これはある日の東方司令部での出来事である。
その日はまだ朝早い時間であった。
マスタングの悲劇
「はあ〜何が楽しくてこんな朝早くから仕事場に来なきゃならんのだ」
朝4時半。ロイは瞼を擦りあくびをしながら東方司令部の廊下を歩いていた。
何のために、とは言わずもがな仕事のためである。こんな朝早くから、だ。
横をすれ違う下士官たちの殆どは「お疲れ様です」と敬礼をする。しかしロイの性格を知っている一部の者は「珍しい…」と驚きの声をあげていた。
ロイは思わず溜息を吐く。
何もここまで早くなくとも、と思ったが隣を歩く人物を見れば文句は言えない。いっそのこと、緊急事態が起きた方がマシだったのに。
「仕方ないでしょう。今日中に片付けなればならない仕事が山積みなんですよ」
隣を歩くロイの補佐役、ホークアイは淡々と告げて歩を進める。
そう、ロイは[[rb:彼女の指示 > 、、、、、]]で[[rb:仕事場 > ここ]]にいるのだ。いや、指示というよりは捕まった、という表現の方が正しいかもしれない。
それもそのはず、いつものことながらロイは仕事を溜めていた。やりたくない仕事はのらりくらりと躱し、部下が探しにくれば何かと理由をつけて逃げ出していたのだ。
そんなロイにホークアイはある行動に出る。朝4時に、ロイの自宅へ電話をかけたのだ。
『緊急なのですぐ司令部へ来て下さい』
……と。ホークアイの改まった声で言われればロイも身が引き締まる。すぐに身支度をして司令部へ行くと、柔らかな声で「おはようございます」と言われロイはポカンとした。緊急、とは一体何だったのか。
ロイはしばらく呆気に取られていたが、時間が経つとこの空気に、何となく分かってしまった。その時間はたった数秒だが、その間に顔は引き攣り、冷や汗が溢れてくる。
「ちゅ、中尉。緊急事態というのは?」
「もちろん、仕事ですよ。…………大佐の溜めていた」
ホークアイは満面の笑みでロイに現実を突きつけた。
やられた。分かった、分かったから!頼むから、そんなところで倒置法を使わないでくれ。ちゃんと、仕事しますから。
自業自得なので文句は言えない。しかも彼女にも早朝出勤をさせ、付き合わせて(監視だが)しまったことに少なからず罪悪感が湧いてくる。この時ばかりは仕事を逃げずにしておけば良かった、とロイは肩を落としたのだった。
「中尉…………」
「ダメです、今日中の書類なんですから」
「まだ何も言ってないのだが………」
歩きながら、湿気た顔をしているロイを横に、ホークアイもまた溜息をついた。
これではどちらが上なのか分からない。やる時はやる人なのに、どうしてここで抜けている様を出すのか。まあ、ここで全てを真面目に熟していたら大佐じゃないのだが。ロイ·マスタングはこういう男だ。それにしたって、宿題をやらない子供じゃあるまいに。
そう思いながら司令室へ着くと、ホークアイはドア越しに誰かが部屋にいるのを感じた。鍵も開いている。誰かしら?
念のため用心してドア開けると、そこにはいつもならいるはずのない人物がいた。
「……あれ、大佐?おはようございます。出勤するの早いんですね、お疲れ様です。中尉もおはようございます」
「………アルフォンス?」
「アルフォンス君?来ていたの?」
中にいたのは鎧姿のアルフォンス・エルリックだった。
エルリック兄弟は3日前イーストシティに戻ってきているため、ばったり会ってもおかしくはない。だが、呼び出してもいないのに司令室にいるのは珍しかった。
「何故君がここに?」
「勝手に使ってごめんなさい。ハボック少尉に、ここに居ていいって言われたのでご好意に甘えさせて貰いました」
エルリック兄弟は昨夜、と言っても日付変更線を越える少し前に、ここ東方司令部に来たらしい。その時帰宅をしようとしていたハボックに会ったのだと言う。
『せっかく来たのに悪いな、大佐は今いないんだ』
『そうですよね、時間も時間ですし』
『いや、大佐は今雑用任されてんだ』
『雑用?大佐が?』
『あーー……まあ、上からの押し付けだよ。後始末しろって。責任逃れってやつだ』
『そうなんですか。大佐も大変ですね』
『ふーん』
『そういや、お前ら宿はあるのか?』
『それがさ、満室らしくて取れなかった』
『だよなあ。最近観光客多いんだよ。……そうだなあ。じゃ、司令室にいたらどうだ?』
『えっ、ダメですよ、勝手に!』
『大将たちならいいって。大佐はもしかしたら戻らないで帰っちまうかもしれないけど。隣に仮眠室もあるし、大佐には言っておくからさ』
『……どうする、兄さん?』
『まあ……宿がないんだから仕方ないよな。いいって言うならお言葉に甘えようぜ』
『そうしよっか。ここにいたら確実に大佐に会えるし、一石二鳥だね』
『別に会いたくはないけどな!まあ、報告の件があるし良いかもな』
『兄さんたら、素直じゃないんだから』
『じゃ、そういうことで。また明日な』
『はい、ありがとうございました。お休みなさい』
『ありがとな、ハボック少尉』
『おう、お休み』
ヒラヒラと手を振りながら、欠伸をして帰っていくハボックをふたりは見送って、司令部へと入って行ったのだった。
だが、もちろんエドワードの性格上、司令室でじっとしているわけはない。そこに行っても今ロイはいない。だから、書庫で本を読んでいようと思っていたのだ。もしかしたら何か有意義な文献があるかもしれない。
しかし当然、書庫に入るには上官である大佐の許可がいる。国家錬金術師の証を見せても、よく知る軍人に頼んでも、「規則だから」と一括されてしまって、エドワードはアルフォンスに宥められながら渋々司令室へと足を運んだのであった。
「ごめんなさい、てっきりハボック少尉から聞いてるものだと思って」
「いや、別に構わないよ。確かに一般人は駄目だが、君らのことは私が一番よく知っている。君らのことは応援してるから、いつでも来ていい」
「ありがとうございます、大佐」
「いや、君には色々お世話になってるからな」
丁寧にお辞儀をするアルフォンスに、ロイは容認した。
突然の訪問に確かに驚きはしたが、別段咎めることはしない。そもそも報告しなかったハボックが悪い。いくらエルリック兄弟であっても、報告は大事だ。後でとっちめてやらなければ。
「お世話になっているのは、兄さんの方ですよ」
「鋼のが、って………そういえば、鋼のは?いないじゃないか?」
エドワードの名前を出されて、ロイはそういえばと部屋を見渡した。
今の話からするに、エドワードはここにいるはずなのに、どこを見ても当の本人がいない。どう見ても司令室にはアルフォンスしかいなかった。
「あ、兄さんなら……」
トイレかと思ったが、どうやら違うらしい。アルフォンスは少し影になっていて見えずらいソファを指さした。
「ああ、そこに……って寝てるのか?隣に仮眠室もあるのだぞ?」
「兄さん、大佐が来るまで起きてるつもりだったらしいんですが…何せ寝不足で…」
まさかソファより小さいなんてことはあるまいと失礼なことを考えながら、ロイはそのソファに近づいた。ホークアイも後に続いて、そこを覗き込む。
ソファにはすっぽり納まったエドワードがすやすやと眠っている。目元の隈から、相当寝不足なのが見てとれた。
「エドワード君の寝顔って可愛いわよね」
ホークアイは毛布をかけながら率直な感想を述べる。ロイも思わず頷いた。
その寝顔は、何とも幼さの残るあどけない顔をしている。無防備なその姿は、まさしく子供のそれで。男に可愛いなど本人が聞いたらたまったもんじゃないだろうが、周りから見れば顔立ちも整っているし、確かに「可愛い」と言いたくなってしまうのだ。
エドワードはその過酷な人生故に、いつも背伸びをして大人びているところがある。だから子供らしいその寝顔を見ると周りは少し安心してしまうのだった。
「起きてる時はあんなにやかましいくせに……それにしても何故私が戻ってくるまで起きてるなんて言ったんだ?」
急な要件だったのか?と問えば、アルフォンスは笑って首を振る。
急な要件ならば、兄さんはここまで静かになどしていない。寝不足を見せないほど目をギラギラにさせて待つか、事件現場だろうが何だろうが、大佐の元へ走り出して行くだろう。元々じっとしていられない性格なのだから。
「それはただの兄さんの意地ですよ。兄さん、大佐にだけは絶対寝顔見られたくないんだーって言ってましたから」
そんなことに意地張らなくてもいいのにと苦笑して言うアルフォンスの答えに、ロイはならばいいものが見れたな、と笑った。
彼は意地っぱりだ。いつも素直になれず、ガーッとムキになる様は面白い。だからついロイはからかってしまうのだ。
寝顔、写真にでもとっておこうか。
企みが滲み出てる顔でそう思っていると、アルフォンスはそういえば、と話を切り出した。
「大佐たちはいつもこんな朝早くから出勤するんですか?」
「えっ、……………」
さりげなく、さらりと出された会話に、思い出したロイの身体がビシリと強張った。後ろから、刺々しい空気が放たれ背中に突き刺さる。何故その話題を出すんだ、アルフォンス。
「い、いや、いつもではないよ。ただ昨日急ぎの用をしていて他の書類にまで手を出せなくてね……。だからその書類を片付けようと……」
いつもスラスラと動く口が、こういうときに限って上手い言い訳が見つからない。下手な言い訳をすれば罵倒が飛んでくるのは明白で、かといって自分の怠慢のせいだと子供の前で言うのは癪だった。
………うん、間違ってはいない。上から後始末を押し付けられて、司令部に帰る暇がなかったのだから。
ロイは一人で自己完結して頷いた。どうやら言い訳をしない、という選択肢はないらしい。大体、それだと仮眠室ではなく自宅へ帰って睡眠を取っていたことはどう説明するのか、という疑問が出てくるのに。
エドワードが意地を張ると大人気なくからかう癖に、自分も同じことしている。似た者同士とはこういうことなのだろう。
「手伝えることがあれば手伝いますから、遠慮なく言って下さい。大佐にはいつもお世話になっていますから」
「それは有り難い、ではーーーー」
「アルフォンス君、その必要はないわ。大佐が、[[rb:全部ご自分で処理できる > 、、、、、、、、、、、]]ものだから」
その言葉にロイはそんな〜と内心泣きながら叫んだ。厳しい。厳しすぎないか、中尉。
「そうですか、分かりました」
「そんなわけだから、ふたりの用事は大佐が終わってからで大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ、兄さんも寝てますし」
「ありがとう、アルフォンス君」
ホークアイはアルフォンスに近づき、飽きないようにと本を手渡した。新しく出版された化学も絡む推理小説らしい。面白そうだ。
ありがとうございます、とそれを受け取ると「大佐を甘やかしては駄目よ」とホークアイは念を押した。その彼女はにこやかな顔をしているのに、オーラは黒い。
怒らせると怖いってこういうことかな。
アルフォンスは至って冷静にこの光景を見つめていた。ふたりが早朝に出勤した理由が、何となく分かっていたのだ。
大佐、やっぱり仕事サボってたんだ……。
それで中尉に連れてこられたんだ、こんな朝早くに。
アルフォンスは思慮深い。子どもだと思って侮ってはいけないというのを、ロイは後で思い知るのだった。
カリカリ……。
司令室にペンの走る音が響いている。その前では、相変わらずエドワードがスースーと寝息を立てていた。
ロイはその様子にペンを止めて顔をあげる。その顔には眉が寄っており、やや不満げな表情になっていた。
一体なんなんだ、この状況は。
最初は微笑ましかったこの光景も、時間が経つにつれてモヤモヤとした感情に変わっていったのだ。
ロイはガタリと音を立てて椅子から立ち上がる。
「……なんかこう……人が必死に仕事してるってのにその前で寝られるのは気分が良くないな……」
「…………」
「……何だ?何か言いたいことでも?」
ロイの発言に、アルフォンスは物言いたげな目を向けた。何とも言えない空気が流れ、目を覗き込んでくるロイにアルフォンスは「別に…」と目を反らす。
なんだって、この人は。どうして大佐も兄さんも、互いにつっかかるのだろう。そして、今回は兄さんは何も悪くないんだけど。
アルフォンスは自分のせいだろう、と突っ込みたいのを我慢した。
「少しいじってやろうか。いいストレス発散になるぞ」
ホークアイが書類提出のためいないことをいいことに、仕事を放棄し嫌味な笑いをしてエドワードの元へと寄る。そして彼の頬を掴み、伸ばした。
「んー…、…………」
だがエドワードはいじられて不機嫌な顔になるが、起きることなくすぐに規則正しい寝息になった。
その反応にロイは手が止まる。思った反応ではなかったらしい。寝ている人間に一体どんな反応を期待してたのか。
「……つまらん。つまらん!鋼の!君も起きて手伝いたまえ!!」
ロイは再びエドワードをゆさゆさと揺らした。
面白くない。この状況が、ひたすら面白くないのだ。寝ていられる鋼のが羨ましくて妬ましい。こっちはこんな朝早くから仕事をしているのに。こら、起きないか鋼の!
自分が生み出した状況だというのを忘れて、ロイはエドワードを揺すり続ける。
「あ、大佐。兄さんは………」
アルフォンスはため息を吐いて本に目を戻し、言葉を発した。
普段何だかんだじゃれ合っているから、構って貰えないのが寂しいのだろうか。それとも兄さんとの会話なら、仕事してても苦じゃないのかもしれない。自分のせい、というのは置いといて。
対等な立場で、遠慮なく言い合える関係は心地良い。それは分かる、分かるけれど。
でも、あんまり兄さんのこと起こさない方がいいと思うけど。ただでさえ寝不足だから寝せたいというのもあるけど、兄さんはーーーー。
ロイに揺さぶられて、エドワードの眉がいっそう寄る。そして、次の瞬間だった。
ドゴオオオオオン!!!!!
「……っ!?」
ホークアイは書類提出から帰ってきてドアを開けた途端、凄い音がしたものだから何が起きたのか把握できずにいた。唖然とその光景を見つめている。
「………寝相が物凄く悪いですからね」
アルフォンスはやれやれと首を振った。ホークアイとアルフォンスが見たもの。それは。
「な…何をするんだ……鋼の…」
ロイはソファから離れた所でひっくり返っている。エドワードは、ロイを蹴飛ばしたのだ。……………寝相によって。
寝ているときの人間は、意外と容赦ないというのをアルフォンスは何年もの経験で知っていた。
何度兄さんに物を壊されただろうか。兄さんは機械鎧だから、余計なんだろうけど。時計を壊され、読んでる本を蹴飛ばされ。
もちろん、人だって蹴飛ばされたらそれ相応のダメージになる。実際アルフォンス自身も蹴飛ばされるから、ヒヤヒヤしながら夜を越すこともあったのだ。毎晩ではなく、たまに、程度だが。それが今発動されるとは。
アルフォンスは再度言った。
「兄さんは、寝相が悪いんです」
「……それを早く言いたまえ…」
ロイは痛む腰を押さえながら床から立ち上がった。さすが機械鎧、ダメージがでかい。
整備師のウィンリィはとても良い腕をしているようだ。それにしても、不意打ちは酷いじゃないか。
「……何をしているのです?大佐」
状況を把握したのか、ホークアイは軽蔑の目でロイを見る。
仕事を放棄して何をしているのだろう、この上司は。あれだけ言ったというのに、まだ足りなかったのかしら。
ホークアイから放たれる空気が冷たくなったのを感じて、ロイは慌てふためいた。
「あっいや、これは違うんだ、鋼のが――…そうだ、鋼のがいけないんだ!人前で眠りこける鋼のが!」
何故開き直ったのか、ロイはエドワードのせいにした。自分がサボらなければこんな事態にはならなかったのに、それを頑なに認めたくはないらしい。全く、往生際が悪い。
そして、それだけならいざ知らず、ロイは余計な一言を入れるのだった。
「だいたい、何故ソファで寝れるのだ!?そうだ、鋼のは小さいもんなぁ」
「あ」
アルフォンスは声を上げた。
よりによって、最大の禁句を口に出すなんて。いつものからかいの方がまだマシだっただろうに。
普段のアルフォンスなら、こんな光景を見ても苦笑していただろう。周りがグチグチ言っていたらまあまあと宥め、ロイを擁護していたはずだ。だが、今ここにロイの部下はホークアイしかいない。そして、これは明らかにロイの過失である。今回ばかりは擁護のしようがないよ、とアルフォンスはロイに呆れるのだった。
エドワードはむくりと起き上がり、ロイに身体を向ける。
それを見て、ホークアイは深いため息をついた。全く……本当に、自業自得です。
「………」
「……?…は、鋼の…?」
エドワードの方を見れば、今までチビと言われて怒る態度とは正反対で。
フラリ、フラリと一歩ずつ近づくエドワードは不気味さを漂わせている。世のホラー映画と間違うくらいには恐ろしく不気味だ。
うわー、あんな兄さん久しぶりに見た。これは誰にも止められないな……元から止めるつもりなんてないけど。
前に一度こんなことがあったなあ、とアルフォンスはのんびり思い出に浸かりながら、目の前で繰り広がる光景を見つめる。
エドワードは静かに怒っていた。冷めた目をロイに向けて、ゆっくり近づいてくる。
静かに怒るほど、怖いものはない。ロイはホークアイに責められた時みたいに身体が凍りついた。冷や汗が流れる。
「……あの、鋼の……」
ジリジリと迫ってくるエドワードに、ロイは後ずさる。こんな鋼の、見たことない。
違う、そうじゃない、今のは言葉のアヤだ。そう内心で代弁するが、あいにく今のエドワードには届かない。
ロイが壁にドン、と背中をぶつけた。エドワードは腕を振り上げている。
「…うわ、待て、鋼の!謝る、謝るから!ちょ、アルフォンス!中尉!助けてくれ!」
そんなロイに顔を向け、ホークアイは冷静に言い返した。アルフォンスも、表情は見えないがにっこりとした雰囲気を放ち、丁寧にお辞儀をして言い放つ。
「こんな時だけ頼るのはどうかと思いますけど?自業自得です」
「ご愁傷さまです、大佐」
「うわあああっ」
ゴン!!!!
エドワードの拳がロイへと直撃。ロイは撃沈した。だが、それで終わりではない。
気が済んだのか、エドワードは何事もなかったようにソファで眠りについた。撃沈しているロイへ、ホークアイが歩み寄る。
「大佐。今日やる分追加しておきましたから。自分が撒いた種なんですから、休まずしっかりやって下さいね」
少しやり過ぎかしら、とホークアイは思いながら、書類の増加分を机の上に置いた。案に残業決定を示されたその量に、ロイのHPはとうとう0になる。
エドワード君が罰を与えてくれたようなものだからそれで充分だと思うけれど、彼の行いを思えばこれくらいはね。
それでも結局、何だかんだとホークアイもアルフォンスもロイに甘い。だって、こんな上司でもいざとなれば頼れるし尊敬しているのだから。
後で珈琲くらいは出してあげましょうか、とアルフォンスと話す声はどうやら本人には聞こえてないらしいけれど。
これが、サボり魔の末路である。これからはサボらない、ロイは泣きながらそう固く誓ったのであった。
この日、誰が見たのか、瞬く間にエドワードがロイを蹴っ飛ばしたという噂が広まったという――…
End