※注意※
・聖杯戦線「白天の城、黒夜の城」での夢話。
・突然はじまり、突然終わります。やまなしおちなし。
・台本形式で会話だけの話もあり。
・立香=ぐだ男設定。
・夢主は鯖設定。今回の聖杯戦線前に夢主がメインストーリーの特異点イベントがあり、なんやかんやあって霊基登録されて★4ルーラーとしてカルデアに召喚された仙人&太公望の後妻設定。夢主は太公望を「子牙」と呼びます。
・カルデアに召喚されたものの霊基が不安定で第二臨までしか成長できず、スキル2まで解放状態。霊基不安定の為、本領発揮は出来ず状態です。
・広い心で読んでくださると幸いです。


★プロローグ

今回の特異点は初めて夫婦揃っての調査・レイシフト。カルデアに召喚された恩を返す為、頑張らなくてはと意気込むなまえと、霊基が未だ不安定の為、内心出来る限りフォローしようかと悩みつつも一緒に調査出来ることが嬉しい太公望。
しかし、事態は急変する――。

太公望「四不象、僕のなまえとマスターを守れ!」
立香「っ、太公望!」
なまえ「子牙ッ!」
太公望「なまえ、しばらくの間、マスターと四不象を頼みます」
なまえ「っ……! ーーご武運を!」
太公望「(ふわっと笑う)」
なまえ「マスター、しっかり四不象に捕まって!(立香を守るようにぎゅっと抱きしめる)」
立香「っーー!?」


★プトレマイオスと立香、なまえと、新たに仲間に加わった杉谷善住坊が城攻めへ向かい、玉座に座る巨人を倒した後の話。
道術の気配を察知し、なまえが術を放ち相手を拘束。呼吸するかの如く、なまえの動きに併せて善住坊が窓に向かい狙撃、カラスーー否、霊符を射抜いた。そして、現れた姿に立香だけでなくなまえは目を丸くさせた。

「そちらに居るから、キミは僕の声に応えてくれなかった……と」

ダ・ヴィンチから、眼前にいる太公望はカルデアの太公望とは別人の、この特異点で召喚された彼だと断言される。なまえも、カルデアで共に過ごした彼ではないと瞬時に気づいており、軽く下唇を噛んだ。

「子ーー、"太公望殿"。貴方が北の城主、ということはわかりました。…幻体もそろそろ限界でしょう?」

なまえの言う通り、太公望の姿が揺らぐ。使い魔を射抜かれては幻体は維持できない。

「正しく争えるのであれば、私から言えることはただ一つだけ」
「…それは?」
「私が、貴方を倒します!」

太公望の表情は緩み笑みを称える。逆に驚いたのは立香で、えええっ!?と声をあげた。

「だ、大丈夫なのなまえ!?だってカルデアの太公望でないとしても、」
「ええ、大丈夫! 何十年と彼の傍に居たのですもの、得手不得手はばっちり把握済みです!」
「おお、それは頼もしいナ!」

えっへんと胸を張るなまえに、さすが嫁と頷く立香と、頼もしそうに頷くプトレマイオス。太公望は一瞬、優しい笑みを浮かべる。しかし、すぐにいつもの飄々とした態度へ戻った。

「では、"なまえ殿"。北の城で待っていますよ」

次に立香へ顔を向けると、自分と聖杯を争って欲しいと伝え、太公望ーー否、幻体は姿を消した。
なまえは何度か深呼吸をする。気持ちを切り替える為か、それとも何かを自分の中で捨て去るべきか、短い間で思案している様にも見える。ぱちんっと両手で頬を打つと、大丈夫、となまえは答えた。

「でも……実は城攻めとかは苦手だから、プトレマイオス殿と立香に頼りきりにはなると思うけれど…彼がどこで何を仕掛けてくるかはわかるから、任せて!」

いつもなら太公望のことを子牙と呼び慕うなまえだが、先程の太公望は「太公望殿」と呼び区別をしていた。「しばらくの間、マスターと四不象を頼む」となまえは任されている。その責を全うし、愛しいはずの彼を倒すと宣言し、カルデアの、立香をマスターとして立てる彼女の決意。それを受け入れるように、立香も強かに頷いた。


★北の城にて
封神演義鯖とコヤンスカヤの会話の中で、太公望はポツリと呟く。

「どれだけ長く修行をすれども、未熟は未熟。難しいものですね。それに、中央の城には探していたなまえの姿もありましたし…いやはや、どうしたものかな」
「ーーは?」
「なっーー」
「おや、言いませんでしたか? なまえの姿もあって、」
「なんで! なまえが! 向こうに! 居る!?」
「ほんと、なんでかなァ?」
「叶えたい願い、ある! だけど、なまえと戦うのは別!」
「戦うからには生前の縁は切り離さなばならんのだろうが…某は割り切れるつもりだが、息子達がどう応えるか。皆、なまえのことを好いておるしな」
「太公望は未熟! 哪吒は完璧! けど、なまえと戦う……ううっ」
「哪吒、今はとにかく門の修繕をしよう。丞相殿、相手になまえが居ても……この戦い、本気でやってかまわんのだな?」
「もちろんです、全力でどうぞ」
「そういうわけだ。行くぞ、哪吒」
「ううっ……なまえと戦う、ううっ……」

二人が去った後、再びコヤンスカヤが姿を表す。

「なまえさん、というのは、貴方の奥方……後妻にあたる方では?」
「ええ、僕の妻です。ただ、まあ、どうも此処では彼女に嫌われているようで」
「まあ、可哀想。ざまぁ。ところで、なまえさんとはどういうお人なんです?」
「彼女は……人も獣も、生きとし生けるもの全てを愛する純粋なひとですよ」

愛しそうに、けれども少し寂しそうな色でなまえを語る太公望に、コヤンスカヤは【痛ぶりがいのある玩具が来た】と密かに思った。


★封神の軍@-1
立香達が崖の上から城の裏手を攻めようとしている最中、プトレマイオスの策によりドレッドノートが城門へとやって来た。驚く太公望の目を更に丸くさせたのは、ドレッドノートの"上"に乗っている者の姿だった。プトレマイオスはとある提案をし、城攻めは苦手と語ったなまえはそれに乗り、ついでに単純ではあるが誰もが驚く策をひらめいた。

「きゃぁあ!? 思っていたよりも動きが早いし豪快だし振動が凄いのですけれどー!?」
「ハハハ! それはそうだろう! なんといっても吾達を苦しめたやつだからな! だが、そいつに乗って敵を錯乱させると言ったのは貴殿の策だ」
「型破りで絶対に彼にも見抜けないと思ったから提案したけれども、騎乗スキルが高くないと乗りこなすのむずーーひゃぁあ!?」←ドレッドノートが暴れまくる
「そちらは任せるぞ!」
「がんばりましゅ!(噛んだ)」
「……これは、よくないなァ!(色んな意味で)」
「っ、太公望殿! 久しぶりに! お相手! 願いま、きゃぁあ!? ちょっ、おねがい、私も出来る道士らしく喋らせひゃぁあー!?」←ドレッドノートに振り回される
「これはよくないなァ!」(本当に色んな意味で)

太公望vsドレッドノート&なまえの戦いが始まるーー!


★封神の軍@-2
ドレッドノートが暴れにあばれまくり城の内部、玉座の近くまで足を踏み入れた。眼前に立ちはだかる彼を前になまえもドレッドノートから降り、少しふらついた状態だが地に足をつける。互いに言葉は要らない。術と術をぶつけ合い、互いを語り合う。
なまえの宝具、霧露乾坤網むろけんこんもうの発動寸前、やはり術は太公望が一枚上手で阻止された。
挙げ句に、致命傷にはならずとも重い一撃を喰らう。ひゅっと息を呑んだ刹那、太公望は咄嗟に術でなまえを縛り上げた。同時にドレッドノートへ力押しにも似た強い一撃を与え、動きを止めさせた。

「あ゛っーー!?」

地に倒れたなまえを一瞥し、太公望は自嘲気味に息を吐く。

「やはり、僕は未熟ですね。どれだけ修行を積んでも、此度は敵だとわかっていても、こうしてキミを助けてしまう」
「っ……、ぅ、」
「なまえ、今からでも僕のもとに下りなさい。そうすれば、キミのマスターや彼のサーヴァント達も悪いようにはしません」
「……お断りします」

断るのは、もちろんわかっていた。だからふっと息を吐くと、別の術を口の中で紡ぐ。

「では、彼等が敗北するところを離れた場所から見ているように」
「なっーー! まだ私との決着はっ、」
「既に付いていますよ、優しいなまえ殿。キミ、手加減が下手くそなのに僕が相手だからと加減してたでしょう?」
「ーー(目そらし)」
「まァ、僕もかなり加減しましたが。本当、似たもの夫婦ですね、僕達は。聖杯戦線だというのに、互いに傷つけ合うのを心の中で拒んでいるのだから」
「……太公望殿、二つ、約束して」
「約束の内容によりますが…聞きましょう。なんです?」
「立香が勝ったら、助けてあげて」
「彼が勝てば考えておきましょう。もう一つは?」
「立香が勝ったら……どうしてコヤンスカヤを呼んだのかしっかり説明して(真顔)」
「考えておきます(目そらし)」
「説明して(真顔)」
「考えておきますそれではなまえ殿、しばらくは大人しく見学をしておくように!(術を使ってなまえを玉座から遠ざける)」
「せーつーめーいーしーなーさーいー、ぃーぃーぃー(こだま)」

太公望に安全圏内に囚われてしまったなまえ。
実はそのことを知るなり密かに舌打ちをしたのはコヤンスカヤだった。


★封神の軍A
テセウスとアステリオスの乱入により特異点で召喚された太公望は重症を負う。倒れたと同時になまえを縛っていた術は解けるも、アステリオスの宝具が発動し、立香を始めみな迷宮の中へと閉じ込められた。
太公望の術で聖杯戦線を眺めていることしかできなかったが、万が一の切り札として姿隠しの術を施された状態で傍に居た為、迷宮へ入ってもなまえはすぐ近くの彼へ駆けつけた。

「子牙ッ!」

悲痛な叫びとともに倒れた彼を抱き起す。
間一髪のところで変わり身の術を発動したものの、受けた傷は深く、霊基にまで達している。宝具である霧露乾坤網の力を転化し回復術を行使しようとした時、いりませんよ、と意識が戻った太公望に制された。

「でも……でもっ、」
「僕は、カルデアの僕ではない。この意味、敏いキミならわかるでしょう?」

涙を堪えようとするも叶わない。大粒の涙がなまえの頬を伝い落ち、傷ついた太公望を濡らす。温かい雨に、時には心を鬼にしなさい、と告げ身体を起こす。涙をこぼしながらもなまえは黙って支えてた。ぐるりと辺りを見回すと出口は無いが、太公望はゆっくりと歩き出す。なまえも、彼の歩幅に併せて歩を進める。

「そういえば、カルデアのマスターが勝ったらという約束、覚えています?」

こくりとなまえは頷く。太公望は正直に、コヤンスカヤ――否、なまえを愛する前に彼女・・に対して確かに抱いていた××が原因で呼んだ答えた。
だが、まさか応じてくれたのは顔がうり二つの別人で驚いたと紡ぎ咳き込む。呼吸を整え、なまえの名を呼ぶ。

「キミには、叶えたい願いはなかった…と?」
「……あったよ。ちょっと前までは」

願いはあった。
そう、確かに少し前までは。
なまえがサーヴァントとしてカルデアに霊基登録をされたのは特殊な経緯からだ。妲己により道ずれにされた前世。だけど、愛しい彼にもう一度逢いたいが為に、魂が封神台へ飛ぶ寸前に急ごしらえで施した輪廻転生術に何度も魂は生を流転した――獣の呪いと共に。何度も何度も流転し、迫害や差別等を受け、魂は心を閉ざした。代わりに呪いが力を得て顕現し、人理へ干渉する程の特異点を作り上げてしまった。
だが、その呪いを払い、魂を清め、そして――再び愛しい彼に逢わせてくれたカルデアのお陰で願いは既に叶えている。
こうしてサーヴァントしてカルデアに協力をしているのも、カルデアへの感謝と結んだ縁、そして自分を強く呼び寄せてくれた【太公望】の為だ。

「特異点であるなら別の私が召喚をされてもおかしくはなかったと思う。だけど、私はもう願いを叶えたから。だから、応えなかった」
「なるほど、ようやく腑に落ちました」

自分を愛してくれているはずの妻が召喚に応じなかった理由を聞きふっと表情を綻ばせ、歩を止めた。なまえも歩みを止め、迎えに来るのはちょっと遅かったけどね! と呪いの所為で魂の行方を探れなかった所為ではあったものの、カルデアの彼には言えなかった皮肉を笑顔で添えてやった。
瞬間、ぎゅっと強く身体を抱きしめられた。

「子、牙……?」
「……迎えに行くのが遅くなって、申し訳ない」
「っ。いいの、いいよ。再び貴方に逢えて、それだけで、私はもう、充分に幸せだものっ」

太公望の背に腕を回し、しっかりと抱きしめ返す。数秒にも満たない僅かな時でも、二人にとってはかけがえのない一瞬。カルデアの彼、特異点での彼、とはもう分け隔てない。
彼は、どこに居ても【彼】なのだから。
ふと、どこからか話声が聞こえてくる。声の主は――立香達だ。
太公望の顔を見上げると、行こう、と無言で告げている。腕を解き、再び身体を支え、二人は声の方へとゆっくりと歩を進めた。
この特異点について等をプトレマイオスが話す。しかし、それを遮ったのは太公望だった。

「その話は、僕も伺いたいですね」

ハッと息を呑む立香達の視線の先には、なまえと太公望の姿。立香の表情は明るくなるも、太公望が無事だったことには驚いた様子だった。ちょっとした軽口等を太公望とプトレマイオス。立香との仮契約も断り、再び言葉を交える。

「ぁ――、」
「……おっと、そろそろ維持が厳しいかな。無理にも限度があるようです」

まだ残っている力で自身の身体を支えているなまえの引き離し、立香達のもとへ飛ばす。杉谷が受け止め、自分の嫁に何してンだ! と怒るも、約束があるのでと太公望。

「"立香が勝ったら、助けてあげて"」
「もしかして、なまえがそれを?」
「ここまでの話のお礼と、妻との約束を守らねば、僕の名がすたるというものでしょう」

思想鍵紋を、起動する。
途中、立香達に助言をし、彼は託す。

「子牙っ!」

言の葉を紡ぐ太公望に、なまえはまたあふれ出て来た大粒の涙をこぼしつつも今できる最高の笑顔を見せた。

「――ありがとう!」

なまえ達が迷宮を出たのを崩れかけた霊基からだで感じる。
サーヴァントとなる前は、なまえの最期を見た。しかし、今回の特異点では最愛の妻の笑顔を見て別れを終えた。
悪くない、決して悪くない最期だった。
ふっ、と太公望も笑みをこぼし特異点から姿を消した――。


★再会
プトレマイオス言葉に、立香は令呪を使いもう一人の「プトレマイオス」を呼ぶ。
瞬間、グンッと身体が引き上げられる感覚。その場に居たなまえも、プトレマイオスも、杉谷善住坊もマスターである立香と共に強制的にレイシフトへ入る。
刹那、立香達を阻むように道が塞がれた――が、それはどこからか聞こえた声の主により破られた。

「必ず来ると思っていました。このときを待ちかねていましたとも――さあ。僕のなまえとマスターを、返していただきましょう……!」

紛れもない太公望の声だ。彼の術により立香達はもと来た場所に無事に戻って来れた。ちなみに出現座標からの立香の落下は、なまえと、その次に二人を受け止めたのは四不相だ。立香には、仕方ないから、という態度ではあったもののなまえにはドヤァッという雰囲気を出し早く褒めて欲しいといった風だ。

「子牙っ!」
「おかえりなさい、なまえ。本当、キミとマスター、二人とも無事で何よりです」

若いプトレマイオスと老いたプトレマイオス、そして杉谷も無事に合流したところで、立香に促され大事なことを太公望は話す。なまえが傍で支えた地上における最大の事業――封神計画。それと似たものをこの特異点では感じると言う。話を聞きなまえが相槌を打ちかけた時、太公望の霊基が限界を迎え始めた。なまえと立香を呼ぶための陣を半年もの間、一人で張っていたとさらっと言うのだから当然だろう。ひとりはちょっと寂しかったと言いかけて、なまえの前だからか咄嗟に口を噤んだ。

「カルデアへ戻る前に――なまえ、もう一度、マスターのことを頼みます」
「ぁ……、」
「先に言わないとキミ、僕を心配して一緒に帰って来そうだったので。頼りにしています、僕の愛しいひと

心の内を見透かされており、前に進み出た歩を下げた。本当なら、太公望の傍に居たい。だけど、託されたなら再び応えなければ。

「わかった。また後でね、子牙」

胸を張って頷く。太公望は笑って――そしてカルデアへ帰還した。彼の帰還を確認したカルデアでは回復ポッドに入れて措置を施してくれるようだ。

「大丈夫?」
「うん、大丈夫。後で帰ったら子牙にたくさん話をしなくちゃね」
「そうだね」

手加減をしつつ杉谷はなまえの背中を叩き、二人のプトレマイオスは喧嘩をしながらも互いに労い励ましの言葉をかけ、可愛らしい形態に戻っている四不相は自分を撫でて元気を出せとすり寄り、マスターであるは「引き続きよろしく!」とやる気を引き出す。
特異点の調査・修復作業は初めてのなまえだったが、立香と、そして仲間達のお陰で心に熱を取り戻し、共に最後の戦いへと赴いた――。


★終わり★

※力尽きたので補足を少し…。
・テュフォンから「太公望が封神計画を実行しなければなまえは死なず、妲己も殺さずに済んだ」と言われこれを否定する。封神計画があったからこそなまえは太公望の傍に居る事ができ、彼と夫婦になれたから。自身の死についてももう悔いは無いと語る。
・テュフォンエフェメロス戦ではなまえは忘れていた「怒り」を思い出し、霊基第三へ再臨可能へ。スキル3も解放し、思う存分力を振るえる状況になる(つまり聖杯戦線がぬるゲーになry)
・太公望(シャドウ)をテュフォンエフェメロスに召喚され更に怒りがMAXに。シャドウ戦は無双する。
・カルデア帰還後、なまえがめっちゃ太公望を甘やかしたのは言うまでもない…。

愛子||231126(title=水星)