♪BEAT YOUR HEART

井「ちょっとちょっとちょっと!?え!!????」
「んふふ」
長「かわいいね〜〜〜」
健「おまえ〜〜〜〜」
「今日はね、記念日なんで。ちょっとかわいくしてみました(笑)」

『かわいい〜〜〜〜』

「ありがとう(照)」
井「姫〜〜〜〜!お前〜〜〜〜!!!!」
坂「衣装でスカート珍しいな」
井「俺たちにも内緒だよ!今日だけだよみんな!レア!!」
「井ノ原くんうるさいよ(笑)」
井「っていうか岡田どこ行ってたの?(笑)」
准「外!」
「なにそれずるい!最初に言ってよ!誘ってよ!」
准「外いっぱいいたよ人。会ってきたよ」
井「岡田来たらどんな反応してた?」
准「“いえーい”って」
井「そりゃあそうだろ(笑)」
准「ありがたいね〜」

『もう一回!』
『もういっかーい!』
『もう一回、もう一回…』


准「…あの!」
「ん?」
准「あの!すいません。少しお時間もらってもいいですか」


客席からのアンコールに応えるのだと、ステージの上でみんな目を合わせたとき、口を開いたのは准くんだった
慌てて周りをみても予定のない言葉に、驚いた表情をしたのは私だけ


准「私事なんですけど、ちょっとお話したいことがありまして」
「え、なになに?」
『(ザワザワ)』

井「…実はね、これ剛と健の提案なんですよ。それにね、トニセンも大賛成しちゃってね、そんなわけでちょっと時間もらってもいいですか、みなさんよろしければ座っちゃってください」
「え?え?」
『(静かに着席)』
井「岡田くん、どうぞ」

准「20周年、さっきここでみんなに感謝を伝えて、これからも頑張っていきたいと、そう決意を新たにしました
そんな場所で、そんな場所だからこそ、この場を借りて、どうしても言いたいことがあります
ガムシャラに走ってきた20年でした
何度も、間違いを犯して、それでも正しいと思える道をすすんできたつもりです
だから、いまから話すことは、みんなの前で言うことがケジメだと、そう、思いました

20年間、ずっと思いを伝えたかった人がいます」

《会場が真っ暗になり、岡田と新城にスポットが当たる》


「っ!?」
准「新城まりなさん、メンバーとしてだけじゃなくて、一人の女性として、あなたのことが好きです」

《ガッッキイィィィィンンンンとマイクが落とした音が響く》

准「全部受け止めるから、俺と結婚してください」


客席はしんと、静かに、見守っていて、
メンバーのみんなも、お客さんもみんな私を見てるんだと感じた
私は、真っ白な頭で、ただ、ただ准くんを見つめ返した
ころころ転がったマイクが、こつんと足に当たった


「…なに、いって」


マイクを通してない言葉は、きっと誰にも届かなかったと思う。それでも、言わずにはいられなかった

だって、准くんはいま何と言った?聞き間違いでなければ、准くんは、結婚して、と。好きだと
ずっと、求めていた言葉は、一生向けられることはないと思ってた
10年前のあの日、全てをあきらめたはずだ

准くんが一歩一歩近づいてきた
私は、ただその場から動けずにいる


准「冗談じゃないよ。ちゃんと、本気やから」


目の前でとまった准くんが、私のマイクを拾って差し出した


受け取って、なんと答えればいいのだろう
ごめんなさい、って。そうやって嘘で塗り固めて、また准くんを傷つけるのが、本当に正しいこと?
でも、私にはそうすることしかできないはずで、許されないはずで


ぱちぱちぱち


それは、最初ほんとに、小さな小さな拍手だった

そしてその小さな音は大きな音とたくさんの声援になって、私たちに届いた


『まりなちゃぁぁああああん!!!!』
『頑張ってー!!!!!!』
『岡田くーーーーん!!!』
『おめでとーーーーーー!!!!』


井「ちょっと、おめでとうは先走りすぎでしょうよ(笑)」
健「ほら、ほら、はやくはやく」
坂「こら健!せかすなよ」
剛「うるせえよ(笑)」
博「ほら、見守るんじゃなかったの(笑)」
健「だってさあ!」


坂「まりな、隠す必要はない、胸を張れと岡田に言ったのは俺たちだ
すぐにわかってもらえない人も、いると思う。でも、いまこうやって声をかけて拍手してくれている人もいるんだ
お前にも、言わなきゃいけないことがあるんじゃないのか」


気付かれていることは、知ってた
でも、一生それは、口にすることはないと、思ってた


「…坂本くん、…みんな」


ぽろりと、堪えきれなくなった雫が、頬を滑る
泣かないで、と応援する声が客席から響いた。女の子の声も、男の子の声も
准くんが、私に再度マイクを差し出した
全てを、わかっているかのように、その表情はとても優しくて、私の言葉を待ってくれているんだと気付く。強く、頬を擦ってマイクを受け取った

この思いに、応えたい


「わたしも、…すきです、っ
わたしをじゅんくんの、お嫁さんにしてください、」

『おめでとう!!!!!!!!』
『まりなちゃーん』
『准くーん!』


間違いなく、今日一番の声援だった
会場に、『Believe Your Smile』が流れるのが聞こえる

准くんが私を抱きしめて、
そこに、健くん、いのっち、ひろしくん、剛くん、坂本くん みんなが抱き着いてきて

苦しいよって、また涙がでた