それが愛なんでしょ
蘭と竜胆が(一応)通っている高校には、灰谷兄弟の非公式ファンクラブなるものがあるらしい、ということを最近知った。たまに高校行くとキャーキャーはしゃぐ女どもがいるのはそれだったか、と蘭は納得した。チヤホヤされるのも悪い気分じゃないからほっとくことにした。カリスマは持て囃されるものだし。
ファンクラブは大体10人くらいで、皆蘭達に熱い視線を送っていた。特にナマエという生徒は、ファンクラブのサブリーダー的な存在だった。キャーキャー騒ぐ奴らの中で唯一「二人ともかっこいいなあ……」と噛み締めるように呟いてる女。
気まぐれで奴らに手を振ってやるとさらに歓声が上がる。ナマエも嬉しそうな顔で蘭と竜胆を見ていた。
しかし、ある日を境にナマエがファンクラブから姿を消した。蘭はファンの一人を呼び出して穏便に脅し……もといお話を聞いた。怯えながら話してくれた彼女はこう言った。
「ナマエちゃんはリーダー格の女から嫌がらせを受けてて……暴力とか振るわれて、ずっと、学校休んじゃってて」
リーダー格は蘭に熱を上げていたが、蘭の視線を独り占めするナマエが憎くてたまらなかったらしい。
蘭はすぐさまナマエの住所を聞き出した。そのまま学校を抜け出す。
ナマエの家に着いて、インターホンを押したがなんの反応もない。
無理矢理戸建ての壁をよじ登って、2階の窓をノックした。驚いた顔のナマエがいた。開けろ、と口パクで伝えるとすぐに窓が開く。蘭は靴を脱ぎ捨てて、部屋に入り込んだ。
「で。全部聞いたけど」
「……あの、ファンクラブの話ですか。私にはもう関係ないので」
「どうしてほしい?」「え?」
「お前を追い出した女。どうしてほしい?」
「どう……って言われても。もう顔を合わせたくないので、放っておいてもらえませんか」
おそらく彼女は"蘭と顔を合わせたくない"という意味合いで言ったのだろう。が、蘭はそう受け取らなかったようだ。蘭はうなずくと、黙って家から出て行った。
その数日後、再び蘭がやってきた。窓を開けさせ、開口一番「解決したから」と言ってまた出ていく。
どういうことかと思いながら学校に行くと、リーダー格の女がいない。
友達に聞くと、何者かとお話し(婉曲表現)の末、入院することになったらしい。ファンクラブも自然消滅していた。
灰谷兄弟もほとんど学校に来なくなった。が、ナマエは蘭と会う回数が増えた。なぜか彼がやたらと家に来るからだ。
「オレのファンなんでしょ。じゃあ隣で好きなだけ見てなよ」
とか言いながら。ナマエにとって、心が休まらない日が増えてしまった……。
タイトルは朝の病様よりお借りしました。
