7月21日

テスト週間だからいつもの電車の2本早く行くことにした。もちろん、いつものドアの近くに彼は立ってなくて分かってたことなのにがっかりする。早くテスト週間終わらないかな、なんて考えるくらいに日和くんにハマっていた。

そんな憂鬱なテスト週間が終わり、いつもの電車に戻った日。サラリーマンの人が立ったらその席に座り最近ハマってる日和くんが所属しているEdenのDance in the ApocalypseのMVを見る。雷が落ちる演出から始まり、いちばん最初に映るのは日和くん。お顔強いな。開始10秒でリズムに合わせて両手を開いたり、身体をウェーブさせたりとカッコよすぎる。falling downの振り付け何!?と何度も見たことがあるのにひとり興奮して見ているとスマホに影が落ちる。なんだろ、と顔を上げると日和くんがいてびっくり。そのまま手が私のスマホに伸びて、私の手から奪いさる。


「目の前に本物がいるというのにこっちを見るなんて悪い子!」


電車の中で直接話すのは久しぶりで口はぱくぱくと動くだけで声が出ない。前と違って端っことかじゃなくて両サイドに人がいるのに
そんな私の思考を見透かしたのか、私の手を取って日和くんのお気に入りのドアの端っこまで連れていかれる。


「この一週間電車にいなかったのはどういうことか説明してくれるよね」

「テスト週間で、早く学校行って勉強しようかなって。もしかして心配かけましたか?」

「別にいなくても困らないけど、少し落ち着かないだけだね!」


ま、そりゃそうだよな。日和くんが私なんか心配するわけないか。
とはいえ、三ヶ月ほど毎日顔を合わせていたら少しは仲良くなったかななんて思ってしまう。始まりはあんなへんてこな形だったけど、徐々に話すようになって距離が近くなってからは朝起きるのが楽しみになった。日和くんも同じ気持ちならいいのに。


「あ、そろそろきみの目的地だね!きみに会えたから、きっと今日は良い日和っ!」


久しぶりに日和くんに会えて私も良い日和だよ、とは言えなかったけどまだその距離感じゃないなとそれを言うのは諦めて、「また明日」とずっと言いたかった言葉を代わりに言った。
毎日電車の中で会って世間話をするくらいの仲だから約束なんてできる関係じゃない。明日会える確約なんて無いのにこうやってまた明日も会おうとする魔法の言葉を日和くんに送ってから電車を降りた



――――――
2023.1.3
○ ○ ○

back // top