ゴミ捨て場の決戦 木葉のの様より

夏休み、烏野にとって2回目の梟谷グループでの合宿が始まった。

「研磨ーてっちゃん!久しぶりー」

今まで澤村と仲良さげに話していた結はバスの到着を待っていた2人を見つけてすぐに駆け寄っていった。

その心底嬉しそうな表情の結に心穏やかでは無い人が1人。

「大地ー、あんまり怖い顔してっと、ビビられるよ?」

「……スガ」

「あれは、確かに妬くわなぁ」

「俺は別に、もう結のことは……」

そう言い訳しようとして、口ごもる。

高校に入って出会った結の明るさに無意識に惹かれていたが、彼女の中にずっと思っている人が居ることは、この3年になるまでの間で気が付いていた。

それがあの音駒の主将だなんて思ってもみなかったが。

「でも、諦めるわけじゃないんだべ?」

「当然」

一時は諦めようとした事もあった。親友のポジションに甘んじようと。

ただ、あの食えない奴に戦わずして渡してしまうのは癪だった。

「おい結。清水が呼んでっぞ」

「うっそ!教えてくれてありがとう大地!またね2人とも」

慌てて走っていく結。

「どうも、うちのマネージャーがお世話になりました」

顔が歪む黒尾に皮肉の笑みを向ける。

「いえいえ、こちらこそ」

負けじと笑顔で返すが口角がヒクヒクとしていた。

バレーの技術は認めるが、結の事に関してまで認める訳には行かないな。

「宣戦布告、って感じだね」

「はっ……負けねぇよ」

あいつに取られるわけには行かない。それは黒尾だって同じこと。

全く連絡も取れなかった2年間をやっと乗り越えて、電話だってメールだって出来るようになったけどの内容は烏野バレー部やあの主将の事ばかり。

さっきだって、前より強くなってるだとか、そんな話を楽しそうに目を輝かせて言われた。

こんなんで心穏やかでいられるほど、俺も人間が出来ていない。

本当なら、俺たちといっしょに音駒でバレーをしていたはずだったのに。

結のせいではないし、誰に文句も言えないが、そう思わずには居られなかった。

「絶対、あいつには負けねぇ」

中学までは俺と結はほとんど一緒にいた。でも今は違う。あいつは確かに同じクラスで同じ部活。明らかに結と接する時間は俺より多い。

でもそんなのは関係ない。これからも音駒と烏野は頻繁に交流するだろうし、ケータイがあればいつでも話すことは出来るし。

この時代に生まれて良かったと思うね。

バレーでも恋愛でも、絶対勝ってやる。

「澤村」

「ん、どうした黒尾」

「売られた喧嘩はきっちり買うぜ?」

「受けて立つよ」

声を掛けると、帰ってきたのは不敵な笑み。こいつは本当に食えない相手だわ。

2人はこつんと拳を当てて、また各々のチームへ帰って行った。


「ねぇ潔子ちゃん、大地とてっちゃん、仲良くなったね」

「え……?」

「お互いやる気に満ちてる感じだし!部長同士気が合うのかな?」

「結って、本当に鈍感だよね…」

「それどういうこと!?」


fin.

『白-hakusen-線』の木葉ののちゃんから頂きましたーーーー!
暑中見舞い企画してて、真っ先に飛びついたわたしw
もうね、ののちゃんはうちの夢主を分かってくれてるからすんごく嬉しい!
「黒尾vs澤村」をお願いしたら、こーんな素敵な内容になりましたよ!奥さん!(誰w)
火花バッチバチの2人がもう・・・・良い!
ののちゃんホンマありがとう〜〜〜〜〜!!!!!