似た者同士2




(千葉哉斗)



事のあった4日後。テストも終わり、部活も今日からいつも通り。長島先輩や野川先輩などが大会があるので先生もコーチも今日はいないが、久々の部活も楽しかった。部活がない期間って全然部活の人と喋らないな。


と、部活終わりに柊弥先輩から、今日これから暇?と呼ばれる。何か話がしたそうにソワソワしてるが。いや、心当たりはあるが。


部活終わりにこの先輩と寄り道するの何度目だろう。多分1番多い気がする。



「付き合うことになったって、千葉に1番に報告したくてさ。」

と、話をされる。

「あ!おめでとうございます!!いつからっすか!!」
「昨日よ。」
「あ、まじすか」

先輩から呼び出して告白の返事をしたらしい。とても嬉しそうに話す柊弥先輩見てたら、俺も話さなきゃいけないなって思った。


「柊弥先輩」
「ん?」
「俺、多分、穂佳先輩こと好きになっちゃいました」
「はあああ?!」
「ちょっと、聞いてください…」

と、テスト期間に俺の身にあったことを全て話した。


「ん?何?やったって?」
「いややってないです全然未遂です」
「いやお前なら有り得そうと思って」
「さすがに抑えましたよ。」
「ならいいけどさ」

まあ、あのまま雰囲気に飲み込まれてたら俺もどうなってたのか。やっぱ俺もああいう雰囲気になるとスイッチ入ってしまう。この1年間そんなことしまくってたからなのだろうか。


「千葉ってそういう雰囲気になったらエロボーイに変わるタイプ?」
「まー、認めたくないけどそうですね」


全然、普通に接しているだけだったらそうでもないのに。俺が先輩相手に突然スイッチ入ったのも、俺自身が先輩に気を持っていかれてたからなのか。とは思う。好きじゃない女とはしようとも思わないしさ。


あの日からまだ少ししか経ってないのに、変に意識している自分がいる。やっぱ好きなんじゃ、俺。


「んでそれ以降は話せてはいるの?」
と先輩に聞かれて、俺は頷いた。

次の日学校で会った時も何事も無かったように声掛けてくれたし。だから俺も何事無かったように接しているんだけど、まあありがたいんだけど、俺ばかり意識しているみたいでさ。

やっぱり柊弥先輩の話はためになる。ましてや穂佳先輩とは小学生から仲良いみたいだし。でもやっぱり穂佳先輩も昔から恋愛経験沢山はあるんだけどもどれも良い思い出にならないことばかり起きていたみたい。







少しか経ち、時は7月に入ろうとしている。7月といえば大きな行事がある。西星祭。体育大会から始まり、2日目はステージ発表、三日目の日曜は一般公開で縁日なども行われる。
授業もほとんど潰れ、学祭の準備で大忙し。


教室が近いから先輩にはけっこう会う。でも、このまま普通に接してるだけなのもなぁ、と。
それを見ているクラスの友達にもからかわれるようになっているけども。


「そうだ、聖吾が今度一緒にテニスしたいって言ってた」
「まじすか?俺も聖吾くんとテニスしたいです」
「ほんと?言っとくわ!」

先輩の弟は小学生で、今はテニスのジュニアチームに入っているみたいで、しかも、俺のいたチームに入ってるみたいで。


その話が進み、次の日曜日の昼からやることになった。星華中の近くにある小さな公園だが、テニスコートは2面ある。小学生の時に遊んでて南公園が使えなかった時、道哉に連れてかれて来た気がする。ここ。


まあ、この春始めたばかりということで手加減はだいぶしているんだけど。でも、身についているし、今後どういう選手になるのか楽しみだな、聖吾くん。

「石岡コーチに哉斗くんの話したら、あいつ
元気か?って言ってた!」
「おー。俺もしばらくジュニアに顔出してないなー。コーチ会いたいなー。」

中2の時に合宿手伝いに行った以来だと思う。中3の時は国体の県大会被ってて行けなかったし。そろそろ練習にでもおじゃまするか。暇な時間に歩夢と道哉と修太も誘おっかなって。



「っていうか俺の下の名前知ってたんだ?」
と俺が聞くと、聖吾くんは
「姉ちゃんが言ってたよー。」
と答える。

「あれ?先輩から下の名前で呼ばれたことないですけどね…」
「でもフルネームぐらいは知ってるわ。何?下の名前で呼んで欲しいの?柊弥でも呼んでなかったのに」
「いやそういう訳じゃないっす…」

たしかに俺は名字で呼ばれることが多い。歩夢とか昔から一緒の奴は下の名前だけど、それこそテニスはじめたぐらいから名字呼びされることが増えた。小学生の時に道哉には、「名字のほうが呼びやすい、2文字だし」って言われたことがある。


「じゃあ哉斗って呼ぶわ」
「いきなりそれは反則的…。」
「ん?」
「いや、何も」

いや、今まで名字で呼ばれてたから、この話の流れからだとしても、いきなり名前で呼ばれるのは心臓もたないっす。



今日のお礼に、と夕飯もご馳走することになった。今日はオムライス。先輩やっぱ料理上手いな。本当に俺もこんな姉ちゃん欲しいわ。


しばらく時間が経ち先輩の部屋に上がらせてもらった。でも正直、俺がもたない。二人きりって思うと。



「そういえば元カノとはどうだったの?」
と突然聞かれた。

「どうだったというか…。でも正直言うと、頻繁にヤってたほうですよ。」
「やっぱりか。」
「まあ、この前のでだいぶ俺に印象付きました?」
「そういう人なんだなぁとは。」

もうこの雰囲気のままこんな話されるのは我慢の限界がある。


「もし多分先輩と付き合ったとしてもこうなるとは思いますよ。俺ほんと、我慢できない野郎なんで」
「だからこの前も…」
「正直今もキツいっすけどね。」

こういう雰囲気に弱い俺もどうかと思うが。だから俺こんな人になるだよなー。先輩達に打ち明けた時その場にいたほぼ全員に唖然とされたし。


「良ければ相手になるよ?」

と先輩に言われる。いや。まじかよ。

「いいんすか?この前あんなこと言ってたのに」
「気持ちの整理はついたから。」
「いや、本当にいいんすか?」

この前俺が危うく襲いかけた時に先輩の、元彼との話を聞いて。だから今は遠慮していたんだけど。



「俺をその気にさせたこと後悔しないでくださいね、穂佳先輩。」


結局、俺も過去の自分と変わらない…か。










気づいたら眠っていたようで、既に夜の10時を回っていた。

「え、もうこんな時間」
「2人して眠っちゃったんだね」
「まあ、気持ちよかったからですかね」


親からは何時に帰ってくるの?ってメッセージが1件来た程度だ。とりあえず、日付変わるまでには必ず帰ると連絡しておいた。


着替えてると、先輩は突然俺のことを抱きしめた。

「気づいた?ここ」
と、首元を指差しながら。

カガミを見てみると…あ、キスマーク。


「って、先輩も人のこと言えないっすけどね」
「あ、本当だ」

俺ってすぐ首元に跡を付けたがる習性あるのかな。自然とやるよね、いつも。結構大胆なところにつけてしまったがまあいいか。


「付き合ってください」

と、後から抱きしめられた状態で言われた。

「…そんな嬉しい言葉言われたらNOとは言えないですよ」
「照れてる、かわいい」
「先輩のせいです」


そして先輩からのキスをされる。何だか今日の穂佳先輩、いつもより大人。いや、年上だからなのかもしれないけど。

「私も変わらないよ、すぐこういうことしたがるところ」
「この前はちょっと抵抗あるとか言ってたくせに」
「あれは元カレ以来だったし急だったから!でも内心嬉しかったよこの前も!」
「嬉しかったって、どれだけ変態さんなんですかね…?」

たしかに先輩は積極的だった。俺の元カノも積極的なタイプではあったが、この先輩はとりあえずやることがエロすぎる。途中で俺が調子狂うよ、この人相手だと。


「俺らって結構似た者同士なんですかね」
「お互い失恋してそこまで経ってないのにね」
「1番はそこですね」


やっぱり相手のことって関わっていくからこそ知っていく。先輩と知り合ってまだ1ヶ月しか経ってないのに、気づいたら好きになって、両思いになっていて。何が起こるか分からないね。




帰り際、



「っていうか、タメで良いし、呼び捨てで良いのに」


と先輩に言われる。

「あー、付き合うからには俺もそっちのほうがありがたいっす。」
「さすが年上の女には慣れてるね」
「まあ、年上としか付き合ったことしかないし。」
「私これで年上と同い年と年下全部制覇したわ」
「それ自慢にならなくね?」
「だよね」


むしろ自分、年下の女子のほうが絡むの苦手なんだなぁ。なんだろう。年上は姉の友達とかと話してたからなんとなくは。



「んじゃ、明日も学校頑張ろ!」
「うわ明日月曜かよー。」
「いいじゃん週末学祭なんだし!」