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×××SS_fgo(clap log.アーサー)

fgo アーサー
過去拍手お礼夢
f/p&蒼銀ネタバレ表現有。苦手な方はご注意ください

不思議な夢を見た。断片的だがとても鮮明で、目まぐるしく世界は廻っていく。
最初は円卓の騎士たちとともに居た。けれども酷く暗いことが起こり、いつしか終焉をもたらす戦争が始まった。戦いの終わりは彼に似た誰かに剣で身体を貫かれ、槍で貫き返し、そして――静かな森の中で銀色の騎士に見守られながら瞼を閉じた。
次に見た映像は可愛らしい少女とともに現代によくにた時代を駆け抜けたこと。祖国の救済という願いを叶えるために、見覚えのある彼等とも刃さえも交えた。少女は願いを叶えてあげる、ととてもきれいに微笑んで言った。純粋な、真っ白な少女を信じた――が、恐ろしい結果を招いた。"自分(ぼく)"を救ってくれた子のために、最後の最後で、少女を背後から剣で刺し貫いた。
唐突に映像は変わる。
瞬きをするなり瞳に映ったのは、温かな少女の笑顔。先程見た少女とは違う、ぽかぽかと心が温かくなるものだ。少女の唇が動く。声は聞こえないが誰を呼んでるのかははっきりとわかった。
ふいに目が覚めた。呼吸を忘れていたのか息は詰まる。軽く深呼吸をし、ここはどこだったかと軽くあたりを見回す。マイルームだと頭で理解した刹那、ほっと安堵した。
酸素が十分にまわったからか視界は鮮明になる。すぐ傍に、唯一契約をしているサーヴァント――アーサー・ペンドラゴンの姿があった。一糸まとわぬ姿に数時間前の出来事を思い出す。いつもなら羞恥とかその他諸々のことで湯気が出そうなほどに顔は熱くなるのだが、先程の夢の所為でどうも気分は沈んでいた。
あれはきっと、自分を抱きしめたまま眠っている目の前のアーサーの記憶だ。深く結んだ縁により見た――否、見てしまった、アーサーが歩んできた道程。仲が深まった際にお互いのことを話したことがあった。その時に語ってくれたアーサーの話を思い出すと、夢の内容と合致する。
伝説として残っているアーサー王の栄光と最期。サーヴァントとして召喚されて挑んだ、ある平行世界での聖杯戦争――その結末。その世界で再び繰り広げられた聖杯を巡る戦い、そして――……。
ぽかぽかと温かな笑顔を浮かべていたのは、アーサーを救ったという少女に間違いないだろう。その子については、あまり詳しいことを教えてはくれなかった。アーサーにとってその少女は、いったいどんな感情を抱いた子だったのだろう。
考えれば考えるほど負の気持ちは募ってしまう。唐突に悲しくなり、そっとアーサーの胸に顔を押し当てた。

「随分と甘えん坊だね、マスター」

と、頭上から愛しい声が聞こえた。急いで顔をあげると、眠っていたはずのアーサーがぱちりと目を開けている。起きていたの!? と声を出せずに口ぱくでそう告げると、さっき起きたんだ、とアーサー。本当だろうかと疑いの目で軽く睨むも、夢のことを思い出し視線をそらした。

「アーサー、聞いても良い?」
「なんだい?」
「……わたしのこと、好き、ですか?」

突然すぎることはわかっていたが、聞かずには居れなかった。

「――好きだよ」

迷いなく、真っ直ぐな色でアーサーは応える。それじゃあ、と続けて尋ねた。

「愛して、くれていますか……?」

何かを感じ取ったのか、マスター? とアーサーは首をかしげる。何てことを聞いているのだろうと後悔するも後の祭りだ。目を伏せると程なくして、やさしくアーサーに抱きしめられた。

「何かあったのかい? それとも、怖い夢でも見たのかな」

どうしてわかってしまうのだろうと、驚きと嬉しさでぴくりと身体は反応する。話してごらん、とアーサーはぽんぽんとあやすように頭を撫でくれる。静かに深呼吸をし、気持ちを落ち着かせると、あのね、とゆっくりとだが夢の内容を話した。
断片的に綴られた、鮮明な夢(ものがたり)。語り終えてから何気なくアーサーを見ると、少しだけ寂しそうな表情を浮かべていた。やっぱり、アーサーは最後に出てきた子のことを今でも――そう考えると感情がこみ上げ知らずと涙の膜が張る。
アーサーは軽く息を吐いたかと思うと、マスター、と呼ぶ。ぱちりと瞬いた瞬間、すぐ近くにアーサーの顔があった。唇に柔らかな感触があったかと思うとすぐに離れる。

「君は今、彼女――僕の前のマスターである綾香のことを考えているね」

どうしてアーサーは心を読むのが得意なのだろう。図星をつかれ応えられずにいたが、アーサーは続ける。

「確かに、綾香は僕に光を与えてくれた。彼女を守る為に戦った。けれどもそれはきっと……否、彼女と結んだ絆のかたちは、"家族"というものに近いものだった」

だからね、と言うとアーサーはもう一度、触れるだけの口付けを落とした。

「こんな風にキスをするのも、こんなにも誰かを愛したのも――君だけだ。マスター」

一呼吸置いてから、本当……? とこぼす。

「こんなにも誰かに恋焦がれたのは、君が初めてだ。だからこの想いを大切にしたい。そしてこれからも、君に僕の気持ちを伝えていきたい」

これでは駄目かな? とアーサーは照れたように尋ねる。その瞳に、言葉に、偽りなんてものは感じない。一瞬にして不安は払拭され、悩んでいた自分が馬鹿らしく思えてしまう。
不思議と何だか笑えてきてしまい、ふっとふき出す。しばらく笑った後、吹っ切れたように笑顔する。感謝と好きという気持ちを込めて、触れるだけのキスをアーサーの唇に落とした。

濡れた心臓を抱き締める
(わたしも、誰かに恋焦がれたのはあなたが初めて)

愛子||180218(title=睡郷)

(2018/08/03/BACK)