おまけ編。
居酒屋を出て、それぞれのその後。
「どうしようかな」
明日の約束を前に鏡の前でカカシは頭を抱えた。
鏡には銀髪にスケアの化粧を施したどっちにもなりきれていない自分が写っている。
明日は●●●とデート。
だが、『はたけカカシ』のデートではなく『スケア』のデート。
カカシの格好で行くべきか、スケアの格好で行くべきか……。
待ち合わせ場所にカカシの姿で現れたら●●●はどんな顔をするだろう。
『スケアは実はカカシでした』なんて言って、ガッカリした●●●の顔はきっと心臓に悪い。
なんだろうな、この……スケアは俺なのに俺じゃないような感じは。カカシもスケアも俺なのに●●●によく思われてるのはスケアだけ。
●●●が『カカシ』に苦手意識を持ってるのは『スケア』のときによく聞く『カカシ』への愚痴でよく分かってる。
俺自身『はたけカカシ』でいる時はどうしても『頼りになる先輩』でいたいがためにキツイ言葉を発したり、感情をあまり表に出さないように意識してしまう。ところが『スケア』でいるときはそんなこと一切考えず、自然に●●●と接することが出来るのだ。
「俺もまだまだガキだね、どーも……」
自分にとってこんな難題を生み出すような約束しなければよかったかななんて思うが、●●●とのデートはしてみたい。
何度も言うが、●●●がよく思ってるのは『カカシ』ではなく『スケア』。
俺はどっちに接する●●●も好きなんだけどなぁ……。
カカシはポリポリと軽く頭をかいて、化粧を落とし解決しない問題を抱えたままドスンとベッドに横になった。
**
「う〜〜ん」
●●●は鏡の前で自分とにらめっこしていた。
やっぱりデートとなったら普段の忍者服では失礼な気がするんだよね……。
ところどころ引っ掛けて破れた跡があるし、何より汚れてる。それに大好きなスケアさんとのデートなのだ!
けれど、普段忍者服しか着ない●●●はろくな服を持っていなかった。
ガサゴソとクローゼットの中を漁る。
「これか…」
●●●はひらりと揺れる真っ白なワンピースを引っ張り出した。何年も前に、買っただけで1度も着る事がなかったワンピース……ちょっと埃臭いけど忍者服よりはマシだよね。
●●●はハンガーにワンピースをかけて風通しのいい場所に干した。こうすれば明日までには埃臭いのも少しは良くなるだろう。
靴は?鞄は?ああ!デートって嬉しいけれどめんどくさいっ!
●●●はこれまた埃臭い履き慣れないハイヒールと控えめな飾りが光る鞄を引っ張り出した。
こんな気合の入った格好して行ったら逆にスケアさん引いちゃうかな?大丈夫かな………?
アスマ先輩やカカシ先輩とのデートだったら忍同士だし何も考えず忍者服で行っちゃうのに。って、私ったら何を考えてんの。そんな大先輩とデートなんて無理無理!
いつも居酒屋でしか会えなかったスケアさんと明日は外で会える。
いつもと違うスケアさんが見られる。知らなかったスケアさんが知れるかもしれない。準備はめんどくさいがわくわくと心が踊る。
「楽しみだなあ」
**
夜が明けて、デート当日。
●●●は髪を整えて、薄めの口紅を軽くのせた。いつもはしない化粧だけど、変じゃないかな?私も紅先輩を見習わなきゃな。あの人はいつも必ず化粧をしているし、なんだか余裕がある。これからは私も上忍だし化粧する余裕を持った方がいいかな!毎日してみようかな!!
ワンピースを着て、ハイヒールを履き飾りの光る鞄を持った。
鏡に映る自分はいつもの砂埃だらけの忍ではない。今日だけは街で見かける普通の女の子だ。
「うーん、我ながら気合入ってる!」
鏡の自分にガッツポーズした。
●●●は準備が早く終わったので早めに家を出て待ち合わせ場所に向かった。
ああー、いよいよだなあ!
スケアさんもういるかなあ?
待ち合わせ場所が近づくにつれ胸が高鳴る。
店の窓ガラスに映る自分を何度も確認する。
変じゃないよね?大丈夫だよね?
今更ながら気合を入れすぎたのでは?引かれないだろうか……とすこし後悔した。
**
リクエスト小説のおまけ編でした。
つづく。
って、まだつづくんかーい。
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