なんだかんだあったプレゼント配布も無事に終わり、マイルームへ着くなりベッドの上に倒れこんだ。目を瞑ると心地の良いまどろみに落ちてしまいそうになる。まだシャワーも浴び終えてないのに、とおぼろげに考えている時だった。
突然、本来は聞こえないはずのバーンッという音とともにマイルームの扉が開いた。
「メリークリスマスだ、トナカイ2号!!」
「ひゃぁあっ!? サンタオルタさん!?」
部屋にやってきたのは先程まで一緒にプレゼント配りを行っていたサンタオルタこと、反転したアルトリア・ペンドラゴンのサンタver。ガバッと起き上がり、プレゼンと配りは終えたはずではと言うと、サンタオルタは頷く。
「ああ、良い子のプレゼント配りはな。だがもう一人、良い子が居るのを忘れるところだった」
そう言うと、サンタオルタはなまえの傍へとやって来た。
配り忘れがあった、ということはまたあの過酷なプレゼント配りに付き合わされるということなのだろうか。ということは、この後サンタオルタは同期の藤丸立香の部屋に特攻ならぬ訪問を行うつもりかもしれない。そうなれば、後輩のマシュ・キリエライトが可哀想な気がしないでもない。どうしよう……、と呟くと、何をぶつぶつと言っている? とサンタオルタ。胃腸あたりがキリキリしただけで特になんでもないです、と返した。
だが、何を勘違いしたのかサンタオルタはふわりと微笑む。
「私からプレゼントをもらえると想像をしてまるで子犬のように震えて喜ぶとは……可愛いやつだな」
全然違うんですけれども、とはなまえは言えなかった。無反応で居るのもお構いなしに、そういうわけで、とサンタオルタはサンタ袋の中からある物を取り出した。
「メリークリスマスだ、受け取れ」
「……えっ?」
差し出されたのは、ラッピングが施された真白い小さな箱。
「なんだ、その鳩が豆鉄砲を食らったような顔は」
「えっ、え。だ、だって。わたし、そんなプレゼントをもらえるようなことをしていないし……」
「何を言っている。お前も十分に働いた、トナカイ1号よりもな」
トナカイ1号こと立香が今頃くしゃみをしているとは露知らず、そんなことはないとなまえは否定する。立香の方がとてもがんばっていたし、なまえはただ同行し時折突っ込みを入れる程度だったにすぎない。たいしたことをしてはいないのに、プレゼントを受けるわけにはいかないと拒むと、カッとサンタオルタは目を見開いた。
「くどい。受け取れと言っている!!」
「はいッ、すみません!」
あまりの迫力にピシッと背を正してその場で正座をする。ふっと息を吐くと、サンタオルタはベッドの傍で片膝をついた。唐突のことに驚きなまえは目を丸くする。一体全体この状況は何だと、忙しなく瞬いていると、サンタオルタはなまえの左手をとった。
「サンタである前に、私は一人の騎士であり王だ。この意味はわかるな?」
いつの間にやら包装を解いた小箱から、サンタオルタはプレゼントの本体を取り出す。そしてそっと、なまえの薬指に取り出したそれをはめた。
「すべてが終わった暁には、貴様の未来を貰う」
上目でなまえを見据え、サンタオルタは紡ぐ。
「謂わばこれは先約であり聖夜に交わす絶対の誓いだ。これが、私からのプレゼントだ」
はめられた指輪とサンタオルタに交互に視線をやり、ポカンと口を開ける。左手薬指に輝くシルバーの指輪。そして、サンタオルタの強かな瞳。なまえの思考を停止させるには十分すぎる程だった。
「プレゼントは以上だ」
サンタオルタはすっと立ち上がり、扉に踵を返す。
「ではおやすみ、良い夢を見るが良い」
そう残して颯爽とサンタオルタはマイルームから出て行った。
サンタオルタの言葉を咀嚼する。そうして――理解した時には反応するには既に何もかもが遅いと気付き、同時に心臓は早く高く鳴り、頬に熱がのぼる。まるで湯気でも出ているのではないかと思うほどに熱く、咄嗟に両手で頬をおさえた。
愛し愛される覚悟
(サンタオルタさん、すごく、格好よかった……っ)
愛子||181217(title=空想アリア)