食堂の前を通りかかると楽しそうな声が聞こえた。何気なく覗いて見ると、子ども達と自身のマスターであるみょうじなまえの姿があった。テーブルの上に何やら広げて作っているらしい。なまえと唯一契約をしているサーヴァント――アーサー・ペンドラゴンは何気なく食堂の中へ入る。声をかけると、なまえに続いて子ども達も反応し挨拶をしてくれた。
テーブルの上に広がっている紙に目を落とし、何をしているのかと尋ねる。すると、なまえではなく子ども達――否、ナーサリー・ライムとジャック・ザ・リッパーが答えた。

「いまね、お姉さんに折り紙をおしえてもらっているの」
「たくさん、いろんなものを折ってるんだよ」

要らなくなった書類の束を分けてもらい、暇つぶしに折り紙をはじめたのだが、これが子ども達に受けてプチブームになっているのだとなまえから補足を受ける。なるほどとアーサーは相槌を打つとなまえの隣の席に腰掛けた。いったいどんな物を折っているのかと問うと、前に座っている子ども達はにこりと笑う。

「ありす(わたし)はね、たくさんのハートやお星さまを作ったわ!」
「わたしたちは、おかあさんと、おねえさんの心臓!」

ナーサリーの手には少し歪な形のハートと星が、ジャックの手には心臓もといくしゃくしゃに丸まった紙。心臓と聞き、アーサーは思わず顔を引きつらせたがうまくできていると二人を褒めた。今はまだ真っ白でところどころ文字が写っている状態だが、これから色を塗り完成をさせるのだという。出来たらあげると言われ、アーサーは楽しみに待っていると伝えた。

「なまえは何を作ったんだい?」
「わたしはこれ。簡単なものしか作れなくて……」

そう言い見せてくれたのは、きれいに折られた花だった。今は外せない会議で居ない刑部姫にはかなり劣るが、がんばってみたとなまえ。ちなみにこれが完成版、と次いで色のついた花を見せてくれた。ピンク色の色鉛筆で塗られた、淡く可愛らしい花を受け取り、上手に出来ていると告げる。照れたように笑うなまえ髪に、アーサーは受け取った花を軽く挿した。唐突なことにきょとんとしているなまえに、アーサーはふわりと微笑む。

「とても似合ってる。綺麗だ、なまえ」

世辞でもなんでもなく、素直に思ったことを言葉にする。程なくして、なまえの頬は赤くなりぱくぱくと金魚が呼吸をするかのように口を動かした。突然、なまえが腕を伸ばしアーサーの両頬を手でぱちんと挟んだかと思うと、ぐいとある方向に向けられる。一呼吸あけずに、あっ、と声を上げたのはアーサーで苦い笑みを浮かべた。
アーサーの視線の先にはぽかんと口を開き、ぱちぱちと目を瞬いているナーサリーとジャックの姿。しかしすぐに、ナーサリーはきゃっと楽しそうに声を上げ、ジャックは無垢な色で言った。

「おねえさん、おにいさん。けっこんおめでとう!」
「ええ、ええ! おめでとうなのだわ! あっ。そうだわジャック! 二人でお姉さんとお兄さんを祝福する折り紙をたくさん折りましょう!」
「うん!!」

たくさんハートと星を、心臓を作るぞー! と意気込み始めた二人をもう止めることは出来ない。パッと手を離されなまえに目をやると、もうっ! と照れつつ、けれども嬉しそうに頭を抑えていた。
色々と突っ込むことや訂正するところはあるものの、二人の勢いは止めれそうにない。自ら撒いてしまった種にアーサーはただただ明るい笑みを浮かべることしかできなかった。


相思相愛の二人の色
(小さな祝福に恥かしさと嬉しさと、ありがとうを込めて)

愛子||180906(title=星屑Splash!)