幸福を抱きしめて 01



※モブ友達が出ます。名前は「星子」固定※








「はー、やっぱり行くの断ろうかなぁ・・」

ベッドに寝転んだまま見つめる先のスマホには『キメツ小学校同窓会グループ』の文字。
再度グループを開けば、やっぱりあの人の『出席する』の文字を見つめて、名前は何度目かのため息をついた。

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事の始まりは数日前に届いた小学校のクラスメイトの星子からの連絡だった。
小学校の同窓会をやるから参加しないか、とのお誘いだった。
名前は小学校を卒業のタイミングで引っ越しした為、小学校の同級生とは違う中学に通う事となり卒業以来会っていない。
当時は携帯なんて持っていなかったので連絡手段もなく、同級生達との交流はほぼ途絶えてしまった。
仲の良かった星子とだって、本当に何の巡り合わせか半年ほど前に偶々駅前でばったりと再開したのだ。
そこで連絡先を交わし、お互い遊ぼうねと約束をして連絡を取り合っていた。
そんな中、星子からの誘い。
星子自身も幹事として参加予定なので、是非きてほしいとのラインをみて名前は迷った。

星子とも偶然の再会から遊べていない。
他の同級生にも10年ぶりくらいで会ってみたい好奇心もある。
顔と名前はなかなか一致しないかもしれないが。
でも、他のみんなは中学や高校まで一緒だっただろうから自分なんかが参加して場違いじゃないかと気が引ける。
そんな名前の気持ちを察してか、星子からは参加してほしいとの怒涛のようなラインが毎日届き、最終的に「私が必ず隣に座るから」との約束を取り付け、参加することを決めたのだった。

同窓会用のグループに招待するね、と星子に誘われるがまま参加した。
久々に見る名前が並んでいるが、ぼんやりとした記憶ではいまいち顔が思い浮かばす、名前は卒業アルバムを引っ張り出した。
グループの名前と、アルバムの顔を合わせていると、段々と懐かしい思い出が甦ってきた。
『あれからもう10年くらい経つんだ』
大学生になった名前には小学生の頃なんて遠い昔のように思える。
でも一気に引き出された小学校の思い出はどれも鮮やかで、当時の香りや暖かさまで引き連れて思い起こされるから不思議だ。
少し気持ちが浮ついて来たその流れで名前はグループに『出席します』との返信をしたのだった。

しばらくはたわいもないグループの会話が流れていたが、ある人のグループ参加で名前の顔が一気に険しくなった。
グループには「不死川 実弥」の文字。
『・・実くんも参加するんだ・・・』
その名前だけで名前の心拍数は一気にあがる。
不死川元気ー?、今どこ住んでんの?、等、実弥を歓迎するような会話が流れた後、実弥も同窓会に参加すると返信して来たのだった。
名前は浮ついた気持ちが一気に不安に変わるのを感じた。
何故なら実弥は名前が小学校の同級生で唯一会いたくない人物だったからだ。

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小学校の頃、実弥とは家も近く1年からずっと同じクラスで個人的にはすごく仲の良かったクラスメイトの1人だった。
実くん、実くんと、低学年の頃は長男で兄弟の多い実弥を頼って、いつも実弥の後を付いてまわっていた気がする。
それに実弥も名前の事を嫌がらずによく面倒みてくれていた。
実弥は勉強も出来たし、何よりスポーツがずば抜けて得意だった。
何の競技でもさらりとこなしてしまう姿に当時、実弥の事が好きだという女の子も多かった。
それに何を隠そう名前の初恋も実弥だった。
いつもクラスの中心で笑っていて、運動ができる小学生がモテないわけがない。
幼なじみの様に過ごして来たことや、実くんとあだ名で呼んでいることは名前の小さな自慢だった。

それが高学年になってきた頃からだろうか。
あからさまに避けられる様になった。
朝一緒に登校していたのは断られ、学校で話しかけようものなら目を合わせてくれない。
露骨に無視される様なこともあった。

そして名前からも実弥を避ける様になったきっかけが実弥が友達と会話しているのをたまたま聞いてしまった事だった。
前後の会話は覚えていないが、教室を通りかかった際に男子数名が女の子の事を話しているなと思っていた。
入りづらくて、教室のドアの影に立ちすくむ。

「じゃぁさー、付き合うなら苗字は?どう思ってんの?」

「苗字は不死川とも仲良いし、何より可愛くね?」

本人がそこにいるとは知らず、男子達の茶化す様な笑い声が聞こえてくる。
別に自分に言われているわけではないのに、ドアの陰で名前の顔は赤くなった。

「はァ?苗字はねぇだろォ。あんなブス」

不死川ひでぇーと他の男子が笑う声が遠くに聞こえた。
いつもは安心する実弥の声がナイフのように心臓を抉る。
血の気が引くとはこういうことか。
ぼろぼろと溢れてくる涙を拭いながら、声を出さないように、そこにいる男子に気づかれない様に走って去るのが精一杯だった。

いつから実弥が自分のことをそんな風に思っていたのか分からず、それにブスと言われたことも名前はショックだった。
少しでも仲がいいと思っていたのは独りよがりで、実弥は近所だから仕方なく自分につきあってくれていたのだと思うとそれを気づけなかった自身に情けなくも恥ずかしくもあった。

結局そこから2人の間に空いてしまった距離感は埋まることなく卒業式を迎えた。
実弥には直接引っ越しのことをいえず仕舞いで、名前は別々の中学になったためそれっきり連絡も取っていなかった。

未だに名前は実弥に対して苦手意識がある。
好きだった気持ちがあった分、実弥との昔の事を思い出すと胸が苦しくなる。
実弥が来るとなると居ても立っても居られなくなり、やっぱり同窓会断ろうかと思った。

また実弥に否定的なことを言われたら。

それこそ立ち直れない。

が、参加メンバーが少ないからと、必死に参加を頼んで来た星子の事を思うと言い出せず、冒頭のため息を繰り返すばかりであった。

悶々と悩んでいるうちに出欠確認の締め切りが過ぎてしまい、結局名前は同窓会に参加することになってしまった。

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「星子ちゃん、久しぶり!」

「名前ー!お疲れー!今日は参加してくれて本当にありがとうね!」

予定された居酒屋に到着すれば、入り口入ってすぐの場所で星子が出迎えてくれる。
もう1人の男の子と幹事をしてると笑い、参加費を回収していると言われ、名前は飲み会の金額を手渡した。
今日は10人程度の参加予定とのことで、大人数だったらどうしようかと思っていた名前は少しほっとする。

「場所はこの先の個室だから。先に入ってて」

「うん」

そういったものの、名前は内心とても緊張していた。
星子以外、小学校卒業後に会った事のある同級生はいないので、個室に入ったところでまず認識されるだろうかと不安だった。
言われた個室前に行けば数人の話し声が聞こえる。

「お、お邪魔しまーす」

小声で声かけながら個室の扉を開ければ数人の男女と目が合った。

「もしかして、苗字さん!?」

「うっそ!めっちゃ久しぶりじゃん!」

なんとなく面影を残した同級生の笑顔に一気に安堵感が広がる。
心配していたのが嘘の様に手招きされ、話の中に入れて名前はほっと胸を撫で下ろした。


ある程度人数が集まり、誰かが入ってくるたび小さな歓声で湧き立つ。
名前も隣に座った女の子と思い出話しに花を咲かせていた。
少ししたところで、幹事の星子達が部屋に入ってきた。

「まだ全員じゃないけど、時間になったから始めようか!」

飲み物を各自頼み終えると幹事の簡単な一言が終わり乾杯を交わす。

『実くん、いないな・・』

ほっとしたような、残念な様な。
名前が複雑な気持ちを浮かべていると、隣に星子が腰掛けて来た。

「ね!?みんな意外と覚えてるもんでしょ!?」

「うん、参加するまで不安だったけど顔見たらすぐ打ち解けちゃった」


そういって星子と2人で近況なんかを報告していると、周りが騒ついたので名前も思わず顔をあげた。

「お疲れ」

「お、不死川の登場じゃーーん!!」

その名前を聞くだけで名前の心臓は跳ね上がった。
顔を向ければ小学校の面影はそのままに、青年に成長した実弥の姿があった。
シンプルな服装が、スタイルの良さを際立たせる。
想像していた以上にかっこよくなっている。
小学校の頃、実弥に抱いていた淡い恋心がまた花開きそうでドキドキと煩い心臓をしずめようとギュッと胸を押さえた。
クラスのお調子者だった男の子が実弥の肩に手をかけ強引に横に座らせた。
名前の席とは対角線上で1番遠い席だった。

『よかった。隣なんかになったら気まずいもんね』

チラリと実弥の方を見れば、他の同級生に促されお酒を注文している様だった。

「気になる?」

実弥に神経を集中していた後ろから急に声をかけられ、名前の肩はびくりと跳ねた。
振り向けば、星子がニヤニヤとした顔で覗き込んでいる。

「ち、違うよ!気になるとかそんなんじゃ・・」

「名前、小学生の時は不死川の事が好きだったじゃん」

なんで今、昔の傷を抉る様な事を言ってくるのだろう。

実弥は自身の事が嫌いだったであろう事を思い出して名前は目を伏せた。

「それは、もう昔の話であって・・。今はそんなんじゃないから」

「ふうん」

返事に含みを持たせた星子の返事を恨めしく思いつつ、名前は目の前のお酒に手を伸ばした。



だいぶお酒もまわり、同級生とも会話が弾む様になってきた。

「ちょっとお手洗い行ってくる」

そう言って星子が立ち上がった。

「お酒入ってるだろうから気をつけてね」

そういって星子を見送ると、今度は逆隣の女の子と昔話に花を咲かせていた。



少しして隣に人の気配を感じ、名前は向き返った。

「星子ちゃん、おかえー」

「久しぶり」

隣に座ったのは実弥だった。
成長した端正な顔つきに思わず目を奪われつつ、それでも幼い頃の面影も残している。
相変わらずの優しい濃紫の視線に、お酒の入ったグラスを手に持ったまま名前は固まった。
なんで隣にいるの?席、向こうの方だったのに、と名前は半ばパニックになっていた。
先程実弥が座っていた席を見れば、星子が笑いながら軽く口パクでごめんと頭を下げている。
星子ちゃん、絶対確信犯よね!と心の中で悪態をつきつつ、実弥を無視するわけにもいかず向きなおる。

「あ、さねー・・不死川くんも久しぶりだね」

危ない、危うく昔のようにあだ名で呼びそうになったと切り替える。
名前の返答に実弥の眉間の皺が寄り、もう早速一言目から実弥の機嫌を損ねてしまったかと名前は焦る。
大体、私のこと嫌いなら隣なんかに来なくていいじゃないかと思いつつ、作り笑顔を浮かべた。

「元気してたのかァ?」

「あ、うん、不死川くんこそ元気そうで何よりデス」

緊張からか、最後の言葉が裏返る。
そんな名前に実弥はクスリと笑った。

「ドジっぽいところ、相変わらず変わってねぇなァ」

「そんなことないから!小学校から、少しは成長してるはずだし」

「へェ」

目を細める実弥に名前の心臓は先程からおかしくなったようにドキドキと鳴りっぱなしだった。
じっと見つめてるくせ実弥は何か考えていたようだが、そっと口を開く。

「・・名前、なんで俺に一言もなく無く引っ越ししたんだァ」

「なんでって・・」

実弥との関係に距離が開いて、お互いを避けていたから引っ越しのことも言い出せずだったし、正直実弥にとって自分がいようがいまいが関係ないだろうと思っていたからだ。
大体、自分と距離を取り始めたのは実弥だし、今更どうしてそんなことをいうのか名前には皆目検討がつかなかった。

「別に、不死川くんに関係ないでしょ」

自分の放った言葉や、行動のことは忘れてしまったのか。
こちらは今でもずっと心の中に棘のように刺さっているのにと少し名前はムッとして素っ気なく返事をする。

「名前、俺はー」

少し肩を引かれ思わず実弥の方を向けば、ずっと探していた宝石のような紫の瞳と視線が絡んだ。

「俺は、引っ越しの話、教えてもらえなかったことが寂しかったし、お前のことずっと探してた」

「・・え・・」

まさかそんな事を言われると思わず名前の目が驚きで丸くなる。

探してたって私を?なんで?

疑問がぐるぐると心の中を渦巻く中、思わず気を紛らわせようと、目の前のテーブルに置いてあったグラスを一気飲みする。

「わぁ!名前ちゃん、それ、私の日本酒だよ!」

甘いカクテル系のお酒だと思って飲み干せば、隣の女の子が慌ててグラスを取り上げた。
中身は空になっている。

「あ、ごめん!気づかなくて・・」

焦って手を振れば身体が揺れる。
まさか自分が日本酒を一気飲みするなんて。
名前は元々お酒に強くはないものだから、一気に世界は回り出す。

「名前、大丈夫かァ?」

ふらつく名前の肩を抱き止めてくれる実弥の顔がすぐ近くにあって、顔が主に染まった。
ドキドキと耳の奥で響く音は、きっとお酒のせいだ。

「悪い、苗字が具合悪いみたいだから先に帰るわ」

名前の様子を心配して席の近くにきた星子に、実弥が告げる。

「不死川が一緒なら安心だね!気をつけて帰って」

どこが?なにが安心なの星子ちゃん!?

と心の中で叫んだものの、頭がボーッとしてうまく口が回らない。
ほら、立てるか?と実弥に助けられながら、同窓会の会場を2人で抜け出した。




「とりあえず家、送ってやるから。家どの辺だァ?」

「市役所の方・・」

「なら、ここから近いな。ほら、手、貸せ」

ボーッとした頭のまま、目の前に実弥の手が差し出される。
言われるがまま、自分の手をそこに重ねれば自分よりひとまわり大きな手に包まれた。

「ほら行くぞォ。歩けるか?」

「うん」

前を歩きながら優しく手を引いてくれる実弥の背中をみながら、前にもこんな事があったと、名前は昔を思い出していた。

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小学高学年のある夏の季節。
その日は学校の行事で、自然の家に宿泊して親交を深めるとのイベントが行われた。
周りのクラスメイトはしおり作りだったり、企画したりと楽しそうだったが名前にとってはこのイベントが憂鬱でしかなかった。
何故なら虫が嫌いなのに自然豊かな場所にある宿泊施設に行かないと行けないし、何より2日目の午前中に行われる山登りイベントに至っては泣きそうなほど苦痛だった。
山登りなんて苦手だし、しかもクラスのイベントとして数人のグループを組んで、そのグループごとに山頂までのタイムを競うらしい。
完全に足手纏いにしかならない。
せめて、仲の良い星子と一緒になれたらと思っていたのに、グループはくじ引きだった。
そしてあろうことか、実弥と同じグループになってしまったのだった。
もう今日から不安で寝れないかもしれないと名前はクジの番号をみて思ったのである。

男子2人、女子2人のグループで山登りイベントは行われた。
必死に登るが、悲しいかな名前以外のメンバーは皆運動部に所属していて、体力には歴然の差があった。
早朝から行われていたイベントで時間が経つにつれ、気温も上がりフゥフゥと息も荒くなる。
頑張ってはいたものの、ついに他の3人から遅れだしてしまった。

「苗字ー!早くー!」

「はぁはぁ、・・・ご、めんね」

スタスタと進んで少し先から呼ぶ声に必死についていこうとするが足が進まない。
すると先で待っていた2人に実弥が何やら声をかけて、2人と別れ名前のいる方に下ってきた。

「大丈夫かァ?」

「・・ごめんね、体力なくて」

あの、実弥との距離が空いた日から久々にちゃんと会話をした気がした。
でも実弥の顔は見れなくて、足を止めて俯きながら名前は謝罪を述べる。
私がいなければ3人ならきっとイベント上位に入っているだろうに。
情けなさや、悔しさで薄っすらぼやけ始めた目の前に手が差し出された。

「え・・?」

「俺が引っ張ってやるから、行くぞォ」

そういって実弥は強引に名前の手を取ると、力強く引きながら歩き出した。

『なんで?』

実弥が名前の方に戻ってきた時、きっと怒られると、呆れられると怖くて仕方なかった。

先を歩く銀髪の後ろ姿が大きくみえる。
繋がれた掌は汗ばんでとても暑い。
歩きながら頬を切る優しい風と、深緑の香り。
この間まで避けられていたのが嘘みたいに、その瞬間がキラキラと輝いて名前は繋がれた手から目が離せなかった。
先に進んで、クラスメイトの後ろ姿が見えた瞬間、もちろん手は振り払う様に離されたわけだが。

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『あったかい・・』

あの時と同じく前を歩く銀髪の後ろ姿にすごく安心してしまう。
なのに、裏腹に心は高鳴って、きっとお酒のせいだと名前は心の中で首を振る。
住所を言えば検索してくれたのか、気づけば名前の住むマンションの部屋の玄関前に着いた。

「ほら、着いたぞ」

「うん、ありがとう」

小学生のあの時とは違い掌は名残惜しそうにそっと離される。

「危ねぇから・・ちゃんと中入って鍵閉めろォ。それまでここで見ててやるから」

「うん」

そう言われて鞄の中からおぼつかない手つきで名前は鍵を取り出した。
そのまま扉の前で鍵穴に差し込もうとするのに酔っているせいからか上手く入らない。
何度か目に鍵穴を外した音で、背中に暖かい感触を感じた。

「っとに・・、酔ってんのなァ」

そういってそのまま背後から鍵を持つ右手に実弥の手が重なる。
誘導するように鍵穴に鍵が差し込まれ、ガチャリと音がして鍵があいた。

「ほら。開いたから、さっさと部屋の中入れェ」

そういって離れていこうとする手を名前は咄嗟につかんでいた。
分かりやすく、実弥の手が揺れる。
そのまま、2人して固まってしまった。

「名前・・・何、してる」

本当に何してるんだろうか。

自分でも大胆なことをしているなんて百も承知だ。

酔った男女2人で一人暮らしの部屋の前で、相手の手を握り締めているなんて。
誘っているって言われても言い訳できない。
でも、もう、どうしてもその掌から伝わる熱を離したくないと思ってしまった。

実弥の骨張った掌の上からそっとなぞるように指の腹を優しく滑らせる。
実弥が唾を飲み込むのがわかった。

「・・実くん」

思わず口から昔のあだ名が漏れて名前はしまったと思った。
また怒らせてしまっただろうかと不安に思った瞬間、背中から抱きしめられた。
実弥の香水なのか、ふんわりと甘い香りが鼻を掠める。
胸のあたりに回された実弥の腕に、早鐘のようになる心臓の音が伝わらないといいなとぼんやり思った。

「名前・・」

すぐ耳元で溶けるような甘い声で名前を呼ばれて、名前は思わず肩を揺らした。
実弥と触れている場所が全て熱い。
肩口に実弥の銀髪が埋められ、実弥の手がドアノブを回す。
そのまま2人して雪崩れ込むように部屋に入った。



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