お盆休みのテニス



(千葉哉斗)



部活は貴重なお盆休みの日、彼女の穂佳が父親のところに会いにいくみたいなのだが、どうやら俺も誘われてしまい、行くことになったので西の森市へ向かうことに。穂佳が俺のことを父親に話していたみたいだが、西星のソフトテニス部ということで興味を持って都合合ったら連れてこいとか言われたみたい。だから目的の半分はテニスしに行くことだ。

穂佳の両親は数年前に離婚し、以来穂佳の父親は地元の西の森市へ戻っているらしい。穂佳のお父さんも未だ現役でテニスを続けているらしく、離婚前は平コーチと同じ社会人チームに入っていたみたい。たまに組んだこともあるみたい。



というわけで1泊2日で行くだけなのに荷物だらけだ。これでも最低限抑えた方だけど、楽しみだからまあいいや。穂佳と一緒に電車で西の森市へと向かう。




「ついたーー!」
「私もはじめて来たなー。ここ」
「あ、はじめてなの?」
「お父さんこっち帰ってきたの2年前の話だし。」

なんて話もしながら目的地へ向かう。


西の森テニスコート、俺も中学の県大会で来たことはある。懐かしいな、なんの大会だったっけ。あ、中学新人戦だ。俺はシングルス出たよなー。



テニスコートへ着くと、高校生っぽい人が何人か練習している。と、そこへ高校生数人と共に打っていた男の人が、僕達に気づく。


「あ、あれがお父さん」
と穂佳に言われる。


近づくと、快くあいさつをされ、自分もこんにちは、と返す。

「穂佳から話は聞いてるよ。千葉くん、どうもありがとね。西星高校の1年生なんだって?」
「はい、そうです。こちらこそありがとうございました。」

と話していると、

「おーちょっとこっち来い!」
と穂佳のお父さんは、一緒に打っていた数人を呼んだ。

あ、俺、この人たち見たことある。と言うか、結構つい最近に。




「西の森産業高校の人ですか……?!」

俺は言うと、「正解」と返ってくる。

西の森市の中でも近年はトップに立つ高校。今年の夏の大会では県団体3位。西星高校とも互角な勝負をしている。


「え、千葉くんだっけ?長江千葉ペアの!」
と声をかけられた。えっとたしか、この前当たった2人だからよく覚えてる。木戸涼太郎くんだ。もう1人は大菅玲司くんだっけ。

「そう!2人とも大菅くんと木戸くんだよね?学年別で当たったよね?」



ここにいたのは1年生2人と2年生2人。1年生の木戸大菅ペア、この間の学年別大会で当たったような。ファイナルで負けたんだよな。俺ほんとファイナルに弱いから直したいと思ったもんこの時。
ちなみにこの時の俺の結果はベスト4。木戸大菅ペアはそのまま1年生の部を優勝した。



「あー、あの時の接戦の西星ペアの」
と、もう1人の方にも言われる。

「あ、俺は2年生の矢野といいます。普段は大菅と組んでるんだよね。そしてこいつが同じく2年生の大場。学年別は俺らペアだった」
と、紹介をして頂いた。

「もしかして2年生の部で準優勝してました…?」
「そうだね、決勝の相手って長島村井だったから見てるか」
「俺も試合終わった後だったので見てました…!」
「おー、後半ボロボロだったけどねあの時」


学年別大会の2年生の部で優勝したのは長島村井ペア。俺もその試合は見ていた。




「あれ、そういえば千葉くんて中学どこなの?」
と、穂佳のお父さんに聞かれる。

「南聖中です。」
「んーじゃあ福島の教え子か。団体県優勝した時っていた?」
「あ、その時は一応出ていました。」


自分たちは中学2年生の冬に新人団体戦で県大会優勝を飾った。夏は俺がやらかしたせいで地区大会で南が丘中に負けちゃったけど、その次の年である昨年の冬も後輩達はまた県大会優勝を飾ってくれて、2連覇を達成している南聖中。元々南聖中は強かったが、玲一先輩のお父さんが顧問になってからは実績もかなりある。


「んで、西星の長江くんってたしか南が丘中だよね?」
と木戸くんに聞かれる。
「そうそう。学年別も国体も組んだし、次の新人戦でも俺のペアは長江なんだよね」
「へー、すごいじゃん。長江くん個人戦でも名前見てたし南が丘中だし、西星入ったんだって思ったもん」
「俺は長江とは中学は違ったけどジュニア一緒でその時も組んでて全国行ったことある」


と、少し話してから、俺も混ぜてくれることになった。せっかくのお盆休みだけど、こういう休みの日の何気ないテニスも好きなんだ。しかも、西の森まで来て産業高校の人と打てるのは中々ない機会だ。








はー、とっても楽しかった!!!

いつもは県大会で当たるようなライバルとこうやって何気なくテニスできて、更には得られるものも沢山あった。さすが激戦の西の森地区のトップ。西星も負けてられないな。



「ってか、やっぱみなさん上手いですね」
と俺は言った。


「西星の人に言われちゃあ、嬉しいわ」
と木戸くんに言われる。

「木戸こいつ、中学は北別なんだよ」
と、矢野さんが言う。


「あー、西の森は少年団ないから一応部員の中ではテニス歴1番長いと…。小3からやってて、引っ越してもずっと続けてたから。」

そして本人の話曰く、木戸くんは小4の夏までは江南市にいて、それ以降は北別市、そして高校上がると同時に西の森へ引っ越してきたらしい。江南市にいたときは、あの星の里高校の藤守さんとかと同じ少年団だったらしい。

「ん。てことは、北別東中の木戸石井ペアの…?」
「そうそう!」
「え、たしか団体の時当たったよね?」
「あー、南聖中そのまま優勝した時の。」
「あれ2回戦だっけ。」

中2の冬の団体戦の県大会で、2回戦でたしか北別東中と当たった。その時二対戦目が俺らとこのペアだったのだ。何故かはわからないけど、記憶が残ってる。




「千葉くん、今度こういう機会あったらまたこいつら呼ぶ?」
と穂佳のお父さんに聞かれる。

「あ、是非お願いします!予定が合えばでいいので!」
と言うと大菅くんに
「じゃあ来年のお盆は確定で」
「県大が何日にやるかによっちゃうけどね」
「それはある」


とりあえず、楽しみだ。

もしかしたらその前に、大会で当たることになるかもな。いや、産業高校なら有り得る。




「3年生抜けたあとのさくら地区ってどんな感じ?」
と、大場さんに聞かれた。

「んー、これから敵になるのは白浜高校かなー、とは思いますね。南聖中と中央中で強かった人わりと揃ってるんで。清川篠永は上手いです。」

国体地区予選も、ここ3位入ったんだよな。清川先輩と篠永響、1,2年のコンビだが二人とも小学生の時から強い二人のペアだ。響は中学の時も他に先輩が沢山いる中小山先輩と組んで2年生からレギュラー入ってた。


「あと団体戦のメンバーはだいたい予想つくかと思います。」
「あー、福島くんと花田くんと長島くんと…… 」
矢野さんが先輩3人の名前を出す。

「あと部長が村井先輩と、1年生には長江もいるし。一応俺も長江と組んでるので7月の一般団体大会はAチームにいたんですけど。」
「え、千葉くん西星のAチームなの?!すごい人とテニスしちゃった」
びっくりするように木戸くんに言われる。
「いや俺はまだまだ。長江のおかげ。」

長江は本当に凄いよなー。小学生の時も組んでたことあるけど、あいつとりあえずすごいの一言しか出てこない。昨年のさくら市の中学生の後衛といえば長江なんだよな。

正直あいつのことは尊敬している部分もある。メンタル面は俺と長江全く反対だからな。小学生以来に組んで、やっぱこいつが安定するなっていうのはある。今後ペア配分もどう変わっていくかがわからないけどさ。





もう16時を回る。結構長い間いたな。

ということで産業高校の人とはここでお別れだが、連絡際も交換したりしたり、同い年の人とはお互い名前で呼び捨てすることにもした。


「んじゃ、県大会で会おー!」
と、大場先輩に言われる。

「当たったらよろしくお願いしますー!」




楽しかったなー。西の森来てこんなことしてるの西星でも俺ぐらいだよな、きっと。



このあとは西の森市の美味しいものをたくさんの食べて、次の日には穂佳のお父さんとテニスをし、ほとんどテニスで終わった1泊2日でした。