ホワイトデーと次の日





(大宮宏斗)


あれから1ヶ月が経とうとしている。


あれから…。
思い出すだけで嫌になってくるな、んっとに。

なんであんな行動とったんだろうね。なんか、自然と体が動いてしまった。本気で。

あれから話せてない訳ではない。でも未だに気まずいところがある。まあ、あれから最初の1週間よりはまだ。


今日はホワイトデー。あの日はバレンタイン。つまり丁度1ヶ月。
ホワイトデーはちゃんと用意したよ。

にしてもこれ、いつ渡そうか。





この日は学校横にある体育館での練習。冬場はここの体育館を使うことが多い。学校の体育館を使うのは朝練くらいかな。西星高校、バドミントン部やバレー部にバスケ部とか、運動部は様々だからね。


部活終わり。

「ところで彼女いる組はホワイトデーどうなのよ」
と瑛太先輩は質問した。

「いや瑛太先輩こそどうなんですか」
と泰聖が瑛太先輩に聞くと
「月曜日部活なかった時にあげたよ。今日は俺も部活だし向こうもバイトだし」
と答える先輩。

そういえば瑛太先輩の彼女さん、月曜日に瑛太先輩との写真をSNSに載っけていたような。

「俺これから駅前行かなきゃいけない」
と野川先輩。
「おー、今からっすか?」
俺は先輩に聞いた。
「お互い部活終わりだから駅前で待ち合わせしよって話になった。」

野川先輩の彼女さんは東商だっけ。結構見るんだよなぁ、駅前で野川先輩カップル。


その時に泰聖と柊弥が二人揃って俺のところにやってきた。

「な、なんだよ」

「宏斗どーすんの、つぐみに」
と柊弥に言われる。

いや、言われなくても用意くらいはしてるわ。でも今日あいつ部活来ない日だし、だから家に行って渡そうかって。どうせ近所だし。まあ、今日部活にいなくて正直助かったわ。

「え、もう会う約束してるの?」
と泰聖に聞かれる。
「約束はしてるけどこのあとすぐじゃない、21時くらいに行く」
「おー、頑張れ」
「バレンタイン嬉しくて抱きしめちゃったぐらいだもんね?」
「うるせバカにすんな泰聖」

柊弥と玲一にしか言ってないはずだけど、泰聖ってそういえばつぐみと同じクラスか。聞かされたのかそうじゃないか、どちらにせよ恥ずかしいなぁ


「もう本当に宏斗の見てるだけで面白いわ」
「お前それしか言わねーよな」
恋バナ大好きの柊弥さんに言われちゃあね。




約束している時間までは泰聖が時間つぶしに付き合ってくれた。

「てか泰聖は彼女にホワイトデー渡したの?」
と俺は泰聖に聞いた。

「明日」
「あ、はーい」

なんて、泰聖に質問責めをしてたけど。

「…宏斗、緊張してるね?」
「え?」

たしかにさっきから力入んないけど。

「なんかこれから告白しようとする人みたい」
「泰聖はどうだったの告白する時」
「俺?なんか、沢山遊んでその後に疲れたねーってしてる時に勇気出した」

でも泰聖も、いざ言って、返事を言われるまでの間が本当に心臓がバクバクしてたらしい。








約束の時間になった。インターホン押すだけで緊張するな。これ。


「あ、わざわざありがとうね宏斗」
「いーよ全然。」
「いやー、宏斗がこうやってホワイトデー持ってやってくるんだなーって」
「バカにすんな」

とりあえず、家に上がらせてもらった。


「今日親いないの?」
「あー、兄ちゃん引越しだから今日からしばらく1人なのさ。さっき出発だったからそれで今日手伝いしてて部活行けなくて」
「あ、そうなんだ、詩音くん引越し早いね」

つぐみの兄ちゃんの詩音くん、進学先は県外で、音楽大学らしい。中学から吹奏楽部だったっけ。

俺の兄ちゃんもこの地を離れるけど、ギリギリで出発だからまだまだなんだよな。つーか、俺も兄ちゃんの引越しの時は家で1人でいろって言われたな。部活あるし。



「あ、そうだ、明日部活5時半までになったから」
と、とりあえず今日の部活の時に先生から言われたことを伝える。

「ほんと?!」
「なんか知らんけどミーティングの時部長に急に言われた」
「やったー!」

いつも平日に部活が終わるのは6時半だから。1時間だけだけど終わりが早まったのは最高すぎる。



「じゃ、また明日ね」
「はいよー!」

こんな感じでこの日は話して終わった。こうやって話せて楽しくて仕方ないのも、結局好きだからなんだろうな、と思う。





次の日の部活は廊下練だけで終わった。廊下練の拠点は玄関だから、まだ寒すぎるんだよ。動いてたらそうでもないけど。


たまたま帰りのバスがつぐみと同じになった。

「どうっすか、数日限定の一人暮らしは」
と俺は聞いてみる。
「私多分お嫁さんに行けないことが分かった」
「家事できなさすぎだから?」
「うん、思ってたより自分できなさすぎて萎えた」

煽ったつもりがそのまま受け入れられちった。本当に実感してたんだなこいつ。



「つぐみって結構不器用だから、それを受け入れてくれる人と結婚しないと」
「さすがにそれはバカにしてない?ねえ?」
「でも、面倒見もいいし、何事にも諦めないし、子供できてもいいお母さんになりそう。」
「さすが、昔から知ってる人だわ」
「お互い様だろ」

何だかんだ、お互いずっと一緒だったからな。家も近いし、小学生の時は一緒に帰ったこともあったし。ましてや中学はテニス部だし、高校も同じ。

俺が前に熱上がった時もついてくれていた。こういうところがあるから俺も世話になるのかなぁって。


「中3の時にさ、俺、つぐみのこと振ったのは覚えてるよね」
「あー、正直忘れられない出来事」
「ですよね。本当にすいません。あの時は何も考えずにあんなことを。」
「やっぱり何も考えてなかったのね」

今考えればバカなことしたなあって。


「まあ、今考えれば宏斗らしいそういうところも好き」
「これ俺らしいことなの?」
「そういうバカ全開なところが」
「俺=バカなの?」
「だってそうじゃん」

俺のそういうところも俺のことだから、と理解してくれる人、やっぱりこの人が一番。昔なじみって本当に凄いなぁ。


「ま、そのおかげで今はちゃんと、つぐみのこと好きになれたし、付き合いたいと思ってる。」

はー、言い終えたら緊張が抜けたのか、ちゃんと立てなくなった。

「告白するだけ言っといて立てなくなるとか本当にバカ」
「俺今日何回バカって言われたんだろ」

なんて笑ってたら、つぐみのほうから急に抱きしめられた。

「好きー!!」
「わ、びっくりした」

つぐみの顔をよーく見たら、こいつ、泣いちゃってるし。


「やーっと想いが通じた気分」
「すまん、1年半も待たせて」
「本当にだよ」