守りたい幼馴染み@





(本間乙也)


幼い頃から一緒にいる人って、やはり、何だかんだ話しやすい。高校に上がって、隣町の高校に通ってから、より思うわけで。


自分の通っていた南畦中のある地区は、南市の中でも1番なにもない、特に大きくもない地域と言っても過言ではない。小学校から中学校に上がる時はほぼ同じメンバーだし。ちょっと商店街や住宅街があるくらいで、あとは周りは農地。電車が通っているしお店も揃ってはいるからまだ、住みやすいところではあるけどね。






実際、自分の通っている星の里高校のある江南市とは近い場所ではあるが、昨年度まではアクセスが悪くて、電車で行くにしても学校に間に合わない時間帯だった。でもどうやら今年度から電車の数が増えたようで。

最初から通生だった空真の住んでいる南市の東町地区から江南市まではアクセスは良かったんだけど、東町を過ぎると本数は激減。だったのが、今年は範囲拡大したようで、通うほうが金かかんないって親が言ってるから、俺も実はつい最近退寮して、通生になった。朝早起きも大変だけどね。





県総体が終わった翌日は、部活オフ。この日は昼からは既に先客がいるんだけど、何か、元ペアで釜川高校の平山秀介に朝っぱらから呼ばれて、午前中だけ会うことになった。いや、昨日もあんなに話したのにおいおい。





「てか、俺昼から約束あるからそんな一緒にいてあげれない」
と会ってすぐに俺は言った。

「え、誰と会うの」
「…まあ、この話は後で。」


自分の恋心が今、動き出しているっていうことを。





自分の恋愛経験はまあ、そこそこですかね。っても、最後に彼女できたのは中1の時。それ以来も色々とあったことはあったけど。



「え、誰、女?」
「…まあ、隠す理由ないから言うけど。女です」
「おー。だから過去の女には興味無いって言い張ってんのね」
「そういうこと。」

まあ、元カノもまだなんか俺の事言ってるらしいけど、俺は俺で前に進んでるから、正直どうでもいい。



「遥香、いるじゃん。野口遥香。2ヶ月くらい前から、相談乗るようになったのがきっかけで」
「まじ?」
「まあ、相談乗るようになったのは偶然だったんだけどね。」

彼女の相談は、当時付き合っていた彼氏のことだった。俺がまだ寮生だった2ヶ月前、帰省の際に、コンビニに行こうとその辺を歩いていると、道端で言い合いしている男女がいた。その女が、幼なじみの遥香だった。
あの時遥香は、泣きついて俺のところに来た。あれを見たからか、俺も、心が揺らいでしまった。

遥香の当時の彼氏は同じ北宮高校の人で、中学は違う人で、年上らしい。部活は全然違う人だけど。
でも、色々と、酷かった人みたい。北宮高校のソフトテニス部の先輩も、そう言っていた。




「いや、あの人、精神的に不安定な状態続いているんさ。彼氏と別れたけど、今も体目的で関わろうとして来るって、付きまとわれてたり」
「うわー、そんな男いるんだね、流石北宮高校」
「関心してる場合か。」
「でもまあ、最初は乙也も巻き込まれたって感じか」
「結局は自分も遥香に恋しちゃってるから、何も言えないんだけどねー。」



何だか、守りたくなる存在だなって思ったの。それから、意識し始めたかな。




「で、今日はインハイ出場おめでとうって理由で呼び出しされた」
「まあ、元中みんな歓喜だわ、それは。遥香だけずりー」
「でもどうせ近々みんな集まるんでしょ?」
「まあでも、来月のいつかじゃない?…じゃなくて、遥香から呼び出しされたの?」
「呼び出しっていうか、前々から遊ぼって話にはなってたから、それじゃないかな?」
「いいねー。モテ男は」
「秀介も恋愛すればいーのに」
「イヤミか」

こいつ彼女できたことないんだよなぁ。多分、男として見られてないと思う、みんなに。高校のことは知らないけど。
まあ中学の人なんて、大体小さい頃から同じ人ばっかだし、余計にか






なんて秀介と話した後、部活終わりの遥香を迎えに行く。駅で待ち合わせしていて、俺も自転車で向かった。


駅で合流して、なんとなく、自転車でその辺をうろついていると急に、テニスしよなんて言われる。


「え、じゃあ1回荷物取りに行っていい?」
「いいよ。してくれるの?」
「俺もテニスしたいわー。昨日からずっと打ちたかった」

って感じで、家にラケット等取りに行ってから、公園のテニスコートに行く。県総体は最終日は自分は特に試合してないので、昨日あんな熱気のある試合を沢山見て、仲間を応援して、俺もずっと打ちたかった。




「テニス始めたの同じ時期なのに、気づいたらインターハイ決めちゃってるもん、乙也すごいわ。おめでとう」
「ありがと。でも俺ほんと、何もしてない、空真のおかげ」
「んなわけ!乙也も上手すぎるから」
「何、そんなに俺の事褒めたいの?」
「…褒めるのやーめた、せっかくおめでとうって言ってるのに」
「いや、ごめんって!!」


若干、不貞腐れたような反応をする遥香。

可愛いって思ってしまった時点で俺はもう、後戻りできない気がする。こんなに深く関わるつもり、なかったのに、いつの間にか。



南市は、スイーツが有名。あちらこちらに、有名店舗が並んでいて、アップルパイが有名なケーキ屋さんもあるし、お土産で有名なお店の本店が市内に沢山ある。そのお店にはカフェもあったりとし、俺たちはそこに入ることにした。


…なーんか、カフェデートしてる気分じゃん。なーんて。俺も浮かれちゃうよ。





と、そこで、近況を聞いた。遥香の、元彼の話を主に。


「…最近は、そうでもないかな?とは思うけど。」
「油断は禁物だけどな」
「そうだよねー。もう学校行きたくない」
「でも、懲りないよね、その元彼さん」
「まあ、私みたいなチョロくて惚れっぽい奴、まだいけるって思ってんだろうね。」
「確かに、変な男に引っかかること多いよね、昔から」
「そこ笑うなっ」


遥香がかつて付き合ってた男も、ろくな人あんまりいなかったと思う。あと、体目的で来る人も多くはない。同い年の女子の中では、1番女らしい体つきしているなって、俺も思うくらいだから。



「とりあえずまた何か愚痴りたいことあれば、俺のこと呼んでいいから。」
「あー確かに、もう退寮したんだもんね、気軽に会いにいけるじゃーん!」
「いやそんな来なくていいわ」
「…振られた」
「ばいばーい」
「あー。もう!」


俺は軽く叩かれた。まあ、大体昔から仲良い奴とは、こんな調子だ。






俺も別に、恋愛経験そこまであるわけじゃないし、むしろ最後に付き合ったの小学生の時だから、さ。






ちなみに、俺と遥香が最近仲良いこと、遥香のいる北宮高校のソフトテニス部はなぜかみんな知っている上に、面白がってくる。多分、気づいたら広まってたみたいだけど。


「逆にそのまま付き合ったら、状況変わるかもしれないよ?」
なんて、言われてるぐらいだ。まあそれは俺も、考えたことあるけど、こんな俺なんかでいいのか、っていうところから始まる。




でもまあ、ここまできたら、俺が何とかしてあげたい気持ちも大きい。でも、どうやって。なんて考えていると、月日が経っていた。