6月2日
雨の日はどうしても電車が混んでしまう。いつものサラリーマンは見当たらず、しょうがなくドア近くに立つ。そういやここって巴日和くんのお気に入りの場所というか普段いる場所だなって思う。今日はいないんだ、残念。なんて思っていると次の駅に着くと乗り込んできたのは少し雨で髪が濡れた巴日和くん。いつもと違う駅から乗ってきた。珍しい
「朝だね」
「私、ですか?」
「うんうん、よくぼくのこと見てるからきみのこと覚えてしまったね!」
「ごめんなさい……」
「謝る必要は無いね!」
間近で見るとお肌が綺麗で私の方が年下なのについ羨ましいと思ってしまう。走ってきたのか少し息が切れて、髪の毛の先に雫がつく様子はめちゃくちゃ様になっている。
見るからに高そうな服にも雨の雫が付いていて、思わずハンカチを差し出す。
「よければ……」
「ありがとう!助かるね!」
「いえいえ、風邪引いたら大変ですから」
「ぼくが感謝してるんだからそのまま受け取ればいいね!」
「ありがとうございます……?」
「うんうん。それでいいね!」
電車が駅を出るとガタゴトと揺れ始める。
巴日和くんは電車が大きく揺れる度に私の方にもたれかかりそうになるけど吊革と自慢の腹筋で何とか耐えていた。けれど近くにいた女子高生は背の関係で吊革に届かず、また踏ん張りきれず巴日和くんに寄りかかってしまう。
そこでやっとアイドルが他の人と触れ合うものは如何なものかと気づいた。緩すぎる頭に呆れが出る。
「ごめんなさい……こっちにもたれてください。私がそっちで立ちます」
「ぼくは平気だね!それにきみはもたれてたほうがいいと思うけどね」
「私の方が先に降りるので」
「確かにそうだね」
彼に端っこを譲ると「ありがとう!」と端っこにもたれかかった。また絵になっててアイドルとは罪なものだ。
電車の中だからと少し小さめな声で話すと距離が無意識に近くなっちゃって意識しちゃう。
少し話すと私の最寄り駅に着く。名残惜しいけど、降りなきゃいけない。
「ここまでだね!今日は雨だけど、きみと話せたからいい日和!」
「それでは、また」
降りる時に小さく手を振って見送ってくれる巴日和くんに小さく振り返して電車から降りる。
私もあなたと話せていい日和
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2023.1.2○ ○ ○
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