店でドンパチ騒ぎがあった。事の発端はラグーン商会の2丁拳銃――レヴィが余所者に対してプツリと切れたせいで、おかげで見たくもない死体を3つも見る羽目となってしまった。今日はすこぶる機嫌が悪かったらしく、死体を生み出した張本人は頭を抱える日本人――ロックを無理やりに引っ張って店を出て行く。その後姿をため息混じりに見送りながら、マシンガンのように文句を言っているバオを横目に、なまえはあるところに電話をかけた。2コール程でかけた相手は出る。事情を話すと、すぐに行くと言い、電話を切った。
咄嗟に思いついた作業をしながら、しばらくバオの愚痴に付き合っていると、電話をした相手が店に来た。カウンターから出て傍に行く。

「こんにちは。昼間からごめんなさいね」
『気に……シて、ない。電話デ……言って、たノは……コレ?』

倒れている3つの死体を指さして、ソーヤーは器械声で言う。なまえはこくんとうなづいた。ソう、とソーヤーは相槌を打つと、さっそく仕事に取り掛かる。なまえはきびすを返し、カウンターの中に戻ると、準備していた物を手に取り、もう一度、ソーヤーのもとに向かった。その時、バオに呼び止められ、名刺サイズのカードを手渡される。以前、ソーヤーから手渡されたポイントカードだ。きっちりしているなあ、と苦笑しながら受け取る。
立っていた場所に戻ると、慣れているからか、すでに作業は終わりを迎えていた。後はクーラーボックスに死体を入れるだけらしい。
ねえ、となまえは声をかけた。ソーヤーは振り返りる。はい、となまえは手に持っていた物を差し出した。

「いつもありがとう」
『……カップ、ケーキ?』
「うん。口に合うかどうかわからないけれど……いつもお世話になっているから」

それからこれはバオさんから、とポイントカードを渡す。ソーヤーは手術用の手袋をはずすと、カードをすばやく手に取るとハンコを押し、なまえに返す。

『……アり、がトう』

カードを受け取ると同時に、ソーヤーはカップケーキの入った可愛らしいビニールを受け取った。まじまじとカップケーキを見つめるソーヤーに、なまえは微笑む。そんななまえに気づいたのか、ソーヤーもふっと笑みを浮かべた。なまえはさっと手で口を隠す。かわいいっ、と心の中でつぶやいた。ソーヤーは首をかしげる。

『ドうか……シた?』
「な、何でもないっ。なんでもないよっ」

慌ててごまかし、首を振る。そうだ、となまえはあることを思いつき、ソーヤーに話しかけた。

「この状況で言うべきことじゃあないけれども、もしよければ友達にならない?」

ソーヤーは、今度はきょとんとした。

「駄目……かしら?」

眉根を垂らすなまえに、ソーヤーは数十秒ほど考えた素振りを見せた後、ふるふると首を横に振った。そして、そっと手を差し出した。意図を読み取ったなまえは満面の笑みを浮かべ、ソーヤーの手をとった。

血みどろマーガレット
「ありがとう! えっと……ソーヤー!」
『エえ……ヨろしク、なまえ』
「うんっ。よろしく!」

愛子||180609(title=ko-ko)