これは、Because...と同じ世界観の女監督生ととある寮の副寮長が織り成す 完結後のまた別の物語である。
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皆とも打ち解けて、わだかまりも少し解消されてゆく中。ひとつの問題が浮上した。
それは、私やユウくんがもしかしたら元の世界に戻れないかもしれないという答えが導き出されたのだった。
ユウくんは既にそうなってもいいように色々と周りの手を借りて自立をしようとしている。でも、私はもともとはここに居ないはずのイレギュラーで。そうなった場合の対処法なんて ちっとも考えてなかったんだ。
だって、帰れるものだと思っていたから。
目の前が真っ暗になって、みんなの心配もよそに全然受け入れられない私はその場から慌てていなくなることしか出来なかった。
そのあとを1人追いかけてきてくれた先輩がいる。普段、穏やかそうな表情をしている陽だまりの中が1番似合うトレイ先輩だ。
不安になっていることがあるなら全て俺に吐き出してくれ。先輩はそう言って震える私の腕を引いて閉じ込めた。
帰ると思っていたから言わないでいたが...と何か渋るような動作をして、目を右往左往したと思いきや、
「好きだ、今後のことも視野に付き合って欲しい」
と先輩に告白された。
『先輩...?いま、なんて』
「今までそんな素振り見せなかったから混乱してるだろう?しかも学園長からあんな事を言われたあとだ。だけど、ナマエ...返事は急がない。だから、じっくり考えて欲しい」
そのあとどうやって分かれて寮に帰ってきたかなんてちっとも覚えてなんかない。
01.三日月を飼い慣らしたチェシャ猫
ふわり、ふわりと私の好きな香りに包まれてだんだんと意識が深いところから上がってくる。
『〜〜〜っやば!遅刻!!』
既に見慣れた景色では家具たちが早くと私を急かす。本当は予定より30分くらい早く起きて優雅な朝ごはんを食べていたのに...
『これだけ貰うね!いってきます!!』
いつもの学生服に身を包み、たまごとハム、それに少しのチーズがのったパンを口にくわえて、慌ただしく出ていった。
今日はチェーニャとの約束があるのに朝から目覚め最悪〜!!
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「遅いな...」
「また迷ってるんじゃにゃーの?ここはあの子の世界と違...」
「ッばか、誰が聞いてるか分からないから不用意に街中でそういうことは言うな」
時刻は12:15。待ち合わせの12時はとっくに過ぎている。いつもの彼女なら待ち合わせの15分前には着いているのだから、30分はロスをしていると考えていい。
ここで大人しく待つべきか迎えに行くべきか思案している中、聞き慣れた足音が聞こえてきた。
『ごめんッ...』
走ったのか顔を火照らせて、慌ててショーウィンドウに映った自分の姿を確認してボサボサだと髪や服を直していた。ま、そういう事しなくても可愛いからいいが。本人に言ったら怒るだろうな。
「今から迎えに行くかどうか話してたとこだ」
『え、トレイ先輩!?なんで!?!』
チェーニャと俺を交互に見ていたナマエは、チェーニャにその事について問い詰めていた。
元からこの待ち合わせは俺とチェーニャとナマエの3人で行くことになっていた。この様子からだと俺がいることを知らされていないようだった。
俺からもなにか言おうと思って当事者に視線を投げかければ、向こうはニヤリと笑って口笛を吹きつつ顔を背けやがった。
(やってくれたな...)
まだ俺に対して気持ちが向いてないのは見て分かるのだ。それなのに先日、俺は彼女に対して抑えきれない感情をぶつけた。そして伝えられてない俺の存在。そりゃ、焦ってもしょうがない。こちらからすれば、少し寂しいが。
「どうする?俺はいない方がいいか?」
『あっ、えっと〜...』
「ほんじゃあ、ナマエと今日は2人だけで行動するにゃー」
「了解」
このテンパリ具合でチェーニャも不憫に思ったのだろう。今回は彼女が想定していた2人だけで行動することにしたようだ。
――別に羨ましいなんて思ってない、
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