「おたくも猫派だったのには驚いたな」

隣を歩くアルヴィンがなまえに声かけてきた。先程、犬派か猫派かという話を皆でしたのだが、どうやらその続きらしい。そう? となまえは上目でアルヴィンを見るなり、首をかしげた。

「だって猫の方が断然可愛いじゃない」
「だよな。やっぱ、飼うなら猫だよな。実は俺たち、かなり気が合うんじゃね?」
「からかわないでよ」
「でも姉さん、もともとは犬派だったんだよね」
「ちょ、ちょっとジュード!」

二人の会話にジュードが加わる。そうだったのか、とアルヴィンは目を丸くする。

「本当は犬が好きだったんだけど、小さいとき犬に噛まれたのが原因で、姉さんは猫派になったんだよ」
「へぇー」
「けどさ、なまえさんが犬に噛まれたのはジュードが原因だったよね」

と、後ろを歩いていたレイアが加わる。

「僕じゃないよ! あれはレイアが原因でしょう!?」
「ジュードのせいだよ! ジュードがあの時、犬に触ろうと近づいたから……」
「違うよ! 姉さんが噛まれたのは、レイアが犬と遊ぶために木の棒を拾って、それを思い切り犬の顔にぶつけたからじゃないか!」
「ひっどーい! 私のせいにしないでよね!」
「レイアこそ! 僕のせいにしないでよ!!」

対峙するジュードとレイアを横目に、アルヴィンはやれやれと肩をすくめた。ちら、とアルヴィンはなまえに視線を向ける。すると、なまえは俯きふるふると体を揺らしていた。どうした? と声をかけようとした時、なまえはさっと顔をあげ、腕を組んだ。

「わたしが犬に噛まれたのは二人のせいよ!!」

と、声を大にして言った。ジュードとレイアは驚き、なまえを見るなり二、三度瞬きを繰り返すと、すみません、と頭を下げた。まったくもうっ、となまえは頬を膨らませる。くくくっ、とアルヴィンは小さく笑った。ギロリ、となまえはアルヴィンを睨む。

「何が可笑しいのかしら?」
「いや、別に」
「本当に?」
「本当だって」
「アルヴィンはウソツキだもの、信じられないわ」

フンッと顔を背けたなまえに、アルヴィンはへらりと笑いながら片手で頭をかく。

「けど、あれだな。何か一つ弱みを持ってる方が可愛いと思うぜ」
「そうね。普通の女の子なら、弱みのある方が可愛いと思うわ」
「俺の言ってる可愛いはおたくのことなんだけどな」

えっ、となまえは驚き、アルヴィンの顔を見る。そして数秒とかからず、頬を赤く染めた。馬鹿じゃないのっ、と照れながら言うと、アルヴィンは笑い、なまえの頭をくしゃくしゃと撫でた。

「冗談だよ」

と、アルヴィンは続ける。

「あ、良いこと思いついた」

なまえから手を離すなり、パチンと指を鳴らし言葉をつむぐ。

「犬よけとして、俺を傍に置かね?」
「け、結構よ!」

なまえはムスッと唇をとがらせ、ふいと目を逸らす。頬は、先程よりも赤く染まっていた。


まんまと引っ掛かったね
(あ、あれ? 姉さんとアルヴィンってこんなに仲良かったっけ……?)
(アルヴィンくんとなまえさん、なんか良い雰囲気! これは楽しみな予感だなぁっ!!)

愛子||120611
(title=好きになろうか)