4月28日

毎朝決まった電車のある号車に乗り込む。乗り込むと次の駅で降りるとわかっているサラリーマンの前に座れるように立っておくのがルーティーン。
吊革を掴んでぼーっとドア近くの広告を見ていると、見覚えのある子がドアにもたれかかっているのに気づいた。ふわふわの黄緑髪の彼。帽子と眼鏡で変装してるみたいだけどわかる子にはわかると思う。ファンでもなく、ただ音楽番組で見た事ある私でも気づいてしまったから。
名前なんて言うんだっけ、あの、ESの。確かユニット名は……聖書モチーフのなんだっけ、えーっと、えーと、Eden!それでEdenの、なんて名前だっけ。
考えている間がっつり彼を見ているとぱちっと目が合う。見てるのばれた?すぐに逸らすけど、未だ視線を感じて少し気まずくなる。

次の駅に着くと目の前に座っていたサラリーマンが立ったからそそくさとその席に座るとちょうど席が壁となって彼からの視線が消えた。
席について彼の名前を検索する。
''ES Eden メンバー''
ESのユニット一覧を上から見てEdenを探す。あぁ、Valkyrieと同じコズミックプロダクションなんだ。心を誘う永遠の楽園って、めちゃくちゃ沼じゃん。メンバーの名前を見ると、彼が巴日和くんということが分かる。アー写は高貴でかっこいいって感じだけど、私服はゆるくて軽くギャップ萌えしてしまう。

少し落ち着いて考えると巴日和くんってめちゃくちゃ人気なアイドルだよね?電車なんかに乗らないよね?自分の見間違い?かと思ってきょろきょろして彼を見るけどやはりスマホの画面に映る巴日和くんだ。
しかも、目が合うと手を控えめにだけど振ってきた。サービス精神が旺盛すぎる。Edenって本当にファンサすごい。
手を振られても本当に私向けかわかんないから手を振り返すことはしなかったけど一応会釈はしてみると、うんうんと激しく頷く彼。まさか通学電車で人気アイドルの巴日和くんに会うとは思わなかった。

巴日和くんからファンサを受けて、なんだか恥ずかしくなって姿勢を前に正す。何もすることは無いけど、何かをしていないと落ち着かなくて更新のないTwitterのタイムラインを見たり、Instagramを開いて新たなストーリーは無いかなと確認しちゃう。
そわそわしながら席に座っていると学校の最寄りの駅に着く。彼の横を素知らぬ振りをして通り過ぎ、電車から降りた。
○ ○ ○

back // top