いとことお正月
1年生の片山真琴には、2つ上のいとこがいて、そのいとこの影響で自分もテニスを始めたと言う。
そのいとこは、明峰北高校の3年生、桐山千尋。小学五年生でテニスを始め、高校生になると2年生の時のインドア県大会では、千尋の一つ下である後輩の南雲くんと組み、ベスト16にも入った。
お正月は、おじいちゃんの家があるさくら市へ来るという桐山家。その度に、近所の体育館でテニスをするのも恒例となっている。
千尋「さすが西星高校へ入ると、真琴も色々と変わったね」
真琴「変わったってどんな風に?」
千尋「単純に上手くなったのもあるけど、なんて言うの?人間性も成長した?」
真琴「まあ、メンタルは強くなったと思う」
千尋「だろうね。強いところで続けてるってこと自体凄いもん。」
西星高校へ入学して、早10ヶ月。部活もキツイけど、なんとか乗り越えてる真琴。
千尋「でもすごいなー。俺らから見て憧れの選手が真琴の先輩って」
真琴「千尋くんも春から西星大行くじゃん。先輩何人か行くよ」
千尋「まだテニス部入るかさえ決めてないし。そっちから西星大誰か行くの?」
真琴「永井川島ペアは揃って西星大入るみたいだよ。あと北内先輩もか。」
千尋「まじか。」
明峰市に住んでいる千尋にとっては、近くに強者選手がいる事自体珍しい。でも後輩の南雲くんも中学の時強くて、組んでいた南雲くんの後輩は現在の星の里高校の1年生だったり。
真琴「まあ、春から俺ともしょっちゅうテニスできるじゃん」
千尋「逆に真琴しかできる人いないわ。」
真琴「だからテニス部入りなって。」
千尋「やたら勧めてくるなお前」
真琴「地区の一般で当たってみたい」
千尋は高校卒業後の進路は西星大へ。学科は経済学部の会計科らしい。それこそおじいちゃんの家がこちらにあるので、さくら市にあるこの大学に行こうと決めたらしい。テニス部入るといいですね。
さあ、テニスをしたあとは駅前へ。
千尋「綺麗だしお店沢山あるし最高だわ」
真琴「4月から千尋くんもここに住むんだよ?」
千尋「しかも毎年来てるのに毎年感動する。」
明峰市はさくら市ほど大きくない。むしろ、自然や温泉が有名な地域だ。
真琴「そういえば、彼女とはどうよ」
千尋「やっぱ聞かれる気はしてた。」
真琴「気になる。でも千尋くんモテるから羨ましいわ」
千尋「そんなモテないよ?俺。しかも今の彼女には俺から告白したし」
真琴「あ、そうなの?」
千尋には、3ヶ月前から付き合っている彼女がいる。女子ソフトテニス部で副主将を務めた同級生の女の子。ちなみに明峰北高校は女子部は団体での県大会常連なのだ。
真琴「彼女さんの進路はどこなのさ」
千尋「北別の看護大。」
真琴「あー。ここから北別は近いようで遠い」
千尋「ここから明峰に比べたら全然ましだわ。」
北別の看護大学が、北別市1番大きい学校らしい。国試の合格率も良いらしく、県内様々なところから集まるらしい。
と話していると、真琴は知ってる人を見つけた模様だ。
真琴「こんにちは!」
優聖「あー、真琴!」
華月「久しぶりだなー。どう?元気か?」
真琴「なんとか元気でやってます。」
真琴の先輩である、西星の3年生の永井優聖と金井華月だ。2人は今日は映画を観に来たらしい。
真琴「あー、千尋くん、固まらないで」
千尋「別に固まってないし」
真琴「この人俺のいとことで、明峰北高校の3年生でソフトテニス部だったんですよ」
千尋「いや勝手に紹介すんな」
真琴「いいじゃん。良い結果残した人なんだから」
真琴は勝手に、千尋のことを先輩2人に紹介する。
優聖「明峰北高校だったら、南雲桐山ペアは聞いた事ある。」
千尋「その桐山です。」
優聖「そして西支部出てた?」
千尋「そうです。北別南野のペアにすぐ負けたけど…」
華月「さすが優聖の情報網、尊敬するわ」
毎年春頃に行われる県内高校西支部予選会は、県内の優秀ペアが出場権がある大会。そこに、南雲桐山ペアは明峰北高校初となる、西支部予選出場権を得ていたのだ。
真琴「永井先輩、この人春から西星大なのでよろしくしてあげてください」
千尋「だから真琴は勝手に人の事紹介すんな」
優聖「お?テニス部入る?」
千尋「まだ迷ってます……。」
真琴「てか2人の先輩たち千尋くんと同い年だよ?敬語使ってて」
千尋「いや、こんな、恐れ多いわ!!」
突然のことすぎて結構パニックになってる千尋くん。を面白がる二つ下の真琴だ。
華月「みんな続けるのかー。」
と1人呟く先輩が。
優聖「団体メンバーは大学に軟式のない智以外続ける」
華月「俺団体メンバーでもなんでもねえわ。」
華月先輩は春から緑陽市の専門学校へ通うみたいだ。
真琴「というわけで永井先輩、4月からこの人よろしくお願いします!」
優聖「了解。桐山くん下の名前なんて言うの?」
千尋「千尋です。そして俺まだテニス続けるかどうかも決めてないのに」
真琴「勿体ない。」
優聖「でも大学の部活は高校ほどきっちりやらないし、西星大もそこまでみっちりやってないし。」
千尋「見学とかってできます…?」
優聖「合格決まってる人だったら、もう練習参加できるよ。」
と、千尋は優聖から色々と話を聞いている。
その間に、華月と真琴は何やら話している。
華月「真琴にテニスやってるいとこいるって聞いたけど結構いい雰囲気の人だね」
真琴「イケメンだし優しいですよ。でもバコンバコン打ってきますからね。本人あんまり自分のこと評価しないけど上手い前衛選手ですよ。俺も千尋くんには負けますよ。」
華月「そりゃだって、西支部出てるならそれほどってことでしょ?俺も西支部は届かなかったのに」
真琴「そういうことですよ。あとペアの後輩も少年団の時から上手いとかで」
千尋本人はあまり自分のことを上手いって思っていない。でも実際周りから見たら上手いのだ。小学生の時からずっと前衛選手として活躍していたみたいだ。
優聖「大学の人には話しとくし、大歓迎してくれると思うから、都合良い日とかこっちいる日とか教えてくれれば俺から連絡しとくよ!」
千尋「ありがとうございます!!」
優聖「あとタメでいいよ!同い年だし」
千尋「あ、了解…」
とこちらもこちらで、連絡先交換していたようだ。優聖はこういうのが早い人だ。
華月「さすが優聖の顔の広さはこういうとこから始まる」
真琴「助かりますわ。この人本当によろしくお願いします」
優聖「何かあったら真琴にも連絡するわ」
長い間立ち話して、2人の先輩はどこかへ行った。
千尋「初対面で西星の人と連絡先交換しちゃった…」
真琴「いいじゃん。大学の部活行くの?」
千尋「土曜やってるみたいだから、行ってみることにはした。」
真琴「おー。頑張れ」
千尋「真琴、お前のせいだからな…」
真琴「って言ってるくせに内心楽しみでしょ」
千尋「バレたか」