終わりとスタート
(千葉哉斗)
どうせ俺は、未練タラタラボーイですよーだ。
昨年の5月から今年の3月までつきあっていた先輩、悠乃のことは未だに頭から離れられない。まだ好きなんだ。正直。
気づかないうちに俺が一方的に相手を傷つけ続けていた。ケンカした時の俺の言動が悪かった。泣きながら、「もうあんたのこと無理」って言われて思いっきり顔を叩かれて、って、原因は俺が悪いから自業自得。
「バカだねー、勿体無い」
なんて他の友達には言われるし。
高校に入学して1ヶ月が経つ。
部活終わりには、先輩や友達と焼肉に来た。
その時に歩夢のせいで話題に出された俺の元カノの話。
さすが恋愛のことをよく分かってらっしゃる柊弥先輩。話したら、何か、勇気が出た。
でもなあ、連絡先全部、ブロックされてるんだよなあ。俺の目の前で連絡先を削除するところ見せられたし、そればかりは。
「いっそ新しい恋するのでもいいかなーって思うんですね」
「自分がそうしたいならそれでいいけど、まだ元カノのこと好きなんなら行けるとこまで行かないと。後悔するよ。」
「でも向こう絶対俺のこと相手にしない気が…」
「行くだけ行け!とりあえず!」
「はーい…」
柊弥先輩も中学の時の元カノとは度重なるケンカで別れて、でもしばらくはずっと好きなままだったって。でも連絡も取れずにいて元カノには新しい彼氏が出来、吹っ切れたらしいけど。その後にクラスの子に告白されて付き合い始めたとのことだが。
その3日後の部活終わり。
「金曜日の夕方、南公園に7時」
と、急に歩夢に言われる。
「え?なにが?」
「行くまでのお楽しみにー」
「なに?誰か来るの?」
「行くまでのお楽しみにー」
「うっざ」
こいつ…。つーか、金曜日って明日じゃねえか。急に人の予定入れやがって。何も無かったからいいけどさ。
次の日になり、部活終わりに歩夢についていく。その前に、時間が少しあるからと、コンビニへ寄った。
「はい、これ誕プレね」
と歩夢が買った大量のお菓子を貰った。
そう、自分は今日誕生日なのだ。先輩からもお菓子大量に貰ったし、ラケバの中お菓子だらけ。
そのお菓子も自転車のカゴに入れ、南公園へ向かった。
「あれ、まだ来てない」
と歩夢は辺りを見回す。
「久しぶりに南公園で打つ?」
と俺が言うと
「そうだね、久々に」
この南公園は、僕ら南聖中のソフトテニス部が部活で使っていたテニスコート。学校にもテニスコートはあるけど、土日や女子部と部活が被る日はここに来ていた。ジュニア時代の練習コートもこの公園だったし、そして、休みの日もよくここに打ちに来ていた。
「なんか懐しいー、」
「中学で引退してから通いまくったよね去年」
「勉強もせずにねー、」
そんなことをやっていると、2人の女の人がやってきた。
「あ、来たきた!」
と歩夢は呼ぶ。あれは、歩夢の姉ちゃんと…
「え、ちょっと待て、は、え?、」
「ごめん、言えない理由はこれだった」
悠乃もいるんだ。
いや、嘘だろおい…。
「じゃあ、俺たち帰りますんでー」
と、歩夢の歩夢の姉ちゃんは帰っていった。
ちょっと状況に追いつかねえ。いきなりこんな風に放置されても心の準備というものが。
「ごめん、呼んだの私」
と、悠乃に言われる。
「16歳の誕生日おめでとう!」
「ありがとう…。でも何で…」
悠乃は急遽俺を呼びたいという相談を歩夢のお姉ちゃんにしていたらしい。
「あと、したい話あったから」
と、言われる。何の話だろうか。
「今日こんな話するの本当にごめん。でも、言いたかったから。ちゃんと。」
こっちおいで!と言われ、走って公園の噴水近くのベンチへ行った。荷物、テニスコートに置きっぱなしだけどまあいいや。
「別れるとき、あんな行動とってごめん。って、謝りたくて。」
思いっきり殴られたのもいい思い出だわ。
「それは原因作ったの俺だから何も言えないけど」
「いや、それでもあそこまでする必要なかったかなって。怒りに任せて」
原因作ったのは紛れもなく俺だ。約束あったのを忘れた挙句、クラスの友達と遊んでたんだもん。しかも女子も数人いたから余計。
「振るならちゃんと振りたかったの。あんな風に終わるの私も嫌だったし。」
「あ、俺振られる前提か。」
「ごめん。もう、哉斗とは付き合えない。だから。」
あー、俺、誕生日に振られるのか。
最近、頑張ろって決めたばっかりなのにな。
「仮に俺がまだ好きだって言ってももう付き合えないの?」
「うん」
「そっか。」
これ以上踏み込める勇気はない。むしろ、これで終わりならそれでいい。
「それなら最後に1つお願いある。」
「どうしたの」
俺は思いっきり悠乃を抱きしめた。これで最後、なんだろうなぁって。
話を聞くと、悠乃には最近仲の良いクラスの人と良い感じみたいで。告白されたけど、俺への振り方が酷かったから。ちゃんと振って後悔残さないようにしたかったと。
向こうに新しい男が出来るなら本当にしょうがない。俺も、新しい恋をしろと言う意味なのか。
「じゃあね、」
「うん。バイバイ。改めて誕生日おめでと!」
「ありがと!」
そうして俺は自転車で家へ帰る。
家に着いた途端、涙が止まらない。さっきまで涙なんてこれっぽっちも出なかったのに。
親に弁当箱出せと呼ばれるけど、部屋から出れない。
「…好きだったなぁ」
写真とか見返すと、本当に幸せだった。もう俺と彼女が一緒に幸せになることもないのか。ああ、悲しいや。
16歳の誕生日、新たな道へのスタートだ。
次の日の部活で歩夢にこの話をされる。でも歩夢、元から俺がこうなること分かってたみたいで。
「なんか、すまんね、この前あんな話させちゃって」
と柊弥先輩に言われる。
「いや先輩は全然悪くないですよ」
「俺もみんなであの話した2日後くらいに言われた話だからびっくりしかなかった」
と歩夢まで。
「でも昨日ちゃんと話したんで、後悔はない…と思います。スッキリしたし、なんだか」
前より気持ちが楽になった。それだけは確か。今は自分の目の前のことを頑張ろう。
次の恋も、ちゃんと、幸せになれるといいな。
というか俺に次の恋は現れるのかな。そこから怪しい気がする。なんてね。