昨日はもう本当に本当だった(?)

ホリデー中に実家でごたごたがあって招待を貰っていたカリムくんの実家での宴に参加することが出来ずに、寮長である大大大好きなヴィルの映画の撮影の見学にも行けず。


ごたごたもなかなか片付かずホリデーが開けても週末は実家に帰って血縁者同士の争いを諌めることに奔走をしていて。


最終的には全員オーバーブロット寸前までの魔法戦争に発展し、気づいた政府が仲介に入ってとても穏便とは言えない会議へと形を治めてやっと帰ってこられたところだった。


日頃からヴィルのご寵愛をいただいていたおかげで魔法のコントロールだけでなく精度もかなりあがっていてかすり傷ひとつつけずに帰ってくることが出来たものの、1週間近くまともに食べることも寝ることも入浴することも出来ず戦い続けていたから美しい紫色を称えていた魔法石はどす黒く変色しクマにススにぼろぼろの衣服。


なんとかヴィルに見つからないようにこそこそと部屋に戻ろうと寮の扉を開けた瞬間仁王立ちしていたヴィルがそこに居た。ああ、麗しの女王陛下。怒った顔も一段と美しいです。


そりゃそうだよね、週末から1週間以上帰ってこない寮生がいたら気づきますよね。そんなことにも頭が回らないほど疲弊していたことにも気づかず、ああ、ヴィルだ、やっと会えたと思ってしまったあとはほぼ記憶がなく、視界がぐらりと揺れてなにやら怒号を浴びせられながらヴィルにお風呂やらお手入れをされたのまではぼんやり覚えてる。



やっと視界がクリアになったと思えば、潰れそうな程に私を抱きしめるヴィルが居た。安心する、すごくいい香り。私よりもずっと白くて透き通った肌がすぐ目の前にある。やわらかくて艶やかでよく手入れのされた髪の毛に手を伸ばしてくしゃくしゃと髪を撫でるとばっとヴィルが顔を上げて安堵の表情を見せた。



「……あんまり心配かけさせないでちょうだい」



こくんと頷き珍しく弱っている彼を引き寄せてちゅっと口付ける。話を聞けば寮の扉を開けた途端にへらっと笑ったと思えばその場に倒れ込んで起き上がらなかったらしい。とりあえずとんでもない事になってるからヴィルの部屋に運んで一通り綺麗にしてからと思ってたら目を覚ました、と。もう二度と目を覚まさないかと思うほど動かなかった、とも。



心配をかけた申し訳なさと、こんなに心配をしてくれる嬉しさとで胸がいっぱいなり、ごめんね、愛してるよヴィルと呟けば悪いと思うなら早く元気になりなさいと目尻をつり上げる。



「さあ、ところで」

「??」

「失った魔力は誰が補填するのかしら」

「……あ」

「随分派手にやらかしてくれたみたいね」



これで回復できる自分に感謝なさい、と凄まれればピクリとも動けなくなる。



「そりゃそうだけど、今ですか、ヴィル、げんきになってからでもいいのでは、ねえ、」

「二度と同じこと起こす気がないように教えこまないといけなくなったの」

「いや、ほら、もう起き上がれないし」

「随分好都合ね」

「こんな夜遅くに!お肌に悪い!」

「ストレスも良くないのよ」



勉強不足ね、教えたはずよと顎を掴まれればそこから先の反抗なんて許されるはずもなく頭が馬鹿になるんじゃないかと言うほど教えこまれれば何度も気絶して何度も起こされてようやく開放される時にはほかの寮生が起きてくるような時間だった。

疲れて眠るヴィルを他所に致せば致すほど回復していく私は窓から差し込む光を浴びて軽い体にびっくりしつつ布団の中のヴィルの腕の中へ戻る。



もう二度と戦争なんて起こさせるか。


世界でいちばん美しい寝顔を見ながら色んな意味で固く誓った。