ツンデレ気質
近頃逆先くんに嫌われてるんじゃないかって思うようなことが何度もある。話しかけてもまともに取り合ってくれないし。何か荷物を運んでいたら代わりに運ぼうか?と聞いたら「キミに持たせたくなイ」なんて言う。もしかしたら、大事なものが入ってるのかもしれないけど何度も言われたら本当に嫌われてる気がしてくる。
逆先くんのことがすきだったけど、ここまでされると冷めるものも冷めてしまいそう。などと考えながら廊下を歩いていると誰かにぶつかった。顔を上げて確認すると噂の逆先くん。
「あ、ごめんね」
「なニ?またこれ運びたいノ?」
「あ、いや、」
「ちゃんと言ってヨ」
ほらこれもう嫌いなやつに対する反応じゃん。そう気づいてしまうと、泣きたくもないのに涙がぽろぽろと零れてくる。
「エ!ごめン⋯⋯泣かせるつもりはなかったんだけド⋯⋯」
「こっちこそごめんなさい。泣くつもりなんてなかったんですけど勝手に⋯⋯」
手で目を拭うけど全く止まってくれない。
「きつく言いすぎたかもごめン」
「いや全然大丈夫だよ」
「でも泣いてル⋯⋯あぁもウ!どうしたら泣き止んでくれル!?」
「ほってお仕事に行っていただけたら」
「できるわけないよネ!?すきな子置いて仕事行くわけないよネ!?」
「今、なんて⋯⋯?」
聞き捨てならない言葉が聞こえたから顔を上げて聞き返すと、初めて見るほど顔を赤くした逆先くんがいる。
「え、?」
「なんでもなイ!!」
「え〜、ちょっと無理があるような、、?」
「すきだって言ったノ!!からかう元気あるならボク行くかラ!」
逃げるようにどっかに行っちゃったツン多めの逆先くんについ笑みが零れた。
逃げられたら追いかけたくなるのが人間の性だからすぐに逆先くんの後を追うけど、すぐに見失う。逃げ足が早くて困っちゃうな。
右、左、どっちだろうときょろきょろしていると後ろから知り合いの声が聞こえる。
「夏目くんは向こうに行きましたよ」
「青葉先輩……!ありがとうございます!!急いでいるので失礼します!!」
逆先くんを通して何度かお話したことのある青葉先輩に、わざわざ教えていただいたから丁寧に対応したいけど、今はそれどころじゃない。嫌われていた逆先くんに好かれていると分かったから。
青葉先輩に言われた通り曲がり角を曲がり突き進むと、一つの空き教室に突き当たる。
「逆先くんいますか?入るね」
教室に入ると、逆先くんは机に伏せていた。
逆先くんに近づくと腕と机で顔は隠れているけど耳は隠れてないから赤いのが分かる。
「逆先くん」
「なニ」
相変わらず机とお見合いしてるから声はぼそぼそとして、聞こえにくいけどふたりしかいない教室だからちゃんと聞こえる。
「私もすきです」
「エ……」
瞬間、逆先くんが顔を上げてようやく目が合う。
「やっと見てくれた」
「ごめン……」
「なんで、」
「目赤いヨ、ボクが泣かせちゃったからネ」
「気にしなくて大丈夫だよ、ほんとに」
「ねぇ、返事、聞いてもいい?」
「わざわざ聞くノ?分かってるでショ」
「それでも聞きたい」
「ボクもすき……だから付き合っテ、ほしイ」
「もちろん、こちらこそお願いします」
――――――
2022.11
back // top