思うのは
(貴女は大きくて大切な、愛しい存在――)
愛子||180803(title=睡郷)

(2019/02/26/BACK)