ご無沙汰な長島野川






今は12月。二学期もあと少しという時期。どうやら野川先輩の引退以来、お互いの近況などを話すことは無くなった長島野川。久しぶりに遊ぶことになったみたい。


泰聖「今日はちゃんと先輩の話聞きます。先に言っときます。」
春太「そうしてくれるならちゃんと話すよ」
泰聖「俺いつから先輩の話聞いてる時に茶々入れるようになったんだろう…」
春太「俺がまだ2年生の時はちゃんと聞いてくれてたよお前」
泰聖「あー、あれですかね、瑛太先輩とか茶々入れるから俺も便乗してましたね」
春太「うん俺もあいつのせいだと思うよ」
泰聖「ちゃんと聞いてればちゃんと話してくれただろう…」

まあ楽しかったからいいらしい、泰聖くんも。


泰聖「てか、1年おめでとうございます。半月ぐらい前の話ですけど」
春太「あーありがと。こんな続くと思わなかった……。しかもまだ大きな喧嘩してない」
泰聖「小さな喧嘩はしたんですか」
春太「喧嘩ってほどでもないことはちらちらと」
泰聖「いいですねー。俺9月に大きな喧嘩しちゃったし」

春太「華月言ってたけど、泰聖たち最近あんまり上手くいってないんだって?」
泰聖「上手くいってないというか…。俺が一方的に怒ってること多いんですよね。直したいんですけどね。」
春太「そうなのか」
泰聖「大学の付き合いとかで春華のところに男寄ってくるんですよ。俺も何回、ガキは別れろって言われたことか。」

やはり、彼女と環境が違う分、悩むことは多いみたい。でも好きだから仕方ない。そういうことだ。



春太「新人戦の県の時だっけ?泰聖前日のテンションやばかったんでしょ?」
泰聖「誰に聞いたんすか」
春太「池田先生」
泰聖「ああ……。まあ、大会は乗り越えなきゃって気持ち切り替えれたのでいいんですけどね。」
春太「それでシングルスもダブルスも入賞ってすごいよなお前」
泰聖「全部志村に負けましたけどね。俺最近県大で志村にしか負けてない」
春太「たしかにな」


そんな中の県大会で、入賞を果たした泰聖。すごい。

星の里高校の2年生の志村くんは、一橋中央中の時に全中出場していてめちゃくちゃ上手い、星の里高校の現在のエース前衛選手。泰聖も、ここ連続ぐらいで県大会では志村くんに敗退しているのだ。


泰聖「いやー、もうちょっと大人になりたいなーって、思うんですよね。どうやら俺、けっこう心狭いみたいで」
春太「でも泰聖の言ってることも全然間違ってないじゃん。」
泰聖「そうなんでしょうけど。年上と付き合ってくと俺もガキだなってつくづくと思うわけです。」
春太「そっか、その辺は俺も未知の世界」
泰聖「でも結局彼女のそばにいる時は好きだなってなるから離れることはできないんですけどね。」


年上と付き合うからこその難しさをかなり実感しているらしい泰聖。まあ、無理のないようにしてください。


春太「まあ、年の差あるのはこの際仕方ないことだから、泰聖なりに接していればいいんじゃないの?」
泰聖「ですよねー。でも何でか、それが嫌なんですよね。それさえなければ俺は何も悩んでないです」
春太「お前変にプライド高いところあるしなー。」
泰聖「やっぱそこですかねー。部活の時のことですけど池田先生にも言われましたわ。」


ペアを組んでからはプライベートでも仲の良い春太と泰聖。春太もけっこう、泰聖のことは分かってきているのだろう。


泰聖「このままだと続く気がしないんですよねー。でもなんとかしたいし、俺が変わらなきゃって思うんです」
春太「まあ、無理しない程度にな。それが1番だ」
泰聖「ありがとうございます。」


悩める泰聖くん。でもこの事を話せて、少しはすっきりした模様だ。




泰聖「春太先輩は、喧嘩しなくなった秘訣とかあるんですかね?」
春太「んー。特に意識はしてないけど。中学の時はお互いストレートに物事言う性格してたのが、高校入って丸くなったのが主かな。とは思う」
泰聖「本当に幸せそうですもん、先輩。」
春太「可鈴にも、春太と1度別れたあと色々な男の人と関わったけど結局は春太が1番一緒にいて安心するって、言われたことある」
泰聖「いいじゃないですか。是非結婚式呼んでください」


泰聖も正直、春太たちが羨ましいようだ。



泰聖「大学同じでしたっけ?」
春太「あー、うん。お互い部活で決めたんだけどね。学部は違うけど」
泰聖「向こうでも沢山イチャイチャしてそうですね。」
春太「してるかもね。」
泰聖「なんか、春太先輩って本当に大人っぽすぎて尊敬しますわ。」
春太「泰聖から尊敬してるって言われたの人生初だわ」
泰聖「ずっと前から思ってましたよ。」
春太「お前今日やけに素直だな。なんかあった?大丈夫?」
泰聖「いや、ないです」


普段ならこんなこと言われないみたいだ。まあ、先輩たちのノリに便乗してるだけなんですけどね。



春太「んで、部活はどうよ。」
泰聖「まあ特に変わったことはないですよ。誰も辞めてませんし、まだ」
春太「とっても珍しい。2年生もしかしたら引退まで全員いるんじゃない?」
泰聖「だといいんですけどね。平さん曰く、ここまでなの西星初らしいですよ。幽霊部員もいないし」
春太「でしょうね。俺の代も3人いなくなったから」
泰聖「俺も知らない先輩いますしね。俺らが入学する前に学校辞めた人いましたよね?」
春太「しかも2人な」

人数の多い春太たち3年生だが、当初はもっと人数多かったりした。工業科の部員が多い3年生、本来はもう2人いたのだ。



泰聖「あと最近長江が春太先輩ポジションになってます」
春太「俺ポジションってなに」
泰聖「恋バナいじられます。しかも春太先輩以上に何も話そうとしないんですよ。だから面白がって」
春太「ってことは瑛太みたいなすぐいじるやつも他にいるのか」
泰聖「道哉がいます」
春太「ああ……。でも道哉は自分の話もオープンしてるけど」
泰聖「都合悪いことは何も言わないですけどね。」

どうやら今のテニス部にも、恋バナになるとしつこく聞いてくる人がいるみたいだ。竹原道哉。


春太「長江ってどんな感じなの。彼女いるんでしょ?」
泰聖「いますよ。普通科の1年の梅田美桜。」
春太「1年生で美人って噂の子でしょ?クラスの女子も可愛いって言ってた」
泰聖「そうですね。星華中なんですけど中学までテニスやってたんで、あそこはジュニア一緒です。」
春太「あーなるほど。それで高校入って付き合って、か。」

泰聖「美桜のほうも、中学の時に長江の試合目にした時から気になってはいたらしいですよ。で、高校入ってから更に親しくなったとか」
春太「そりゃ長江のプレーはかっこいいわ。」
泰聖「俺もそんな風に言われたいです。」
春太「お前のプレーはかわいい。更に泰雅もそれだから長島村井は上手いんだけど何かがかわいいんだわ。かっこいいじゃなくて」
泰聖「じゃあ長島村井で西星のかわいいペア貫き通しますね」
春太「女子でもねーのに」

言いながら2人で笑っている。なんだよかわいいペアって、なんて。



泰聖「先輩、次の大会観に来ますか?」
春太「年明けの選抜予選は行くつもりだけど。年末の地区は分からん。」
泰聖「あー。選抜予選何日目来ます?」
春太「日曜日は確実。土曜日は大学の部活あるかによる。高倉先輩の家にお邪魔するから」
泰聖「あ、大学の部活のついでなんですね」
春太「しかも選抜予選の会場と高倉先輩の家近いらしいから。先輩と行くかも。」


もうすぐ、選抜予選が始まる。金曜日から日曜日までの三日間なのだが、西星生にとっては冬休み最後の土日になる日に行われる。
春太は冬休みに何度か、進学先である東陵学園大学の部活に行くというので、東陵に進学した西星の先輩、1年の高倉陸先輩の家にお邪魔するみたいだ。


泰聖「高倉先輩しばらく会ってないですね。多分1番会ってない」
春太「むしろ俺一番会ってるわ。」
泰聖「そりゃそうじゃないですか。」
春太「しかも学部も同じだから、結構話聞いてる。」
泰聖「文系の学科でしたよね?」
春太「人文学部の英文科ね。先生目指してます。」
泰聖「春太先輩は文系っぽいですもんね」

ちなみに泰聖は英語がそこそこ苦手。国語系はできるらしいが。


春太「泰聖は?大学どーすんの?」
泰聖「いやー。緑陽大で続けたいですよ。今のところは。」
春太「うわー当たりたくねーなー。」
泰聖「こっちのセリフですわ。春太先輩は敵じゃなくてペア組んでる方がいいです」
春太「お、嬉しいこと言うじゃん」
泰聖「いや単純に敵にしたくないだけです」

お互いがお互い、同じこと思ってるようだ。

泰聖「先輩引退後は先輩が大会出ても奇跡的に当たらなかったじゃないですか。その調子で良いんです。」
春太「とか言って3月の一般で当たったらウケるな」
泰聖「祈ります。先輩誰と組むんです?」
春太「まだまだ先だからわからないけど。司とかは出る」


春太たち3年生も、3月の後半に行われる地区の一般の大会で、西星生としての大会が終わる。過去の先輩に比べたら、引退後も沢山地区の大会に出ている今の3年生。もうすぐで高校生活が終わるのが、寂しいね。



泰聖「先輩大学生になってもこうやってたまに話しに行きますね」
春太「じゃあ緑陽来いよ?あとテニスな」
泰聖「緑陽行くぐらい余裕です。金さえあれば」


長島野川ペア、仲の良さと、お互いの信頼し合えているところは、春太の現役時代と変わらず。