結局気にしている自分


(大宮宏斗)




人の恋バナとか聞くといつも思う、結局自分はあの人のことどう思っているのか。好きなのか、違うのか。
好きとは認めたくないところもあるんだろう。でも結局気にしてるんだから好きなのかもしれない。でも…。ああ、もうわかんねーや。


中学3年の時に、1人の女の子に告白された。女子テニス部の小倉つぐみだった。まあ、振ってしまった。恋愛とかする気は全くなかったし、部活1本に集中したかったから。引退後も積極的に高校の練習に参加したりしてたから。

でも結局つぐみのことを気にしている自分がいる。更には同じ高校、同じ部活だよ。わかりやすく言えば、プレイヤーとマネージャー。


高校1年の冬休み。クリスマスに大会って、クリぼっちのテニス部には丁度良いんだなこれが。夏からずっとペアを組んでいる小谷先輩と共に3位入賞できたし、悔いはない。

その後、泰聖と陽介と玲一と駅前に直行した。泰聖は前の日に彼女と会ったらしいし、そんな話から始まると、突然陽介が、西星の男子ソフトテニス部にあるジンクスの話をしてきた。

「こんなジンクスあるの知ってる?西星の男テニのマネージャーは部員と付き合う率が高いって」
なんて言われた。泰聖と陽介が悠斗先輩たちと遊ぶ時にそんなことを話されてたらしい。そういえば3年の先輩二人も彼氏は西星のソフトテニス部内だもんな、とみんな納得。

1年マネージャーといえばつぐみ。…と同じ中学で同じ学年の奴といえば俺しかいないわけだ。つぐみが恋愛したことあるかを聞かれ、俺がつぐみから告白された、ということは言った。

そこで泰聖に
「てか気にしてるってことは好きに近いってことなんじゃ?」
と言われる。

「そうなのかも…しれねえけどさ!」
最高潮に顔真っ赤だと思う俺。こんなに恥ずかしいのは人生で初めてかもしれない。ああもう、この場から逃げたーい。





いやあ、あんな話されたらもっと意識しちゃうって。


みんなどうやって恋愛してるの本当に。あの時の泰聖の気持ちがめちゃくちゃ分かる気がしてる。







時は流れて三学期に突入。…してしばらく経つとき、部活が休みの日にテニス部の1年で飯を食いに行った。

「そういえば1年全員では遊びに行ったことないよね」と言った陽介の言葉に、つぐみや将斗が賛成して決まった。いつ決まったかってつい昨日の話だけど。


来たのはしゃぶしゃぶ。久しぶりに来たのはいいし食べたかったんだけど、実は朝から体調があまりよろしくない。昨日まで何ともなかったのに。

咳も止まらないし、頭がぼーっとするし。保健室で体温計った時は熱はなかったが、鼻水も止まらないし色々と辛い。完璧風邪だな、これ。
クラスも同じの玲一に止められはしたけどせっかくだし、体調も朝よりは良くなったから参加することにした。


みんなで沢山話したのは楽しかった。俺も体調悪いの忘れて話し込んでしまったけど。
4月に入ってくる新1年生の話や、クラスの話、恋バナとか…。
七星の話にもなったし、最近川岸先輩が七星のこと可愛いとか言ってるけど、玲一もなんだか最近気になりつつあるとか言っていた。

「玲一、それは恋してるってことだ。」
柊弥が言い切る。

「いやー、自覚したくねーけど。川岸先輩もあの人結構本気じゃん、もう色々と…」
「こりゃ面白い三角関係じゃん?!」
大雅も面白がる。恋愛の多いテニス部だけど、好きな人が被るとかっていうことは滅多にないしこっちからしたら面白い。



話も盛り上がって楽しかったのは良いが、俺の体調がそろそろ限界だ。フラフラする。ちょっと騒ぎすぎたかも。
店から出てしばらく歩くと、まともに歩けなくなった。







「…目さめた?」

俺が目を開けるとそこにいたのはつぐみだった。つーかここ、駅の中だし。

「目覚めたらもうあとは帰るだけ。急に倒れるんだもんびっくりしたし、あんた絶対体調悪いの分かってて騒ぎすぎたしょ?」
いつもなら言い返したくなるけど、今は うん、と素直に返すしかできない。


「今日の昼に、体育で怪我した友達の付き添いで保健室行ったら宏斗の名前あったし、先生に聞いたら風邪で体調悪かったって言ってたからさ。」
とも言われる。そんなところまで見られてたのか。保健室行く時って必ずクラスと名前を書かなきゃだから、バレるもんなんだけどさ。


「歩けそう?」
「少し落ち着いたからなんとか。」
「じゃあバスで帰るか。家まで付いててあげるから。どうせ宏斗のほうがバス降りてすぐなんだし」
「じゃあ、そうする」

こいつ、こういうところは昔から本当に変わってない。普段は生意気なことするくせに、俺が弱ってる時はしっかり支えてくれる。


「はい、お茶でも飲んでな」
つぐみは自販機に行ったと思えば、温かいお茶を買って持ってきてくれた。

「…ありがと。」


んっとに、こういう時だけ世話焼きなんだから、こいつって。色々とずりいよ。








家に着くと両親はいなかった。家に一人でいた兄の斗弥いわく、なんか、二人で飯食いに行ってる様らしい。


「ごめんね〜このバカ宏斗が」
「いえいえ全然!あとはよろしくお願いします!」
「よっしゃ任せた」

兄とつぐみも会ったら話す仲だ。つぐみの兄ちゃんが俺の兄と中学までの同級生で、っていうのがあるんだけどさ。



「とりあえず熱測れ」
と、兄に体温計を渡される。

「ありがと。」
37度7分。うわ、上がってるじゃねーか。本気で騒ぎすぎたな。明日も学校なのに。

「付いてくれたつぐみちゃんには連絡しとけよ、熱あるってこと」
「わかってる。」

とりあえず今日はもう布団に入って寝ることにした。…その前に、つぐみに連絡した。

「ほらやっぱり熱あるしょー!」と返された。

「今日はよく休んで。明日は来れれば学校に来なよ。とりあえずお大事に。」
と、後から送られてくるメッセージ。

今日は色々とありがとう、と俺は返した。