拒絶の行く末は
夢主目線。
蘭のまわりには、いつも素敵なものが集まっていた。カリスマであるという自負から、身に着けるもの、身のこなし、言動、どれも計算されつくしていて、いつも見入ってしまうくらいに。
だから今年の誕生日は、チャンスだと思った。高校生になった今なら、バイトで稼げる。最高のプレゼントを彼に渡せる。今まではほかの女の子から「ナマエちゃん蘭と知り合いなんでしょ、代わりに渡してくれない?」なんて言われていわれるがまま渡してきたけど、今年は自分で選んだものを渡すんだ。
そんな決意を胸に抱いて、私は夏頃からバイトに励んでいた。ようやく目標金額になって、Y〇Lのショップで男性向けの財布を買って、プレゼント用にラッピングしてもらって。
受けとってくれるといいな、喜んでもらえるといいな、なんて思いながら、私は黒い紙袋に入ったそれを見つめていた。
「いらねーなぁ」
だからそう言われたとき、理解するのに5秒かかった。そして言葉の意味がゆっくり頭に染み渡ると、鼻の奥がツンとなった。
とっさにうつむいて「そっ、かぁ」というのが精一杯。逃げるように立ち去って、あちこち歩き回って、いま私は近所の公園にあるブランコに座っていた。そろそろ帰らないと日が暮れてしまう。
思ったよりも涙が出なかったのは、自業自得だという気持ちだからなんだろう。今まで私自身がプレゼントを渡したことなんてなかった。だから、蘭はこの財布も「誰かからの預かりもの」だと思い込んだに違いない。
……それより、この財布どうしよう。買取専門店に持っていったら「学生からの買取は受け付けない」と言われてしまった。
だったら、自分で使う? 財布を開くたびに悲しい気持ちになるし、男物の財布は私が持ってたらミスマッチだ。
なら、捨てる? 論外だ。8万近くしたんだぞ、それを捨てるなんてとんでもない!
じゃあどうする? ほかの誰かにあげてしまおう。ムーチョならきっと似合うんじゃないかな。そうと決まれば早速彼に電話してみよう。
私はブランコに座ったまま、携帯電話を取り出してムーチョに電話を掛ける。3コール目でつながった。
「もしもし、ナマエか?」
「ムーチョ? あのね、ちょっと渡したいもの……んぐっ!?」
早速話を切り出そうとしたら、背後から手が伸びてきて口を塞がれてしまった。どうにか塞いでいる手をどけようとしているすきに、私の携帯電話がするりと取り上げられる。
「おいどうしたナマエ」
「かけ間違いだ。切んぞ」
「蘭……? なんでオマエが」
私と電話口のムーチョが戸惑うのもお構いなしに、口を塞いだ張本人――蘭は、終話ボタンを連打して通話を打ち切った。
「何勝手にオレ宛のプレゼント渡そうとしてんだ」
「いらないって言ってたし、どう扱おうが自由で……あっ!」
黒い紙袋を素早くひったくられる。
「
何を言ってるんだこの人は。言い返そうとする前に、蘭は素早く身をひるがえしてどこかに行ってしまった。
でも蘭が受け取ってくれたから結果オーライ、なのかな。心なしか後ろ姿も上機嫌そうだったし。
