きらきらして見えて
どれだけたくさんの人がいても、その中で一人だけ、簡単に見つけられちゃう
それが恋なんだと、気づいたのはずいぶん昔のこと

愛しい声が、何度も私の名前を呼んで、ずっと見ていた彼と、はじめてキスをした
演技でも、メンバー愛でもなく
ただの、男と女だった

何度もキスをして、強く抱きしめられて、そして抱かれた

いけないとわかってた
わかってたのに

目を開いて、最初に目に入ってきたのは安心しきった顔で眠る准くんだった


―――最悪だ


なにが?――幸せだと思ってしまった自分が


准くんが起きないように、そっとその腕から抜け出す
着た覚えがないパジャマは、おそらく部屋に備え付けのもので准くんによって着せられたんだろう
こんな心遣いをしてくれる人なんだとこそばゆい気持ちになる
散らばった服を拾いながら洗面所に入り、鏡をみてドキリとする
ちらりとみえる肌には、たくさんの赤い痕

数え切れないほどの赤も、鈍い痛みも、全て現実だと語っている

その全てが、准くんの想いのような気がして、
その全てが愛しく思えて


「―――だめなのに」


着替えを終えて部屋に戻ると、准くんは変わらずそこにいた
じんわりと、視界が滲んでゆく
ここから出たら、すべておしまい

起きないで、最後だから

眠る准くんにそっと近づき、唇を寄せる


「っ!?」


軽く触れるだけのはずだったのに、後頭部に回った手が離れることを許さなかった
滲む視界の中で、准くんの目はまっすぐ私を捉えてた


「っ―や、めて…!」


その目から逃れるように、腕に力をこめた


准「……まりな?」


もぞりと起き上がった准くんが立ち上がった私を覗き込んだ


「――――ねえ、じゅんくん、なかったことにしよう」


声がカラカラだった。でも、言わないわけにはいかない
准くんがどんな顔をしてるか、顔をみることはできなかった


「おねがい、なかったことにして」
准「……それが、まりなの答え?」


准くんは昨日私に聞いた。後悔しないかと
しない。絶対しない。しないけど―…


「、私にとっては、V6が一番大事で、仲間としての准くんが何よりも大事なの」
准「でも、おれは、…おれはまりなのことが「っやめて!」っ、」
「やめて聞きたくない…っ」


聞いてしまったら、もう後戻りできなくなる


「私たちは、最高の仲間。――――それでいいでしょ?」


准くんの手が弱弱しく私の腕を掴んだ。その腕を振り払って、背中を向ける


それ以上の言葉は無理だった
かばんを掴んで部屋をでる

今まで開けたどの扉よりも重くて、どの扉よりも固かった
がちゃりとした音を聞きながら帽子をかぶり直した
涙が止まらなかった


何度も抱かれた
何度もキスをした

言葉はなかったけど、充分だった

私がV6であるために、これはあってはならないもの

たった一夜だけ
たった一夜だけ

准くんは、きっと忘れてくれるんだろう
私たちは、明日からも変わらない。ちゃんと仲間でいられる
それでも分かるの
この愛しさも、痛みも、すべて
私は一生忘れられない

この思い出さえあれば、私は生きていける

だから、この思い出を全部私にください