エースとエース






藤守大和、奥田稜也、森井陽太、中藤健斗。何だかんだ仲の良い星の里高校3年生のエース4人。4人が出た大会が終わって学校へ戻ったあと。たまには、と健斗が3人をご飯に誘ったのだ。


陽太「日曜だけどそこの寮生門限大丈夫なの?」
健斗「近場で飯食うぐらいなら余裕」
稜也「俺らは門限とかないもんねー。」
大和「健斗抜きで二次会する?」
健斗「おい」

健斗以外は近場に住んでいるので実家から通っているが、健斗は実家は北別にあるので寮生なのだ。


陽太「最近藤原先輩も彼女できたの?」
大和「俺この前話してきた。大学は違うけどバイト先同じの人で、今その人の家に半同棲してるみたい」
稜也「藤原先輩て初彼女じゃない?」
大和「今までいなかったもんね。」
健斗「えー、先輩とか想像つかない……」

彼らのひとつ上の先輩、藤原冬馬先輩には彼女ができたよう。みんな、最初聞いた時はびっくりしていた。

陽太「最近俺の周りみんな恋してますなー。健斗も大和もラブラブだし」
健斗「陽太はそういう気配なし。」
稜也「もしかしたら藤原先輩みたく、一年後に彼女できてそうとか思ったり」
陽太「そんなこと絶対にない気がするんです」
大和「てか稜也は??」
稜也「ここで俺に話振る??」

健斗「1年生の時彼女いたのって稜也と俺だけだったっけ?」
大和「1年生の時はそうじゃない?将輝は2年生だし」
稜也「実はその1年生の時付き合ってた子と最近色々あったんすけど。」
3人「え??」

稜也の一言に、食いつく3人。正確に言えば、中学3年生から2年ほど付き合ってた女の子がいた。ちなみに陽太と稜也は同じ中学だ。

陽太「でも確かになんで別れたのあれ」
稜也「俺のわがままです。」
陽太「朝日中ソフテニの男女部長カップルが。」
大和「咲月って北高だったよね?たしか」
健斗「うわあ頭良い…」


その子の名は、緑陽北高3年生の南原咲月ちゃん。少年団も一緒だったので、中学は違う大和も勿論知っている。でもこの話は一応3年生部員ほとんど知ってるので、今更だが。


陽太「んで?何があったって?」
健斗「これは気になる……」
稜也「いや別に海星とか健斗みたいにいやらしいことはしてないからな」
陽太「だって健斗」
健斗「そこに話持ってくるのやめてくれい。」
大和「おなじみのパターン久しぶりすぎて」

健斗は3年生部員で1番恋愛経験が豊富だったことからそういう経験も中学の時からあるので、自然といじられるようになっていたのだ。でも最近は海星やら将輝やら色々と経験する人も増えたので、健斗だけじゃなくなったというわけだ。


陽太「でもまあ稜也、それまで全く会ってなかった訳でもなかったもんね。たまに一緒に帰ってる時とかに会ってたもんね電車一緒だし」
稜也「そうなんだよね。大会でも会ってたし、親同士も仲良いし。別れたあとはただの友達に戻っただけ。」
大和「本当になんで別れたのか分からないなそれは」
健斗「別れても仲良くできるような別れ方してみたいわ。」
稜也「いや、お前は色々とアウト」

健斗は過去に、浮気されて別れたりしたことが2回ほど……。


稜也「で、この前電車一緒で駅降りて帰る時に、聞かれたのさ。やり直す気ない?って」
健斗「なんて答えたの」
稜也「まだ答えてない。突然だったから複雑すぎてさ。」
陽太「だから最近浮かない顔してたんだね」
稜也「これを早くみんなに相談したかった。」
大和「まあ、健斗いるから」
健斗「俺いつから相談係になったんだよ。」
大和「俺も世話になりました。」

とりあえず、恋愛で何かあったらみんな健斗に言うらしい。




陽太「というか、先週の大和たちのプリすごいラブラブだったよね。彼女のインスタ見たけど」
健斗「その時のプリ見ーして?」
大和「いいけど……あ、やべ」
陽太「もう遅い」
稜也「何がやばいの」
健斗「これか?」
大和「おい」

大和が手に取りかけたプリを、強引に奪う健斗。


健斗「別にこれくらい普通じゃない?」
稜也「それは健斗から見た普通だろ」
大和「やー、出すんじゃなかった」
陽太「つまりはそこそこ激しそうなチュープリ」
稜也「まあ、大和だから見てられる」
大和「ならいいけど。逆に見てられないのは誰」

健斗「どーせ俺とか言うんだろ」
稜也「まあそうだね」
健斗「うん。…ておい」
稜也「嘘。のぞみとラブラブするようになってからは全然」
陽太「まあそれまではね、色々と女子に手を……」
健斗「昔の話はやめなさい。」


健斗くん、最初は地元の先輩と付き合ってたり、別れた後は地元の後輩や同じ高校の友達などちょこちょこと……。でも、のぞみちゃんに告白されて、健斗自身も次第に惹かれていったので、今は普通に彼女とラブラブしてる。



大和「もし、稜也が告白をOKしたとしよう」
稜也「おお、急に話を戻したな」
大和「いや普通に聞きたかったことなんだけど。もし告白OKして付き合ったとすれば、卒業後は遠距離になるの?」
陽太「稜也も県外行っちゃうもんね」
稜也「大和たちほど遠距離ではない」
大和「ですよね。」
陽太「てことは咲月も県外?」
稜也「受かればね、って言ってた。でも隣の県だよ。」

そう。実は稜也も先日、大学に合格していて、県外の大学へ進学が決まったのだ。
大和は彼女は県内に残って、大和は県外に出るのです。

健斗「緑陽北高レベルならみんな県外の頭良いとこ行っちゃうもんねー。」
稜也「そうなんだよね。勉強できるとか羨ましいわ。」
陽太「頭良くてテニス上手くて、見た目も性格も良いしね。」
大和「稜也にふさわしい相手だと思う」

稜也「もう付き合う前提で話すのやめてくれない?」
健斗「え?付き合うんじゃないの?」
稜也「とは一言も言ってない。1回別れてるんよ?」
陽太「可能性はある」
稜也「ないことはない。」
大和「いいじゃん、高校生活の最後ぐらい良い思い出作ったって」
稜也「まあ、俺がOKと言えば良い話なんだけどね」

でも稜也はまだ迷いがあるみたいだ。


陽太「いつか会う約束とかしてるの?」
稜也「してないけど、近所だからちょっと呼び出しぐらいならいつでもできる。あいつが勉強してなかったら」
健斗「まあ、相手は進学校の受験生だもんね」
稜也「あんまり邪魔できないからね」


まあ、いつになるのやら。でも稜也なら、いつかちゃんと答えるであろう。


稜也「大和ってどう告白したの?」
陽太「あー、俺も知りたい」
健斗「多分俺しか知らない」
大和「テニス部は健斗と天馬しか知らない、と思う」
健斗「実際大和の恋愛全てが素晴らしいから」
陽太「たしかにな。」
健斗「こういうところが俺と大和の正反対なところなんだよね」

大和「夏休みの県大会あったじゃん。あの後にライン来ておつかれーって話してて、その時に近々遊ぼうみたいな話になってて。」
健斗「それで告白しようか迷うとか相談してきたんだよねこいつ」
大和「うるさい。それで9月入ってから遊ぶことになって、その時に……。ふふふ」


思い出し始めて、ニヤけが止まらない大和くん。


陽太「でも大和たちもうエッチ済んでるんでしょ?そこは早いなとは思った」
大和「付き合って2ヶ月もしてないぐらいだった。ぶっちゃけそれからも頻繁に…」
稜也「本来の大和はこういう奴でした的なオチ?」
大和「それもあるかもだけどさ。俺と夢菜って春から遠距離になるんだよ?今会えるうちに沢山会って、できる時にいっぱい愛し合いたい……みたいな?」

大和の言葉に、他の3人はグッときたらしい。

健斗「ほらもうちゃんと考えて行動してるもんこいつ。これが俺と違うところ。」
陽太「健斗は欲のまま動く」
健斗「あながち間違ってはない」
稜也「多分俺も健斗と同じになると思うんだよなー。経験がないだけで、今の俺だったら絶対」
陽太「そうだこいつの頭の中結構変態だった…。咲月と別れた以来に稜也の本性聞いたわ。」
稜也「しばらく恋愛とか考えて来なかったからね」

大和「じゃあ稜也が咲月と付き合ったならそんな話も期待できるね」
稜也「前はまだガキだからってチキってたけど、今なら」
健斗「男だもん、そういうこと考えないほうがおかしい」
陽太「俺っておかしい?」
健斗「そもそもお前は恋愛をしろ、以上」
陽太「すぐそうやって言う……」


むなしくなる陽太くん。まあ、今後何か出会いがあるといいですね。本当に。外見も中身も悪くないのにね……ごめんなさい。


健斗「実際のところ稜也は咲月と別れた後どう思って過ごしてた?」
大和「ああ…確かに稜也の別れ方なら…」
稜也「いや、手放したの俺の方だからさ、なんで手放したんだろうってずっと考えてたけどさ、でも言ってしまったことだし後戻り出来ないし…しばらくは自分の中でもモヤモヤしてた」
陽太「別れた理由って結局なんなの?」

稜也「忙しいのに気を使って頑張って全部向こうに合わせてた俺が悪い。それで、会ったら話すだけの友達に戻ろうって言った。」
健斗「ストレス気味だったってこと?」
稜也「まあ。」
陽太「中学に比べたら断然、星の里の部活けっこうブラックじゃんね」
大和「そこストレートに言う?」
陽太「むしろブラックに思わなかったらおかしいわ。まあ、そうだから星の里来てる」

北陽学園よりも西星よりも練習時間が多いらしい星の里。まあ、本気でソフトテニスをたい人の集まりなのでね。


稜也「高校の部活終わった今なら大丈夫な気がする。っていう俺は都合いい男。」
陽太「ちなみに咲月のことは忘れられなかった?」
稜也「当たり前だわ。でも2年生の中盤ぐらいから、そのことは考えないようにしてた。意図的にね。」
健斗「確かにそういう話聞かなかったし。」


いつからか、稜也から恋バナを聞かなくなったと言う。稜也の中では吹っ切れていたのだろう、と皆は思っていたのだが、稜也は考えないようにしていただけだった。


大和「とりあえず、今は大丈夫なら行くしかないとは思う。ここで後悔したところで」
健斗「しかも告白されてるんでしょ?」
稜也「うん。まあ、頑張る。ありがと。」
陽太「頑張れよ。」
稜也「告白は、OKするつもり。」
健斗「お?なら本気で頑張れよ。」
稜也「ありがと。」


稜也くんも幸せの1歩を掴もうとしているところです。残りの高校生活、楽しんでください。