自分の隣に立っている少女の頭を撫でながらシェンホアは言う。少女――なまえはにこりと笑うと、つたない英語で自己紹介をする。
「はじめまして、なまえです。よろしくお願いするます」
イエロー・フラッグで飲んでいるレヴィとロックはきょとんとし、シェンホアとその妹のなまえを交互に見やる。
髪はセミロングで、色はシェンホアと同じ艶やかな黒。大きな瞳に高い鼻、ぷっくりと柔らかそうなその唇はまるでさくらんぼのように愛らしい。白を貴重としたワンピースは、華奢ななまえの体にピッタリとフィットして可愛らしさをさらに強調している。ワンピースと同じ色のヒールをこつん、と小さく鳴らす。
ラム酒の入ったグラスをカウンターテーブルの上に置くなり、レヴィは呟くように言った。
「似ってねぇ……」
瞬間、シェンホアは太もものショルダーから小刀を二本抜き取ると、それをレヴィに向けて投げた。レヴィは間一髪でそれを避け、ロックは慌てて頭を抱えてその場にしゃがむ。
コメカミに青筋を浮かべると、レヴィは銃を一丁抜きシェンホアに銃口を向けた。シェンホアもどこからか刀を取り出す。バオが騒ぎを起こすなと声を上げる。
「やるか、このアバズレ」
「上等じゃねえか、ですだよ」
シェンホアとレヴィの目つきが変わる。今にも戦いが始まりそうだ。ロックは止めようとするが、それでも二人は武器を納めない。
「二人ともやめてよ! 武器をおさめてほしいでするよ!」
そんな二人の間に、なまえが割って入った。レヴィはどけ、と低い声音で指示するが、シェンホアは違った。なまえの言う通りに武器を仕舞い、何事も無かったかのように振舞う。
『ごめんね、なまえ』
中国語で謝ると、シェンホアはなまえを優しく抱きしめる。拍子抜けしたレヴィは顔を顰めながら銃を仕舞い、席に戻った。
「あの、シェンホアは何しにここに来たんだい?」
「ああ、そうでした。すっかり忘れるところだったね」
シェンホアはなまえを離し、本来の目的を思い出したのか、笑顔で話す。
「明日、なまえに観光案内してほしいですだよ」
「はあ!? んなもん、テメーがやりゃーいいだろっ」
「私が案内してやりたいのは山々よ。けど、どうしても抜けるれない仕事あるます」
「んじゃ他を当たれ。あたし等も暇じゃあねーんだ」
「それなりに報酬、出しまするよ」
「よし、いくらだ」
報酬、という言葉を聞くなりレヴィの態度がころりと変わる。おい、とロックは呆れた。シェンホアはなまえに聞こえないよう、耳元でぼそぼそと伝えると、レヴィの表情が明るくなった。
「しっかたねーなあ! レヴィ姉さんにどんっと任せろ!」
そう言うとなまえの傍に歩み寄り、とんっと胸を叩く。なまえはシェンホアとレヴィ、そしてロックを交互に見るなり、満面の笑みを浮かべた。
「はいっ、よろしくお願いしまするです!」
心臓も恋して脈打つ
「お二人さん、私の居ない間、なまえに変なことをするたら、尻の肉をそぎ落とすだけじゃすまないよ」
「う、うっせ! わ、わかってらっんなこと!(今の笑顔は反則だろっ、女のあたしでもなんかこう……きゅんってしたじゃねーかっ)」
「す、するわけないじゃないかっ。レヴィじゃあるまいしっ(うわっ、可愛い……)」
「おいロック、どういう意味だそれ」
「姐姐のお友達、とても面白い人たちでするね!」
愛子||180609(title=星屑Splash!)