咄嗟に思いついた作業をしながら、しばらくバオの愚痴に付き合っていると、電話をした相手が店に来た。カウンターから出て傍に行く。
「こんにちは。昼間からごめんなさいね」
『気に……シて、ない。電話デ……言って、たノは……コレ?』
倒れている3つの死体を指さして、ソーヤーは器械声で言う。なまえはこくんとうなづいた。ソう、とソーヤーは相槌を打つと、さっそく仕事に取り掛かる。なまえはきびすを返し、カウンターの中に戻ると、準備していた物を手に取り、もう一度、ソーヤーのもとに向かった。その時、バオに呼び止められ、名刺サイズのカードを手渡される。以前、ソーヤーから手渡されたポイントカードだ。きっちりしているなあ、と苦笑しながら受け取る。
立っていた場所に戻ると、慣れているからか、すでに作業は終わりを迎えていた。後はクーラーボックスに死体を入れるだけらしい。
ねえ、となまえは声をかけた。ソーヤーは振り返りる。はい、となまえは手に持っていた物を差し出した。
「いつもありがとう」
『……カップ、ケーキ?』
「うん。口に合うかどうかわからないけれど……いつもお世話になっているから」
それからこれはバオさんから、とポイントカードを渡す。ソーヤーは手術用の手袋をはずすと、カードをすばやく手に取るとハンコを押し、なまえに返す。
『……アり、がトう』
カードを受け取ると同時に、ソーヤーはカップケーキの入った可愛らしいビニールを受け取った。まじまじとカップケーキを見つめるソーヤーに、なまえは微笑む。そんななまえに気づいたのか、ソーヤーもふっと笑みを浮かべた。なまえはさっと手で口を隠す。かわいいっ、と心の中でつぶやいた。ソーヤーは首をかしげる。
『ドうか……シた?』
「な、何でもないっ。なんでもないよっ」
慌ててごまかし、首を振る。そうだ、となまえはあることを思いつき、ソーヤーに話しかけた。
「この状況で言うべきことじゃあないけれども、もしよければ友達にならない?」
ソーヤーは、今度はきょとんとした。
「駄目……かしら?」
眉根を垂らすなまえに、ソーヤーは数十秒ほど考えた素振りを見せた後、ふるふると首を横に振った。そして、そっと手を差し出した。意図を読み取ったなまえは満面の笑みを浮かべ、ソーヤーの手をとった。
血みどろマーガレット
「ありがとう! えっと……ソーヤー!」
『エえ……ヨろしク、なまえ』
「うんっ。よろしく!」
愛子||180609(title=ko-ko)