酔っ払いの秘密


「たーらい…」

ガタンと音と共に玄関で盛大に転ぶ靖友を見て、思わず笑ってしまう。

「おかえり。大丈夫?」

靖友の顔を覗き込みながら聞くと

「名前チャァン。スネぶつけて痛いヨォ。」

そう言って私に抱きつき、肩に頭をグリグリと押しつけてくる。
酔っ払った靖友は、デレデレの甘えたチャンになるので、私にとっては楽しい時間だ。

「痛かったねぇ、よしよし。」

頭を撫でてあげると、とても嬉しそうな顔をして何度も可愛いキスをしてくる。普段は絶対にこんな事してこないのに。

「ほら、とりあえず部屋入って着替えよ。」
「んー、もぉちょっとだけェー。」

そう言って押し倒そうとする靖友に抵抗し、なんとか引きずりながらリビングまできた。途中、靖友を壁やドアにぶつけ、痛い痛いと言っていたが、それは聞かなかった事にしよう。

「ほら、服脱がすよ。」
「名前チャン積極的ィ。」

抱きつかれながら、やっとの事で服を脱がせ

「お風呂は朝でいいよね?」
「ンー。」
「ホラ、これ着て。」

パジャマのスウェットを渡す。

「イラナァーイ。」
「風邪引くから。」
「ハーイ、名前チャンバンザーイ!」

これも酔った時のいつもの事。

「もぉ、靖友ったらぁ。それはベッドでね。」

なんて可愛く言ってみれば、さらに靖友はデレデレになる。私の腕を引っ張り、ベッドへとダイブする。

「名前、大好きィ。」

そう言って、私に覆い被さる。
思わぬサービスありがとう。
でもね。1、2、3、4、5。

「スースー…。」

これもいつもの事。

「ふふっ、お疲れ様。おやすみ。」

そっとベッドから抜けて、毛布をかけた。






「……ハヨォ。」
「おはよ。」

二日酔いなのかしかめっ面の靖友が起きてきた。私がクスクスと笑っていると

「…ンダヨ。」
「凄い顔だよ。お風呂入ってきたら?」
「アー、そーする。」

リビングを出ようとしたところで、靖友が足を止めた。

「昨日ォ……。」

記憶がないのもいつもの事。そんなに飲んでもちゃんと帰ってきてくれるからホッとする。

「大丈夫、ちゃんと一人で帰ってきて、いつも通り悪態ついて寝たよ。」
「ハッ!悪態なんてつかねェよ。」

そう言ってリビングを出た。

酔っ払い靖友がデレデレの甘えたチャンになる事は、私の楽しみなのだから絶対に教えてあげない。




2019.11.12




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