意識しろ
「荒北って好きな子いんの?」
「………ハァ?」
またくだらない事聞いてきたというような顔してるなと名前は思った。
「いや、荒北って、彼女出来たらどうなんのかなって思って。」
「ンだ?それ。」
「普段目つきも悪いし、口も悪いからさぁ。」
「オメー、ディスってんのォ?」
「違うって。素朴な疑問。」
「そう言うオメーはどうなんだよ。」
「私は彼氏に尽くすよ。…まぁ、彼氏いた事ないけど。」
「アー、知ってるゥ。」
隣の席の荒北と話していると、新開が面白そうな顔をしてやってきた。
「なになに、靖友、恋バナか?」
「ちげェよ。」
「荒北って、彼女出来たらどうなんのかなと思って。新開は、なんとなく想像出来るんだけど。」
「俺か?どんな感じなんだ?」
優しくてべったりで甘々な感じと言うと、新開は笑った。
「荒北が甘い言葉とか想像出来ない。ってか、想像しようとすると鳥肌が…。」
「オイ。」
「でももしかすっと、すっごいデレるかもしれないぞ。」
「えー、どんな感じ?」
新開はうーんと少し考えてから名前の手を握った。
「おめさんは俺の太陽だ。とか?」
「プッ、あっははははは!」
笑う2人を荒北は呆れた顔で見ている。
「ないないない、荒北そんな事絶対言わないよ!」
「チッ。」
時計を見れば、あと5分で休み時間が終わってしまう。
「あっ、トイレ行きたかったんだ。」
名前は席を立ったところで、ギュッと荒北に手を握られた。
「名前、オレから離れてくんじゃねェよ。」
驚きと同時に、名前の顔が真っ赤に染まった。それを見た荒北はパッと手を離し、名前と同じように顔を赤くしている。
「バッ!オメー顔赤くしてんじゃねーよ!冗談だっつーの!」
「知ってるよ!荒北だって顔赤いじゃん!」
「ヒュウ!」
名前は慌てて教室を出て、トイレに向かった。
「やばいやばいやばい、何いまの。いきなりすぎて、荒北相手に思わずときめいちゃったじゃん。」
トイレの鏡前に立つと、真っ赤に染まり少しだけにやけている自分の顔を見て、名前はこんな顔では教室に戻れないと思った。
「やるな、靖友。」
「ハッ、ったくバカにしやがって。これで少しは意識すんダロ。」
「ヒュウ!」
2020.8.25