小鳥遊すずとの出会いは高校時代に遡る。それも彼女は稀なケースで呪術をその身に宿しながらも一般校に通っていたため、途中編入という中途半端なところから知り合った。それも、秋に入る間際だっただろうか。体力を蝕む暑さがなくなり、少し過ごしやすくなったある日のこと。
今でこそ学園長としてその場にいる夜蛾も当時は五条のいるクラスの担任として彼女を紹介した。その日、彼と彼女が会うことはなく、ただ平凡な日々が過ぎていくだけだった。あの時はガチガチに緊張していたようだし、階級も戦闘向きではないにしろ、さほど高くはなかった。
そんな平凡な日々も彼が来たことで、ガラリと一変してしまう。
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今日もアイツはサボりか。いい身分だな、とクラスメイトと談笑しているとガラッと戸が開いた。言わずもがな、噂の渦中にあった五条悟の姿で。小鳥遊は、瞬時に彼があの五条悟なのだと判断した。どう声をかけるか悩んでいれば、思いのほか彼から声をかけられるとは思ってもみなかった。
「アンタが噂の転校生?」
近くまで寄ってきたと思えば、190を超える図体に無駄の無い筋肉、珍しい髪色、瞳は空をそのまま映したようなクリアなブルーで、思ったよりも幼く見えるその顔立ちに。私はどのパーツをとっても整っている彼の容姿に吸い込まれるような感覚がした。
口も半開きで、はくはくと息が漏れるだけでそれ以上でもそれ以下でもなく。ただ、見惚れる他なかった。彼が私の様子を見て返事ないんだけど、とクラスメイトに聞いてる他所でこんなに綺麗な人を今まで見たことがあっただろうかと悶々とした。女である私でさえ、羨ましくなるほどの外観をしていた。
「もしもーし?」
顔を覆えるほどの大きな掌が目の前を翳した事でやっと我に返った私は、編入してきた日と同じくガチガチに緊張して途中何度も噛みながら自己紹介をした。兎にも角にもその後彼とどういう関係になるかだなんてその時は考えもしなかったのだけど。