「…ほんと、っばかでしょ…、」


タオルに顔を押し付けながら、投げかけたことば
なんともかわいくない。でも、本当のことだ

だって、だってまさか、ステージの上で


准「なにが?」


隣に顔を向ければ、さっきと同じ、全てわかった顔をする准くん


「…ずるい、」
准「…本気って言ったやろ」
「だって、そんなの、断れるわけない」
准「ステージの上だから?」
「そうだよ、…あんなふうに言われて、」
准「それだけ?」


そう聞いてきた准くんは、やっぱり全てをわかっていて、それでも聞いてきている


准「あの時言わせてもらえなかった言葉、ちゃんと言わせてよ」
「っ、」
准「好きだよ」


あの時、っていうのがいつのことを示すのか、分からないわけがない


准「好きだから、結婚したい」


准くんの瞳が、私をまっすぐ見つめて離さない


「…もう、聞いたよ」
准「うん、でも言わせて」


私たちは仲間で
20年間も一緒にいて
もはや家族みたいなもので
それでも私は准くんが好きだってことは、逃げようのない事実で

さっき決めてしまったのだ
V6であることと、准くんが好きだということの二つが私の姿だって
あの、ステージの上で

すん、と息をすって小さく呼吸を整える


「…、すき」
准「ん、」
「わたしも、すき」
准「ん、」
「ずっと、ずっと、すき」
准「ん…」


あまりにも、あまりにも嬉しそうに笑うから、私は、ほんとに何も知らなかったんだと気づく


だって、そんな顔知らない


准「まりな、ずっと一緒に生きていこう」


その言葉が嬉しくて、嬉しくて何度も何度も頷く
准くんの手が、私の涙をそっと拭った
と同時に、ぐっと距離が縮まるのを感じて、そっと目を閉じる。准くんの唇がそっと重なった

あの時よりも甘くて
あの時よりも幸せで

やっぱり私は何も知らなかったのだと、何度も重なる唇を全身で感じ、愛しさが溢れた