朝ごはん

起床は四時。
起きたらさっ、と顔を洗い、髪の毛を括り着替えたらそのまま流れるように調理場に向かい朝ごはんを作る。


まず、十合のお米を洗う。十合もあれば洗うのは何度かにわけないといけない。数回に分けてお米洗い終わったら大きな釜に洗ったお米を入れて、それらが全て表面に出てこないくらいの水を入れて米の芯まで水につける。三十分もすれば、釜から米を引き上げて一般家庭では見ないサイズの釜にお米を入れてコンロにセットする。
朝ごはんは米派とパン派がいるからパン派の人達用のパンは前日に準備してある。あとは焼くだけだ。

次にお味噌汁。
朝はお味噌汁を飲んで身体を温めるのが良いから毎日出すようにしている。今日は旬のさつまいもと豆腐を使った普通のお味噌汁。
さつまいもの皮を剥いて食べやすい一口サイズに切ると水につける。豆腐も同様食べやすいサイズに切る。お鍋に水を入れて利尻昆布を入れて出汁を作る。その後にさつまいもと豆腐を投入する。お味噌を入れるのは食べる直前だからお味噌汁はこれで完成。

今で四時四十分。アイドルたちが起きてくる七時までのあと二時間で最低五品目のおかずを大量に作らないといけない。

とりあえず工程の途中で冷やさないといけないデザートのプリンを作る。
ボウルに卵を十個ほど入れて泡立て器で溶きほぐしたら、温めた牛乳と混ぜ合わせる。大体混ざったら二つのボウルに分ける。甘いのがすきな子から苦手な子までいるから、片方は砂糖を普通に入れたもの、もう片方は少し砂糖を減らしたもの。この後は両方茶こしで濾して、器に注ぐ。
今日は海外ライブ中のユニットや遠征中などでいないアイドルを覗くと三十七人いるからおかわりする人もいるだろうから四十五個に分ける。分けたらお湯を貼ったフライパンの中に器を置く。蒸したプリンは粗熱を取ると冷蔵庫に入れて冷やす。

鮭の塩焼きは昨日買ったスライスされた鮭を人数分焼く。

サバの味噌煮はサバを焼いてから酒、みりん、砂糖、醤油、味噌を混ぜ合わせた調味料と一緒に煮る。蓋をせずに煮たから甘くていい匂いが、サラダのためのレタスをちぎっている私のところまで漂い着く。「わ、いいにおい」と思わず声が出てしまった。それほどにいい匂いがする。
サラダ用のレタスを順調に一玉ちぎったらぬるま湯に一瞬通してシャキシャキさせる。シャキシャキしたレタスは大きなボウルに乗せて、上に乾燥した海藻を水でふやかしてのせると完成だ。

豚の角煮は昨日の夜ご飯の余りがあるので、その余りを温めて食卓に出させてもらうことにする。
これで四品目。毎日作っているだし巻き玉子とスクランブルエッグを考えるとこれでやっと六品目。
肉が無いので今から肉料理を何か作る。冷蔵庫を除くと最近大型スーパーで買ってきた牛肉が大量に鎮座していたためそれを使った何かを作ることにする。丁度玉ねぎもあったので牛丼の具だけ作る。フライパンに細切りした玉ねぎを入れて、透明になるまでじっくりと焼く。色が変わってきたら牛肉を入れて、生じゃなくなるまで焼いて醤油やらと調味料を入れると完成。

最後に作るのは出来たての方がおいしいだし巻き玉子。冷蔵庫から卵が二十個入ったパックを取り出して、どんどんボウルに割り入れていく。しゃかしゃかと音を立てながら菜箸で黄身と白身を混ぜ合わせる。前日に仕込んだかつおの出汁と少しの水、醤油をほんの少し入れて、再度かき混ぜると液は完成する。
卵焼き器にサラダ油を少し多めに入れて火にかける。卵液が付いた菜箸を卵焼き器につけてじゅわっと音がしたら温まった合図。少し流して卵の周りがふわふわになってきたら3回に分けて折りたたむ。再度液を流して、折りたたまれた卵を巻き込みながらもう一回巻くとだし巻き玉子の完成。これを液が無くなるまで延々と繰り返す。


これで大体のおかずが揃って六時半。そろそろ起きてくる子がいるから作ったごはんをレーンに並べる。お味噌汁は味噌をといて温めたら保温ジャーに入れて同様に並べたら、みんなが来るまでの少しの間に朝ごはんを食べる。


ごはん、お味噌汁、ほかのおかず全種類を取って行儀悪くカウンターに立って食べる。お味噌汁からは昆布の風味が漂い、さつまいもは柔らかい。ごはんはいつも通り。だし巻き玉子は噛みしめると、出汁の味がする。固く焼いていないからふわふわでめちゃくちゃおいしい。鮭の塩焼きはごはんと合わせて食べるといい。サバの味噌煮は煮加減が抜群でほろほろでおいしい。牛丼にのる上の具もごはんの上に乗せると簡易牛丼の完成。好きなのは出汁がひたひたな牛丼だから、少し出汁も多めにとるとおいしすぎてごはんが軽く後三杯はいける。サラダもいつも通りだけど、いつもおいしい。ドレッシングは好みがあるだろうからとたくさんの種類を用意してるけど個人的に梅しそドレッシングを押したい。昔から梅としそは相性抜群と言うけれど相性合いすぎて天に召されそうだ。梅しそとカロリーは低いから健康的でいいと思う。
自分で作ったものを朝ごはんとして食べることで味見を兼ねている。今日も特に味付けがミスってるものは無く、彼らに安心して出せる。


× × ×


初めに朝ごはんを食べに来た子は、紫之くん。


「おはようございますっ」
「紫之くんおはようございます」
「わぁ!今日もおいしそうです」
「ふふ、ありがとう」


紫之くんはきちんと栄養バランスを考えて取るから特に心配はしていない。たまに栄養とは?みたいな子がいるからこうやってカウンター越しにみんなが食べるものを確認している。アイドルたちの栄養管理も大事なお仕事。

紫之くんは料理を取り終わると席についてごはんを食べ始めた。紫之くんっておいしそうに食べるから見てて作った甲斐が有る。


「んん〜!!この鯖おいしいです」
「ほんと〜!?よかった!」


紫之くんとああだこうだと話していると続々ご飯を食べに来る。


「お姉さま、おはようございます」
「おはよう、朱桜くん。ちゃんと野菜も取るんだよ」
「う、努力します……」
「少しずつがんばろうね。あとプリンは一人ひとつだからね」
「そこを二個、!!」
「瀬名くんから厳しくと承っているのでダメです」
「そんなぁ……」

たまには二個いいかな?って思うけど、前似たようなことをしたらこっぴどく怒られた。ちゃんと見ててよねぇ!?それでも料理人?と。それからはアイドルの体型管理も大事だと心を鬼にして朱桜くんは食べすぎないように目を見張っている。


「おはようさん」
「影片、おはよう。眠そう、ちゃんと寝た?」
「それがなぁ、お師さんと電話してもうてん」
「あらら、今日はお昼寝でもしないとね」
「どこかで寝るわぁ、」
「あ、今日も焼きたてのパンあるよ〜」
「ほんま〜!?うれしいわぁ」

眠そうに食堂に来たけどパンがあると聞いた瞬間目が覚める影片。


「朝だね!」
「巴くんおはよう」
「うんうん、今日も色とりどりでいい日和!」
「それはよかった」

朝から元気な巴くん。


「……おはよう」
「おはよう」
「あれ、チョコケーキは無いの?」
「昨日食べたでしょう?今日は無いよ」
「残念……おいしかったからまた食べたいな」

乱くんは素直にあれが食べたいって言ってくれるからすぐ作ってあげたくなる。今日の夜ご飯にまた作っちゃいそう。
でもチョコケーキばっかりだと飽きてしまうから特別にチョコクッキーでもおやつで焼こうかななんて思って甘やかしちゃう。


夜は何にしようかな〜とか今日もおいしいって言ってくれたなんて思いながら食器を片付けるのが私の朝ごはんのデザートだ。
○ ○ ○



back | top