(※原作捏造有。苦手な方はご注意ください)


とある日曜日。なまえは高島礼から直々にマネージメント業のいろはを学ぶため、中学校の地方野球大会を見に行くことになった。早朝、集合時間より早めに学校へ行き野球部のグラウンドを覗くとすでに自主的に練習が始まっており、軽くだがマネージャーとしての仕事をこなすことにした。まだ先輩である藤原貴子たちは来ておらず、一日抜ける分、少しでも楽になればと思ったのだ。
準備を終えた後も少し時間が残った。その為、選手たちに声をかけ一時的に練習を中断してもらう。選手たちに日用品で必要なものはないかと聞いて回り、要ると答えた者についてはその場でペンとメモ渡し書いてもらい、ついでにいくらかお金を受け取った。
時間になり集合場所へと行くと既に礼は居り、おはよう、となまえを見るなり挨拶する。おはようございますと返し、二人は早速、礼の車に乗り込み大会の会場へと向かった。エンジンがかかっていたからか、車内にはクーラーが良く効いており、てんごくぅー、となまえはこぼした。
道中、礼と他愛のない会話を交わし、時には笑顔があふれた。話の最中、なまえは今朝部員たちから受け取ったメモとお金を持ってきていた可愛らしいポチ袋の中に入れ、ペンで名前を書き個別に分けていく。

「高島先生、帰りにホームセンターに寄ってもらうことってできますか?」
「最初から寄らせるつもりだったんでしょう?」
「あ、バレてた」
「いいわよ、別に。むしろそのつもりだったから」

礼の返事を聞き、よかったとなまえは安堵の息を零す。礼はふっと微笑むと、流石だわ、と呟いた。

「えっ、何がですか?」
「そうやってよく気が回るところ。先生たちの間でも、みょうじさんはすごく出来た子だって有名なのよ」

突然褒められ、そんなことないですよっ、となまえは恥ずかしいのか言葉に詰まる。そんななまえとは裏腹に礼は紡ぐ。

「あの子達もみょうじさんが帰った後、ずっとあなたの話をしているのよ」
「えっ、ええ!? ど、どんな話をしているんですか……?」

恥ずかしさと、どんな話をされているのかという怖いもの見たさ――否、聞きたさが入り混じり、ポチ袋を鞄の中に仕舞いながら礼に尋ねる。信号機は赤になり、交差点の停止線の前に礼は車を止めた。

「落ち込んでいたら話をしっかり聞いてくれて励まされて元気が出た。怪我をしたらすぐに手当てをしてくれた。可愛い笑顔に疲れがふき飛んだ……とか、色々よ」

聞いていてむず痒くなってきたのか、なまえは顔を赤くし俯く。まだあるわよ、と礼は選手たちが話していたなまえの話を続ける。嬉しいのは山々だが恥ずかしさが増し、もう良いですっ、となまえはぶんぶんを胸の前で両手を振った。

「あ、それから……」
「で、ですからっ。もう良いですって高島先生っ!」
「御幸くんや倉持くんが、付き合うならあなたが良いって言ってたわ。その話に皆がのってきて、藤原さん達を抑えて、全員満場一致していたかしら」

信号機は青になり、礼は微笑みながらアクセルを踏む。なまえは頬を両手でそっと押さえると、随分と熱かった。

「もし私が男性なら、同じことを言ってるわ」
「た、高島先生までっ。もう……からかわないでください……」
「あら、からかってなんていないわよ? これは本心」

上目で礼を見ると、まっすぐと前を見ている礼の横顔はとても美しかった。きらきらとした太陽の光が更にその美しさを増す演出をしており、なまえは思わず見惚れた。憧れである礼から言われた言葉が脳裏でリピートされる。ふと礼は視線に気づいたのか、眼鏡のずれを人差し指でくいと直すと、ふわりと笑顔した。

「あなたは私の自慢の弟子であり、とても素晴らしいマネージャーよ。自信を持ちなさい」

頬から手を離し、なまえは小さく息を呑む。程なくして心の奥底から喜びがこみ上げたのか、はにかむなり元気良く頷いた。


愛しあなたに、幸あれ
「目指せ高島先生で、これからも精一杯精進しますっ!」
「ふふっ、嬉しいわ。頑張ってね、未来を担う敏腕マネージャー」

愛子||150617
(title=流星雨)
(※原作では礼ちゃんは公共の交通機関を使って移動をしていた描写が多くあったのですが是非車の免許と車持ちであってほしいという願望を込めて。車運転する女性は格好良い)