SS
×××SS_fgo(clap log.立香+sn勢)
fgo 立香とsn勢過去拍手お礼夢
夢主は特殊設定。苦手な方はご注意ください。s/n→fgoな流れ
毎日の日課は身支度を終えると軽く魔術の訓練をし、その後に朝食と昼食用の弁当を作り、それを持って兄弟弟子である遠坂凛を起こすのと同時に食事を摂る為に遠坂邸へ向かうこと。今日もその日課通りに、いつもよりちょっと自信作の二人分のサンドウィッチと弁当を手に遠坂邸へ。屋敷にかけられている魔術を解き、何気ない顔で中へ入る。もちろん、お邪魔する前に魔術を元通りに復元するのを忘れない。
鼻歌まじりにリビングの扉を開けると、暖かい空気が肌に触れる。電気もついており、まさかあの凛がもう起きているのかと驚くも、リビングには誰も居ない。あれ? と長ソファに学校鞄を置き、サンドウィッチと弁当はテーブルの上へ。
紅茶を淹れてから屋敷の主を起こしに行くかと口の中でつぶやくと、ふわりと良い香りが鼻腔をくすぐった。これはちょっと良い茶葉の香りのやつ――と視線を動かした時、はたとティーセットをのせた盆を片手に持った褐色肌の青年が立っていた。目が合い、お互いにぱちりと瞬く。
誰だこの人、入る家を間違えてしまったのだろうか、等など疑問が渦を巻く。
「……お邪魔しました」
ぺこっと頭を下げて一度、リビングから出て行く。かちゃりと扉を閉め、ぐるりと辺りを見回した。見慣れた景色に、ここが遠坂邸であることを再確認する。今のは見間違いか何かだろうと息を吐き、再びリビングへ足を踏み入れた。
「帰ったのではなかったのかね?」
見間違いではなかったようだ。あの凛に先を越されてしまったという悲しみとおめでとうという祝いの気持ちがぐるぐると渦を巻き、よくわからない感情になる。しかもこんなにイケメンを掴むとは、凛ってばなんてもう……! と言葉が思いつかない程たくさん出てくる。
テーブルの上に置かれているものを見るなり、ふむ、と青年。その横に盆を置き、ラップをはずしてサンドウィッチをひとつ手に取った青年のもとへ足早に行くと、あいている手をとった。
「凛をっ、いえ。わたしの家族をよろしくお願いします!」
「――は?」
涙ながらにぶんぶんっと腕を振り、お願いしますーっ! と初対面の青年に伝える。青年はわけがわからないとでも言いたげに、尚且つ困った色を浮かべていたことにまったく気づかずに居た。
ほどなくして、起きてきた凛がリビングで繰り広げられている謎の光景を目に声を上げたのは言うまでもない。
その後――凛により誤解は解けた。青年は凛が聖杯戦争の為に召喚をしたサーヴァントであることを教えてもらったのだ。聖杯戦争は自分よりも才能のある凛が参加する、ということを昔から決めていた。けれどもまさか昨夜のうちに召喚をしているとは思わず、そこだけは凛を恨んだ。召喚をする時は絶対に呼んでねと言っていたのに……小言をこぼすと、悪かったってば、と凛なりに何度も謝ってくれた。
ついに始まった聖杯戦争。もちろん凛達に力を貸し、勝ち抜いて行く事を互いに誓う。
それからは色々とあった。凛と共闘することとなった、衛宮士郎とそのサーヴァントのセイバー。協力はしているものの、サーヴァントを召喚していない為に身の危険があるかもしれないとのことで、凛は別の意味でだが、衛宮邸へしばらく厄介になったこと。衛宮の料理の美味しさにすっかり胃袋を掴まれてしまったことは内緒である。
共に駆け抜けた日々、戦場。だが、最後の最後で凛達を助ける為に犯された聖杯に飲み込まれ――そして、肉体は消滅し、魂は過去の"自分"へと戻った。
声が聞こえ、突然差した光に手を伸ばす。誰かが呼んでいる、求めている――ならば応えてあげなくては名が廃る。光を掴むと勢いよく身体が引っ張り上げられた。
身体が温かいものに満たされていく感覚。ゆっくりと瞼を開けると、見慣れない青年と少女の姿。その後ろには覚えのある懐かしい人達。
「サーヴァント、キャスター。安倍晴明。召喚に応じ参上しました。……不束者だけど、よろしくね?」
とんっ、と地に足をつきにこりと微笑む。挨拶もそこそこに、召喚してくれたマスターの後ろに居る彼等に視線を向ける。驚いた色を浮かべている彼等に、挨拶がてらに一言。
「お邪魔しました?」
すると、ふっとふき出したのは赤い外套のアーチャー――否、エミヤで随分と様変わりしたじゃないかと言う。色々とあったのよ? と返すと、青いセイバー――アルトリア・ペンドラゴンは覚えのある魔力の感覚にハッと息を呑む。
「まさか、あのキャスターは……"彼女"なのですか!? アーチャーっ」
「ああ、"彼女"だ。魔力、魂の形――姿はやや違うが、間違いないだろう」
「ですが彼女は、聖杯に……」
取り込まれた、という言葉を濁しアルトリアはふいと目を伏せた。ふと、エミヤの隣に立っている少女に顔を向ける。
「凛……?」
「は? イシュタルだけど」
姿かたちは記憶にある凛だがどうやら違うらしい。詳しいことは君を召喚したマスターに聞くと言い、とエミヤ。とにかく、とマスターもとい藤丸立香はこほんと咳払いをした。
「カルデアへようこそ。召喚に応じてくれてありがとう、晴明。よろしくね」
肉体は消失し、何の悪戯かはわからないが、魂だけは破壊される前の聖杯に取り込まれ祖先である安倍晴明に宿った。またこうして、記憶は保持したまま新たな形で仲間と呼べる人達と戦い道を歩むことができる。こんなにも嬉しいことがあるだろうか。特殊なサーヴァントではあるが、今は持てる力を存分に振るおう。
そっと差し伸べられた手に、自然と表情は緩む。応えるように手を握りかえすと、ふわりと微笑んだ。
もしももしもがあるのなら
(今度は最後の最後まで、みんなとともに未来へ歩みたい)
愛子||180218(title=流星雨)
(2018/08/03/BACK)