絆創膏を顔に貼ってやると同時にペチンとその上を叩くと、情けない悲鳴が上がる。なまえはため息をつくと、手早く救急箱を片付け始めた。

「今回だけだからね、手当てしてあげるの」
「ってー……もうちょっと優しくしろよな。だからモテないんだって、」
「何か言った? ロナルド・ノックス」

ぎろりと睨んでやると、なーんにも、と顔のそこかしこに絆創膏を貼り目元にくっきりとした青あざを浮かべたロナルドは肩をすくめ片手をひらひらとさせる。なまえは本日二度目のため息をつくと、救急箱をもとの場所へと仕舞った。

「グレル先輩もすごい傷を負ってたけど……大変だったのね、今回の回収は」
「そりゃーもう。なんてったって、千人以上の魂の回収と同時に動く死体についても調べなきゃなんなかったし。おまけに害虫駆除までやったんだからさ」
「その害虫にコテンパンにされたのはどこの誰?」
「おまっ、それは言わないお約束だって」

くすくすと笑いながら近くにあった椅子を引き、ロナルドの隣に持ってくるとなまえは腰掛ける。ロナルドはむすっと頬を膨らませた。
辺りは先程から動く死体についてのことで随分と騒がしい。ロナルドも先輩であるグレルの後に上へ報告を行うこととなっていた。
拗ねるな拗ねるな、となまえはロナルドの頬を突く。すると、うるせー、と返された。

「……でも、無事に帰って来てくれて、本当によかった」

と、なまえは呟くように言う。ロナルドは、えっ、と驚いた。

「もし、もしも、何かあったらって考えたら……すごく、怖かった」

目を伏せ、膝の上でなまえは拳を作る。その手はもしものことを想像してしまったのか、小さく震えていた。ロナルドは何も言わず、そっとなまえの利き手を自身の手のひらで包む。視線を上げると同時に、ロナルドは力強く握った。

「大丈夫。俺、ちゃんとなまえのところに戻ってきたし」

こくりとなまえは頷く。ふっとロナルドは微笑むと、それから、と続ける。

「心配してくれて、ありがとな」

ふい、となまえはロナルドを見る。

「……お帰り、ロナルド」

一呼吸遅れてそう言うと、ふわりと笑みを浮かべた。


瞳の中のきみは頬を染める
「あー……本当、マジで、俺お前のことが好きだわー」
「え、今更それ言うの?」
「……確かに、今更だよな」
「ほんと、今更。――わたしだって、好きよ。ロナルド」
「っ、それ! 反っ則!」

愛子||140724(title=夜に融け出すキリン町)