SS

×××SS_dia(成宮)

diaの成宮くん。
過去の拍手お礼夢。
成宮くん小4設定。夢主は成宮姉設定
連日続いていた雨も上がり、今日は朝から晴れていた。天気予報でも今日は晴天だと言っていたため、弟の鳴は野球の試合ができると大喜びで支度を済ませると、母と妹とともに怒りながらも意気揚々と出かけていった。
今日は家でごろごろすると決めていたらしい父が、お前は行かなくて良いのか、と長ソファの上にだらしなく寛ぎながらたずねてくる。休日になると必ず鳴に練習を観に来いと誘われ、母と一緒に欠かさずに行っていたが、今日くらいは自分の時間を有意義に過ごしたい。どうせ雨が降るから行かない、と根拠のない返事をし、父と同じくリビングに敷いてあるお気に入りの絨毯の上にごろりと寝転がった。鳴が出て行く時に怒っていた原因は、行かないと頑なに観戦を拒否したわたしにある。きっと帰ってくるなり鳴は吠えるに違いないが、その時は適当にあしらおうと思った。
時間は経ち、昼前になり父と何を食べるかという話をする。食べたいものが決まらず適当に外をぶらつこうかと話がまとまった時、外からザアッという、連日から聞きなれた音がした。まさかと思い腰を上げて閉めていたカーテンを開ける。すると、外は大雨が降っていた。父も驚き、あらー……、と声を上げる。程なくして父の携帯電話が着信音を奏でた。電話の相手は母からで、突然の雨の所為で練習が中止となったとのことだ。今は屋根のあるところで雨宿りをしているらしいだが、雨具を持っておらず、帰れない状況なのだそうだ。
電話を切ると父は重い腰を上げた。どうやら母達をむかえに行くらしい。お前も行くか? と問われ、断るという選択肢が見つからずこくりと頷き、用意をした。
出かける前にもう一度、外の様子を見ると雨は少し弱くなっていた。父は母と姉の分を、わたしは鳴の分の傘を持つと、ドアの鍵を閉めるなりさっそく目的地へと歩き始めた。随分と勢いよく降ったのか、アスファルトの道路にはところどころに水溜りができている。大きなものもあれば小さなものもあり、飛べるものは飛んで避けた。
しばらくして、母達が居るという河川敷の小さなグラウンドへと着いた。どこだろうかと目で探していると、高架下のところに多くの人が集まっていた。が、傍へ行こうとして思わず父と二人、足を止める。顔を見合わせ、あいつは何をやっているんだ、とアイコンタクト。再び視線を戻すなり小さく息を吐いた。
雨宿りをしている人が集まる高架下から一人、飛び出した者が居た。それは遠目からでもよく知っている人物で、マウンドのところまで走るとじっと佇む。そしてキッと空を睨んだ。高架下に居る母達がなにやら叫んでいるがお構いなしだ。

「何してるのよ、バカ鳴」

半ばあきれながら声をかけると、空を睨んでいた人物――弟の鳴はびしょ濡れ姿のままわたしを見るなり突然に走ってきた。そしてぎゅっとしがみつく様にして抱きついてくる。その瞬間、嗚呼まじかと思った。これでは一度、家に帰らなければご飯を食べに行くことはできないではないか。服がぬれていくのがわかり、なんともいえない表情で父の顔を見る。父は何も言わずにポンと肩を叩き、うんうんと頷いた。状況をすぐに察したのか、遠くで母が、何をやっているの馬鹿ー! と叫んでいる。文句を言ったってもう過ぎたことなのだから仕方がないわけで、深く息を吐いた。

「空睨んで何してたの、鳴?」

しかし、鳴は答えずぎゅうっと抱きつく腕の力を強くする。教えてくれないとわからないんだけど? と、少しやさしく問いかけると、一呼吸あけて鳴はぐずっと鼻をならし、ぐじゅっと顔を押し付けてくる。嗚呼まじか、鼻水もつけられた。

「せっかく試合ができるって思ったのに、雨がふってきて中止になった……」
「そっかぁ、中止になっちゃったのか。残念だったね」
「だから、雨のばかやろーっ! て言おうとおもってたの!」

わが弟はまったくもってなんと言えば良いのやら……思わず肩をすくめた。空に向かって文句を言ったところで雨が止むわけはないのだが、幼い鳴にはまだそれが無意味ということをわかっては居ないらしい。父に鳴の傘を預け、母達のところへ行ってくれと伝える。鳴のことをよく理解している父は、後は頼んだよ姉ちゃん、と残し母達のもとへと向かった。自身の傘を少し傾け、鳴に雨があたらないようにする。
ふと、天を仰ぐと厚い鈍色の雲の間から光が差し込んでいた。もうすぐ空は明けるだろう。鳴の名前を呼ぶと酷い顔のまま視線を上げてくる。

「来週は絶対に雨は降らないわ。試合、思う存分出来るはずよ。もし降ったら、お姉ちゃんが雨の神様を叱りに行ってあげる」

だから、と笑顔で先を繋ぐ。

「男の子なんだから、もう泣き止みなさい。あんたは、笑ってる方が格好良いんだから」

ぐしゃぐしゃと鳴の頭を撫で、わかった? と尋ねる。ぱちぱちと鳴は目を瞬いたがずずっと鼻水をすすると、程なくして満面の笑みを浮かべた。

不器用はご愛嬌
(この後、可愛い弟が傘をさした母にものすごく怒られたのは言うまでもなく、またその姿が愛おしいと思ってしまったわたしはダメな姉なんだろうな)
(title=星屑Splash!)

(2018/04/13/BACK)