部活中、なまえと雷市をのぞく部員達と轟は部室に集まっていた。その中にはなまえの親友の姿もあり、随分と楽しそうにしていた。なまえは切れた麦茶のパックを買いに近所のスーパーへ、雷市には下半身強化の為、学校の周りを走らせている。
もうすぐ2月26日――なまえと雷市の誕生日だ。轟の提案により、二人に内緒で誕生日パーティーを開こうという企画を練ることとなった。初めは轟と部員達だけでと考えていたのだが、なまえの欲しがる物がわからず、悩んだ結果、親友に協力を仰ぐことにした。もちろん親友は快く受け入れ今に至る。
具体的に内容はかたまり、次に二人のプレゼントについての話し合いが施された。雷市にはいつもよりも高級なバナナと肉を当日に購入しプレゼントする予定だが、問題はなまえだ。なまえは自身のことを親しい人にすらあまり語らない。どうしたものかと考えていると、そういえば、と真田は結んでいた唇を開いた。
「これ、本当は内緒にしとかないといけないことなんですけど……次の日曜日、俺、なまえと駅近にあるショッピングモールに行く約束をしてるんですよね」
デートか!? と咄嗟に顔色を変え問い詰めてきた轟に、違いますよと真田は苦笑した。雷市の誕生日プレゼントを買いに行くのを手伝って欲しいと、今日の昼休みにこっそり頼まれたのだと言う。自分のことよりも家族のことを優先するなまえにらしさを感じ、断れなかったのだと真田は結んだ。話を聞いていた親友はふむと唸ると、小さく挙手した。
「なまえのことだから、買い物は夕方までに終わらせて家に帰ると思うんですよね」
だから、と親友は紡ぐ。
「夕方に、あたしと下睫毛くんがショッピングモールへ行って、なまえのプレゼントをなまえパパの代わりに買ってきます」
「はあ!? なんで俺!?」
「飾りつけとかのものも100円ショップで買いたいし、荷物持ちが必要なんだもん」
「だからってなんで俺なんだよ!」
良いじゃない、良くない、と言い合う二人に轟は面倒臭くなったのか、二人で行けと命じた。三島は嫌がったが、親友は密かにガッツポーズをする。ありがとうなまえパパ、と心の中で感謝を伝えた。親友は真田に向き直り先輩と声をかける。
「なまえは気に入った物を見つけたらその商品の前からちょっとの間、動きません」
なるほど、と真田は軽く手を打った。なまえの気に入った物がわかれば、目を盗んで三島にメールで報告をすることになった。
話は大方まとまった。
サプライズ誕生日パーティーの場所は轟家。部活を早めに切り上げ、二人にはサプライズはないと思い込ませる。その為に、家から少し遠い場所にあるケーキ屋に轟が予約をする誕生日ケーキを二人で取りに行かせる。雷市へのプレゼントは高級バナナと肉。なまえへのプレゼントは次の日曜日に真田が調べ、わかり次第、入れ違いにショッピングモールへ行く親友と三島に報告をする。その際、出来れば予算は二人合わせて2万円くらいまででと轟からのお願いがあった。飾り代やその他費用も出すと胸を張ったが、これくらいの予算でと轟は部員達に頼んだ。ですよね、と部員達や親友はわかっていた為、うんうん、と頷いた。
「それじゃあ、二人を驚かせるために皆で頑張りますか」
「頼んだぜ、テメェ等!」
真田の言葉に続き轟はいつもの調子で言う。轟親子には感謝しても仕切れない恩がある。部員達は声を揃え返事をした。親友はそんな部員達と轟を見回し、嬉しそうに微笑んだ。
愛子||160220