木の葉の仲間






「部下達がいないと暇だな」

「任務もしばらくお預けだ」


上忍待機所でアスマ、紅、カカシが話している。

そこに大きな音を立ててガイが入って来た。

「お前ら、暇そうだな!」

「………お前の修行とやらには付き合わねぇぞ」

そう言うとアスマがふーと、タバコの煙を吐き出す。


「●●●が帰って来ててな!また3年前のメンバーで集おう!」

3年前のメンバーって………
●●●、俺以外の奴らとは普通に会ってんのね…。
俺は嫌われちゃったもんだ…。

カカシの胸がズキと痛む。

帰って来てたのね、と紅が驚く。

「場所は3年前と同じ居酒屋だ!明日夕方から集合してくれ!」
そう言うとガイはさっさと出て行った。

「3年前っていやー待ち合わせもせず偶然始まった宴会だな」

「懐かしいわね、確か私と●●●が飲んでて、アスマが通りかかってガイが通りかかってってどんどん増えていったやつね」

「ゲンマとカカシは居なかったな」

偶然か…………。
あからさまに避けられてる訳ではないのか。
先日ガイにも偶然会っただけだった。
アスマにも紅にも今回の帰省は知らせてないみたいだし……。
今回はいつまで木の葉にいるのだろうか。
…次はどこへ行くのだろう。

やっと会えたのに、きちんと名乗って会いたいのに会えないのは拒絶されるのが分かってるからだ。
臆病者は会いに行けない。


「ふー…………俺は遠慮するよ」

そう言って暗い顔でカカシは立ち上がる。

「あら、忙しいの?」

「3年ぶりだろ、会ってやれよ」

「んー、じゃあ偶然通りかかったら呼んでちょうだいよ」

そう言い残して、カカシは上忍待機所を出た。


「あの2人って、確か一緒に住んでたわよね?」

「………なんかあったんだろ」

「……………なんかって?」

アスマは考えながら煙を吐き出す。

「明日、●●●に聞いてみっか」




次の日、夕刻…


「おう、●●●」

「あ、アスマ、紅!」

●●●は笑顔で大きく手を振る。

「他のみんなは?」

「もう中にいるよ」

「アンコは中忍試験の教官で来れないみたいよ」

「アンコが?すごい!これからはずっと木の葉にいるしいつでも会えるかな」

「●●●!熱い修行の旅は終えたのか!?」

それぞれの最近の出来事や昔話、共通の知人の話題などで盛り上がる。
こんなに楽しいお酒は他にない。
やっぱり、木の葉の里とそこに住む仲間が●●●にとって1番落ち着ける場所を作ってくれる。
これはずっと変わらないと願いたい。
ずっと尾を引いてるあの夜みたいな事が起きないように…。


「●●●、お前カカシとどこまでいってんだ?」

いい感じにお酒が入り頬がほんのり赤くなったアスマがお猪口を片手に●●●に詰め寄る。

●●●の体にもいい感じにアルコールが回っていたがカカシの名前を聞いて一気に酔いが覚めた気がする。

「ど、こまでとは?」

「付き合ってんだろ、お前ら」

●●●は梅酒の入ったグラスをぎゅっと握りしめる。

「付き合ってない、よ」

「嘘つけよ、一緒に住んでたろ」

「そ、それは昔の」

「カカシに告白したかされたか………襲われでもしたか?」

ドクン、と心臓が大きな音を立てた。

「お前ら見てりゃなんかあったって事くらいわかるぞ」

●●●は何も言えなくなった。

ああ、もう。
そう思ったときには手の中にあった梅酒を一気飲みしていた。

「ちょ、ちょっと、●●●!」

紅が心配してくれる横で、アスマは「いいぞ、もっと!」なんて言ってる。

飲んでなきゃやってらんない。






皆んなで思いっきり飲んで、解散。

それぞれの帰路につく。
●●●は酔った頭でみんなにお礼を言って回った。
自分の為に集まってくれた木の葉の仲間だ。


●●●は、そのまま帰ってもよかったがすこし酔いを覚ますため歩くことにした。

春になったばかりの夜は、すこし肌寒い。

いつか花見に行った丘の桜は咲いているだろうか。

酔っておぼつかない足取りでその桜の元へ向かう。

20180310