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×××SS_fgo(clap log.アーサーオルタ)

fgo アーサーオルタ
2部メインストーリーネタバレ注意。
夢主はクリプター設定。
過去拍手お礼夢。

自分はこんなにも不器用だっただろうかと考える。出来上がったものを見て、あまりの酷さに思わず顔が引きつった。
8つ目の異聞帯(ロストベルト)は思ったよりも早くに完成し、クリプターである自分と唯一契約をしているサーヴァント、反転したアーサー王ことアーサー・ペンドラゴンと、この世界で召喚した円卓の騎士達とともに治めていた。時折反乱分子が現れるものの、その悉くアーサー達は踏み潰し蹂躙した。
そんな戦いばかりに明け暮れていた日々の中で、密かに作っていたものが、いま手に持って広げている虫食いにでもあったかのようなボロボロだるんとした毛糸の何か――否、頑張って編んだマフラーだ。
アーサーに見つからないように忍んで少しずつ、こつこつと作り上げたのは良い。自分でも評価したい。しかし、手に持っているこれは――……一体全体なんだろうかと問いたくなるほどだ。
アーサーに、日ごろの感謝をこめて何かを送りたいと考えたのはある戦いに赴いた時のことだ。外は白銀の世界に覆われているため、何か温かいものをと思い、コヤンスカヤに頼んで、材料と道具、そして初心者でも出来るように手本用の本を頼んだ。コヤンスカヤは冷やかしたりしてきたものの、しっかりと仕事をこなしてくれたのでそこだけは礼を言いたい。

「マフラー……とは、とても言えないよね……」

大きくため息を吐き、本当に何処をどう間違えたのだろうかと本を見直す。見直したところで何もならないし、一旦ほどいて作り直そうかと思った時だった。唐突に部屋の扉が開き、円卓の騎士たちと談笑していたはずのアーサーが共同部屋に戻ってきた。目が合った瞬間、咄嗟に後ろ手でマフラーもどきを隠すと、お帰りっ、と上ずった声で言う。行動があまりにも怪しかったのかアーサーは、むっ? と眉根を動かすと、つかつかと早足で傍へと歩み寄ってきた。

「今、何を隠した?」
「えっ? 別に何も……隠してなんていないけれどもっ!」

ぎこちない笑みを浮かべて答えるが、アーサーは顔を顰めたままだ。軽く息を吐くと、扉の前に、とアーサー。

「ベディヴィエール卿がプリンを持って来て待っているのだが――」

大好物の名前を聞き体がすぐさま反応する。瞳はキラキラと輝きを帯び、急いで扉の前で待っているであろうベディヴィエールのもとへ、手に持っているものもつい忘れてアーサーの傍を通り過ぎようとしたが、がしりと腕を捉まれた。振り返るとフッと微笑み、嘘に決まっているだろう、とアーサー。何だと!? と驚いたのも束の間で、あっ、と声を上げた。

「これは……?」

隠したかった例のものを奪い取られるや否や、アーサーは両手で広げる。ところどころに穴があき、ボロボロだるんとしたそれを見てアーサーは首をかしげた。

「雑巾……にしては、長すぎるし妙だな」
「……雑巾じゃないもん」
「ではあれか。貴様の私物の服か。毛糸のものは気をつけておけ、虫に食われやすい」
「……違います」

では何だ、と問われ、ぽつりとこぼすように正解を伝えた。

「マフラーだもん」

ぎょっとアーサーは目を丸くした。ふいと顔を背けむすっと両頬膨らませる。アーサーは広げているマフラーらしきものと彼女を交互に見やり唇を結ぶ。
二人を包む何ともいえない沈黙。しかし、それは程なくしてアーサーにより破られた。

「この、マフラー? を、どうするもりだった」

一呼吸空けてから、アーサーに、と続ける。

「アーサーに……いつも、お世話になっているから。何かプレゼントをしたくて、作ったの」

照れながらにそう結ぶと、そうか、とアーサーはこぼした。数秒と経たずに彼女の名前を呼ぶ。そむけていた顔を戻すなり目を瞬いた。

「似合うか? マスター」

手に持っていたマフラーもどきを首に巻き、アーサーは微笑んだ。えっと、と戸惑っていると、早くしろと急かされた。態度は悪いものの、けれども根本は優しい騎士王だと知っている。なぜ何も言わないのかと顔を覗き込もうとした時、アーサーに寄り添い、胸にそっと顔を押し当てた。

「似合ってる……ありがとう、アーサー」

ふっとアーサーは目を細める。そうか、と相槌を打つと優しく彼女の頭を撫でた。


愛を形にしたらきっとこんな感じなのだろう
(最果ての世界、今は優しくて愛しい君とふたりきり)
愛子||181103(title=茫洋)

(2019/07/22/BACK)