かつての仲間と
(長江修太)
今は9月中旬。県大会で北春日市に来ている。自分にとっては高校入ってから県大会はこれで3度目の経験だが、今回は自分的に、果たしたい目的がある。
自分が中学3年生で南が丘中のチームの主将をしていた時、団体での全中出場を果たしたのだ。その年のレギュラーのうちの試合に出た6人中5人が、この大会にいると言うわけだ。まあ残りの1人は、現在硬式続けている志賀瑞士のことなので、実質全員揃う。前回の大会では南陵高校の2人はいなかったし。
一応全員には、会えたらいいねとは話している。
まだ1回戦終わって序盤の時には、俺と中学の時に組んでいた山岡広夢に会う。山岡は江南市にある星の里高校に進学。寮生活しながら、部活に励んでいる。
そしてその時に観てた試合の星の里高校ペアが大橋小松ペア。その小松飛鳥も同じ中学だ。
まあ実質今のところ今日は山岡としか話せていない。
ちなみに自分はこの県大会のダブルスでは2回戦で白石工業の古川菅原ペアに敗退。菅原壱星が中学の時に県優勝して全中出てる緑陽西陵中の三宅菅原ペアの菅原で、その全中の時にこの西陵ペアと自分たちは行動を共にしていたので、そこからの仲だった。まあ、今回は後半ボコられて負けたから今度はリベンジしてやるって勢いで。
それからは大会を観に来ていた七星先輩とつぐみ先輩、俺のペアの千葉哉斗とシングルスだけ出場の桜井晃斗と行動を共にしていた。その時だった。
「長江!おつかれ!」
と後ろから声をかけられた。
「飛鳥じゃん。」
「お前、俺の負け試合見てたみたいだな」
「見てたよー。」
「クソ野郎が。長江の負け試合も見とけばよかった」
そう、飛鳥だった。先程観ていた飛鳥たちの試合は負け試合だったのです。
「山岡も全部終わってるから探したらいると思うし、南陵組ってまだいる?」
「うーん、どうなんだろう。」
ということで、俺は七星先輩たちの元を一旦離れ、飛鳥と行動する。とはいえすぐ付近だけどね。
「お前らいつの間に合流してるし」
と山岡も俺達のことを見つけたようだ。
「違う、飛鳥に見つかった」
と俺は言い訳のように言う。
「ん?俺に会いたくなかったの?寂しいなあ?」
「きめえ帰れ」
まあ、俺と飛鳥は昔からこんなやり取りばっかしてる。久しぶりすぎて楽しいわ。
「唯里とは順調そうじゃん?」
と俺は飛鳥に聞いてみる。
飛鳥には中2から付き合ってる彼女がいて、その彼女の滝下唯里は西星の女子ソフトテニス部。南が丘のソフトテニス部から西星に行ったのは俺達2人だけなのと、俺が最近付き合い始めた彼女と仲良いのも唯里なので、話は聞く。
飛鳥、本当に唯里のことしか見てないからこいつら遠距離でも心配ないわ。それは唯里もだけどさ。
「そういう長江も梅田美桜と付き合ったんでしょ?」
「なんで知って…あ、どうせ唯里情報だろ」
「そうだ?」
なんて飛鳥と話していると
「え、お前、美桜と付き合ってんの?」
と山岡も入ってくる。
「まだ付き合って2週間経ってないけど。」
俺は一応事実を言っておいた。美桜は中学は違うが少年団同じなのでこいつらみんな知ってるし、しかも俺と美桜って少年団の時そこまで仲良くなかったからさ。
「えー何なに?長江のことだからもうやっちゃってるとか?」
と山岡は言ってくる。俺が中学の時に付き合ってた元カノとの話全部知ってるからなこいつら。
「いや俺、姫梨とはそこまでしてないし」
と俺は言うと
「でも美桜と付き合う時やったんでしょ?」
と飛鳥に言われる。
「や、お前、どこまで聞いてんの」
「多分経緯全部」
「あー、死ね唯里」
「俺の彼女に死ねとか言わないでくれる?」
「うわ出たそういうのうぜー」
やっぱこいつ変わんねえわ飛鳥。というか会わないうちにウザさ増してない??
「ところで南陵の2人ってまだ会場にいんの?」
と山岡は言う。
いや、そこなんだよね。もうあの二人負けてるし、さっき見た時は審判やってたけど……。
南陵高校の2人というのは、国本涼輝と古澤安喜のこと。1年生ペアながら県大会出場を果たしていたのだ。
俺達は試合を見つつしばらくその場にいると、突然名前を呼ばれた。
「あ、長江たちここにいた!!」
との声だった。そう、涼輝だった。
「どこにいたお前ら?」
と飛鳥は聞くと
「いやこっちのセリフだわ。探したのに3人とも見当たらねえもん」
と安喜に言われる。向こうも探してたのかよ。
「久しぶり感が全くないね」
と、涼輝が言う。
まあ実際、揃うのは卒業ぶり。
星の里の2人なんて、今はもう近場にいないもんだから、南陵組は地区大会で会えても、こいつらは本当に会えないかな。今は。
「次いつ帰ってくんの?」
と俺は星の里の2人に聞いてみる。
「年末年始かな?そんな日数ないと思うけど。」
と飛鳥が答える。
まあ、先輩曰く西星でも毎年年末年始の休みは3日しかないらしいから、同じくらいなんだろうな。
「じゃあその時集まる??ゆっくり話そう?」
と安喜が提案する。
「いいねそれ!みんなと予定合うか分からないけど。」
広夢を初め、全員が賛成する。
いや、普通に集まりてえわ。
やっぱ俺にはこいつらなんだよ。小学校同じで、少年団も同じで、中学でも一緒に勝ち上がって団体戦で全国決めて。西星高校も良いチームなんだけど、俺自身はこの南が丘中のメンバーが、1番一緒にいて楽だし、好きなんだ。辛い練習を共にした時間が長い分、なのかもしれない。
「涼輝ー、安喜ー、女子みんな負けたから南陵もうそろ行くってよー」
と、南陵の2人は、南陵の2年生の小山駿斗先輩に呼ばれてしまった。
ということは、もうここで解散だ。
「あ、なんかごめん、てかなんか揃ってるし」
メンバーを見て小山先輩は、南が丘中のメンバーだとわかったらしい。中学は違うけど、少年団が同じだった先輩だ。今は南陵高校の主将としてチームを引っ張っている2年生エースらしい。
「小山さん、お久しぶりです」
と飛鳥たちも久々に会うらしく、小山先輩に挨拶をしていた。
そのまま涼輝たちはすぐに行かないと行けなかったらしいので、ここで解散。
「じゃあ俺らも元々のところに戻るか。」
「そうだね。」
飛鳥と山岡も話している。なんか、この数分が一瞬のように感じる。
「年末年始絶対集まるからなー!」
と俺は言い残して、この2人と別れた。
この県大会、自分は2回戦で負けちゃったけど、こいつらに会えたから、最高の日になった。
そして今やみんなライバル。星の里高校の2人も、地区は違えど県大会で当たる確率もあるし、1年生ながら勝ち進んでいる。
俺も頑張らなきゃ。いつかはこいつらと、試合してみたいし、またいつか、チームメイトとして一緒に試合したい。