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私の通うことになった東京郊外にある高専は、豊かな森に囲まれた場所にあり、日本にはたった二校しか存在しない。もう1つは姉妹校でもある京都に。表向きは、私立の宗教系学校と装っているが、実際は未来の呪術師たちを教育するべく設立された四年制の都立高校だ。


しかも、多くの呪術師が卒業後もここを拠点に活動しており、教育だけでなく任務の斡旋・サポートも行なっている。東京校では東日本での任務や高専生の受け入れを行っている。


現在は四年制となっているが、本来は五年制であり、最後の一年は術師が自由に過ごすことのできるモラトリアム的時期が存在していた。だが、最近になって―最後の1年は必要ないのでは?―という考えが広がった事から、最後の1年を除いた四年制となり卒業後から、呪術師として働くまでに一年空けることが通例となっている。



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自己紹介をした次の日、珍しく五条と小鳥遊の2人が先に教室についていた日。人づてではありながら、彼は人の能力がW視えるWらしい。それを最初聞いた時は、便利と思うと同時に弱みなどが全て晒されてしまっている状況に個人的には厄介な能力だな、と思った。敵側にいたらまず会いたくないし闘いたくない。対策を練られた上で対峙しそうだからだ。それも話しかけられて体験するわけだけど。


「へぇ。俺にとって、厄介な術式をお持ちで」


『視える―のは本当の話だったのね』



あれ、俺能力のこと言ったっけと聞かれたので正直に教えて貰ったことを話せば、秘密主義も何も無いじゃん。と言われた。確かにそうだ。
だが、こちらとしては口に出さずとも理解してくれているようなので、いちいち説明しなくてもいいか、と半ば投げやりな考えに至るのだが。



『まず、敵側にいたら厄介だと思うわ。その能力』


「俺もそう思う。逃げ場無くなっちゃうし」



階級の中でもトップクラスの特級持ちである五条が言うのだから、私の能力も誇っていいのだろうか。そもそも呪術師には七つの階級が存在しており、下から四級・三級・準二級・二級・準一級・一級・特級となる。
もちろん、目の前で厄介だと言いながらも余裕そうな笑みを浮かべている五条は1番上の特級クラスだ。その特級も四人しか現在居ないのだから驚きである。しかもそのうちの2人が同じクラスにいるのだから、世間が狭いなとつくづく思う。



「そういや、階級は?」


『四級ですが、何か?』



は、嘘でしょ。もっと上にいていいくらいの能力なのに。とオーバーリアクションを取られ、喜ぶべきか思案した。だって、リアクションがあまりにも胡散臭かったからだ。


今となっては、それが彼なりの普通だったみたいだけど。初めて目にした時は下手だな、なんて思ったり。



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そういや、アイツら遅いね。と出入口の方を向けばタイミング良く開いた引き戸。そこに立っていたのはクラスメイトの家入硝子と夏油傑の姿があった。



「二人が先なんて珍しい、何もされてないでしょうね」


「本当だ。大丈夫?虐められてない?」


「二人してなんなの、俺の印象悪くない?」


当然の反応でしょ、と入ってきてすぐ様突っ込まれたセリフにくすりと笑みがこぼれた。そして、苗字にさん付けで呼べば水くさい、名前の呼び捨てでいいと言われ、今日から硝子と傑と呼ぶようになった。


「改めて、よろしくねすず」


『はい、よろしくお願いします。硝子、傑、五条悟』



何で、俺だけフルネームなの。気軽に呼んでよ悟って。そう言われて、慣れたらそうしますと丁重にお断りし、その場で笑いをこらえる二人を見つつ未だ納得いかない彼に心の中で謝るも夜蛾が入ってきたことでこの件はお開きになった。