待ちに待ったこの日が来たとみょうじなまえは思った。新しい制服に身を包み、今日から三年間通う学校の門をくぐる。幸い、小学校の頃からの親友も同じ学校に入学をし、運の良いことに同じクラスとなった。入学式を終え、クラスメイト達と一年間世話になる教室へと向かう。事前に配られていた座席表をもとに席へ座ると、担任となった教師の挨拶が始まった。挨拶もそこそこに、まだ時間もあるとのことで次はクラスメイト一人ひとりの自己紹介へと移った。順番がくるなり一人ずつ席を立ち名前と、あるものは希望する部活、そして一言コメントを添える。
体の大きなクラスメイトが席を立ち、名前を言った後、希望する部活は野球部でエースと4番の両方を手に入れるつもりだと声を大にして宣言をした。
野球という単語を聞くと家族のことを思い出しなまえは胸は鳴らした。野球のことは好きだが、それは大好きだった家族を壊した原因でもある。憎いはずなのに、それでも憎みきれずに居るどこか愛しい不思議な存在になまえは小さく息を吐いた。
ふと、音が戻りどこまで自己紹介は進んだのかと思ったと同時に担任に名前を呼ばれた。一呼吸遅れて返事をし、なまえはあわてて席を立つ。適当に済まそうと考え名前を告げた瞬間、ガタンッと近くの席に座っていた男子生徒が勢いよく腰を上げた。
なまえを含め、クラスメイトと担任は驚き音のした方を見る。どうも見覚えのある姿に、あれっ、となまえは思った。男子生徒は目を丸くし、じっとなまえに視線を向けていた。先程、自己紹介を終えた体の大きなクラスメイト――三島優太が、どうした雷市? と自席から男子生徒に声をかける。
名前を聞くなりその姿はぼんやりと残っている面影と一致し、なまえはまさかと無意識に男子生徒を指さした。男子生徒も同様に口をぱくぱくと動かしながらなまえを指さす。

「雷市!?」
「なまえ姉ちゃん!?」

声をそろえてお互いの名前を呼んだ。クラスメイトはなまえと男子生徒――轟雷市を交互に見やり、二人はいったいどういった関係なのだろうと頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。

「雷市、あいつと知り合いなのか?」

疑問を浮かべている全員を代表するかのように三島が雷市に問いかける。雷市は驚き顔のままゆっくりと頷いた。

「苗字は違うけど……間違いない。俺の、双子の姉ちゃんだ」

シンッと静まり返った教室は、数秒と経たずクラスメイトと担任の驚きの声で包まれた。なんてこと、となまえは片手で頭を抑える。幼い頃に別れて以来、会っていない実の弟と学校で、しかも再会した場所が同じクラスとは夢にも思わなかった。
この先、一波乱どころでは済まなさそうな何かが起こるのではと考えるだけで、なまえは激しい頭痛に襲われたような気がした。

151115||愛子