3月遠征A


その日の夜の話。
西星のソフトテニス部は司が部長になってからはホテルの部屋はペア毎が恒例。なんでかって、それは部長か先生に聞いてくれ。



まずは永井立花ペアを覗いてみよう。

晴日「てか今日って金曜日だよね」
優聖「うんそうだよ」
晴日「あー、テスト返されてるんだろうなぁ、現文とか自信ない」
優聖「聞いてみればいいじゃんクラスの人に」
晴日「あの黒メガネ野郎にラインしてみるか」

ちなみに黒メガネ野郎とは今回の遠征にはいなかった颯のこと。颯、晴日、春太の3人は同じ2年E組でも仲良く、そこに中学時代にソフトテニス部だった仁、ここはよく固まっているらしい。
ちなみに仁くんは南聖中出身の元後衛で、春太とは中学から仲良かったりする。

晴日「わからないけど現文のクラス最低点がまだ誰か判明してないから多分お前、だって」
優聖「ん、どういうこと」
晴日「なんかE組ってその教科の最低点みんな公表してるのが恒例だけど、現文の最低が24点だけど今のとこ誰も24点見当たらないんだって」

優聖「あー、C組もやるよ、最低点って公表されたら誰か知りたくなるよね」
晴日「俺ら現文先生一緒だっけ」
優聖「でも最低点が春太な訳ないしな」
晴日「それな、あいつはむしろ高得点野郎」

そう、春太はクラスでも成績が良いのです。テニスも強くて勉強もできて、どんだけ強いんだよ野川春太くん。

優聖「晴日って国語系苦手なんだっけ」
晴日「読み取りとか漢字も苦手」
優聖「中々いないよね、国語苦手なの」
晴日「むしろ暗記のほうがいける。追試くらうの国語だけ」
優聖「俺の真逆だね、俺暗記で点数取れないもん」

優聖は数学、英語、国語系はできるけど後は苦手みたい。

晴日「ってお前点数は良いけどな」
優聖「必死こいて覚えてるもん」


ひたすたらテストトーク。





続いては北戸川島ペア。

瑛太はやはり先程の真司の好きな人の話が気になったみたいで。


瑛太「横平先輩ね、俺のクラスの女子も3年で一番かわいいって言ってた」
真司「可愛いのもそうだけど美人のほうが近いとは思う」
瑛太「あー、確かにね。七葉も前にやっと話しかけることできて喜んでた」
真司「パンフレットの表紙になったぐらいだもんねあの先輩」
瑛太「たしかにそう言えば。」

男子テニス部唯一の商業科部員が瑛太なのである。しかもこの人、結構顔広い。彼女が顔広いのもあるけどね。


瑛太「でも真司が惚れるのは想像外」
真司「中身知ってくとね、守りたくなるなって思うようになった。」
瑛太「うわー、紳士的すぎてかっこいい」
真司「自分で言っといて恥ず…」
瑛太「顔真っ赤な真司とか新鮮」
真司「うるせーわ」

ところで瑛太は最近気になることがあった。

瑛太「真司ってそういえば采香と同じ中学だよね?鴻上采香って」
真司「あー、そうそう。テニス部だったしねあの人」
瑛太「最近テニス部から人気じゃない?って思ってさ」
真司「昨日の航大はマジでヤバかった」
瑛太「あと柊弥と将斗も可愛いって言ってたしね」
真司「智也も言ってなかった?」

瑛太と同じクラスの采香ちゃん。 瑛太の彼女の七葉ちゃんと仲良く、中学時代はテニス部。その時から他校男子からもモテてたようだが…。

真司「でもね、南聖のテニス部出身から見たら何も言えない」
瑛太「それ智も春太も言ってたけど何かあったの?」
真司「義晴先輩。」
瑛太「あ、そういう系?」
真司「察してくれた?なら良かったけど」

南聖中、そして西星テニス部のOBの、この2人から見て2つ上の藤井義晴先輩。昔は結構なヤリチンで有名だった。今はそうでもないけどね。

真司「あと悠真の兄ちゃんにもやられたことあるって噂。あくまで噂だけど」
瑛太「悠真って春太のペアだった?その人の兄ちゃんはどんな人なの」
真司「斗真先輩って言うんだけど、2つ上で普通にイケメンなんだ。義晴先輩と仲良かったのもあるけどまああそこ同等というか。」

やっぱり南聖中、そういう話は多い。

真司「モテるからね、采香、狙われやすい。しかもそれに応じちゃってる。」
瑛太「ふーん、初耳すぎて笑えない」
真司「みんな可愛いって言ってる中こんな話したくなかったもん。でもまあ春太のほうがこの辺は詳しいと思うよ?」
瑛太「おっけ、今度聞いてみるわ」






続いて覗くのは大宮小谷ペア。2人とも工業科で、結構話も合うようだ。

宏斗「小谷先輩って進路どうするんですか」
大紀「なーんも決まってない」
宏斗「進学か就職かも?」
大紀「うん」

小谷先輩、もうそろそろ3年生ですよ。

大紀「そういう宏斗はどうよ」
宏斗「就職一択ですね俺は。勉強したくないっすよ」
大紀「それはあるな、でも働きたくもない」
宏斗「ニートが1番」
大紀「だからニート増えるんだよな今の社会」
宏斗「小谷先輩も仕事辞めたら何もしなさそう」
大紀「うん俺も何もしたくない」

大丈夫かこの先輩。将来が心配だ。
でも数人に一人はいるからね、こういう人。

宏斗「兄が今月末に引っ越すんですよね、就職先遠くて」
大紀「あー、じゃあ宏斗は市外希望?」
宏斗「いや別にそういう訳じゃあないけども…」
大紀「てか宏斗の兄ちゃんどこだっけ」
宏斗「白商ですよ」

でも西星高校生の就職先は市内が多いイメージ。春日や白商は、市外もそこそこいるかな。って。

宏斗「でもとりあえず工業系行きたいっすね。せっかく資格頑張ってるからそれ活かしたいし」
大紀「俺資格取得もみんなほど力入れてるわけじゃないからなぁ」
宏斗「北戸先輩はやばいっすよね」
大紀「あと中浦先輩と高野先輩もな」
宏斗「高野先輩とかいいとこ決まりましたしね就職先。」
大紀「すごいよね、今年の工業科の中で1番難しいところ決まった人のなんだって」

工業科でありテニス部の先輩、高野俊也先輩。鉄道会社に就職が決まったらしい。本人は三者面談の時に担任に勧められて決めたらしいが、その後は勉強に専念して、試験も合格。

大紀「てか2年からの選択どこ行くの宏斗」
宏斗「電子機械ですよー。それ以外何も無かった」
大紀「俺なんで情報工学選んだんだろう」
宏斗「何も決まってない先輩なら何でもいいじゃないっすか」
大紀「何その言い方」


高校生終盤の壁は進路。半年後にはもう今の2年は就職解禁。早く進路決まるといいですね。






続いては川岸花田ペアへ。
どうやら司の片思いの話を陽介が聞き込んでいるようだが。

司「昨日の昼休みはマジで天使だったあの子」
陽介「良かったですねー、それより足痛めてたの初耳なんですけど」
司「大丈夫なんとか。」
陽介「でも川岸先輩も単純っすね、七星好きなんですねそれほど」
司「確かに単純かもしれないな」

嬉しいことあったら常に笑顔な司。他の部員から見たら何があったのか大体分かるみたい。

陽介「ひとつ質問なんですけど、仮に七星のこと好きな人が他にいたら川岸先輩どうします?」

玲一が七星のことを好きなことは陽介は知っているが、あえて知らない底で言ってみる。

司「んー、まあ、好きなのは個人の自由だしいいと思うよ。でも負けたくはないね」
陽介「告白とかする予定はあるんすか」
司「現役のうちに告白するとは決めてるけど、あの子そういうの意識してなさそうだから、もうちょっと仲良くなってからかなーって」
陽介「ああたしかにそれはあるかも…」

ファイト、川岸先輩。
って、何気に2年生も引退まで最高で半年切ってるんだよなぁ。テニス部はインハイ予選で引退する人もいれば、夏の国体予選で引退する人もいる。

陽介「って、インハイ予選前ですか、国体前ですか」
司「インハイ予選かな。国体は俺まだ出るかも決めてない」
陽介「いや出ましょうよ」
司「ペア見つかれば出るかな」

実質引退はインハイ予選のある6月だ。地区大会は5月だけども、司先輩はどのタイミングで告白するんだろうか。

陽介「川岸先輩見てたら本当に応援したくなりますね」
司「ありがと。俺も本気の片思い頑張るわ。」
陽介「2人で遊びに行くとかどうですか、大体みんなそうして付き合うまで発展してるし」
司「確かに泰聖とか華月とかそうだね。」
陽介「二人きりだし絶対いいと思いますよ。」
司「なるほどー。今度誘ってみよ」

行動に移そうとするのが早い、この先輩。
川岸先輩の片思い、叶うといいですね。





そして来ました 、長島野川ペア。

とりあえず春太は、泰聖のキスマークが気になるようで。泰聖も泰聖で、そういう話は春太が話しやすいようで。

泰聖「って春太先輩も人のこと言えないじゃないですか、何これユニフォーム着てたらもっと丸見え」
春太「むしろ今まで気づかなかった?選抜予選の時だったら首元ついてたよ?」
泰聖「いや全然気づきませんでしたけど」
春太「長島野川はキスマークついてるペア」
泰聖「いや笑いどころじゃない」

お互いがお互いについてるキスマーク見て突っ込む。こんなペア他にないよな。

春太「つーか泰聖、いつの話よ」
泰聖「春華の卒業式の日です。そのまま遊んで、そのまま家行って流れで…」
春太「良かったね俺の持ち合わせ渡しといて」
泰聖「いやあ、先輩のおかげで助かりました」
春太「彼女できたらやるつもりなくても持っとくべきなんだよああいうの。って中学の時汰斗先輩が言ってた」
泰聖「ですよねー。」

ところで春太くん、泰聖にはじめてぶっちゃける話も今日はあるようで。
宏斗なら身内の話だから知っているが、実は春太が今の彼女と1度別れた2年前、その原因となった出来事に関わっていたのは…

春太「斗弥くんっていう白商の1つ上でかっこいい人いるんだけどさ」
泰聖「あれ聞いたことあるような…」
春太「宏斗の兄ちゃん」
泰聖「え。まじですか、てことは宏斗の兄ちゃんと先輩の彼女さんが2年前…」
春太「そういうこと。って、俺も斗弥くんが宏斗の兄ちゃんってことは宏斗に言われて知ったけど」

どうやら春太もこの事を知ったのは最近らしい。宏斗がお兄ちゃんから聞かされて判明したらしくて。

泰聖「変なこと聞きますけど先輩は彼女さんヤリマンって言ってますけど付き合ってた時にはもうそうだったんですか?」
春太「いや、最初は俺だよ」
泰聖「あれ、先輩…?!」
春太「言ってなかったっけ?俺中学で童貞卒業してるから」
泰聖「え、全然知らなかった…」
春太「だって意外って言われるもん言いたくない」

春太は中学時代でもう経験済みのよう。そりゃ、変態言われますがな。え、話が違う?
やっぱり誰よりも大人な春太とお色気ムンムンの泰聖。こういう話も合うんですね。

泰聖「先輩は中学から変態だった」
春太「だから何でそーなる」







最後は福島野本ペア。玲一は智にも打ち明けることを決めたらしいが…。

玲一「川岸先輩が七星好きなのは分かりますよね」
智「あー、テニス部でわかんないやついないと思うが」
玲一「ですよね」
智「どうした急に、玲一ももしかして…?」
玲一「はい、俺も七星のこと好きですよ」
智「え、ガチ?」

智はノリで言ったようだがそれが図星だったようで一瞬唖然。

玲一「でも川岸先輩あのまま関わっても、今のところはまだ無駄なんですよね、正直言って」
智「たしかに恋愛とかするような子じゃないけどね」
玲一「そう!そこなんです!七星あいつ自分には恋愛なんて縁がないとか昔から言ってるぐらいですから」
智「あー、なるほどね」
玲一「まず七星は男を男として見てないですね。男の気も知らないですね。だから余計に」
智「やっぱ昔から知ってる奴は違うな」

テニス部の中で1番七星と関わり深いのは昔から知ってる玲一だ。玲一も何だかんだ七星のことは見てきてるからどんな人だかも結構知っている。

智「玲一もなんか迫ってみれば?」
玲一「…え?」
智「積極的に動けそういうのは。動かないと始まんねーぞー?」

やっぱこの先輩も色々経験してるんっすね、と思う玲一であった。

玲一「てか智先輩たちって復縁した時どういう感じだったんですか?高校同じだしずっと会ってるとは思うんですけど」

と、玲一は無理やり智に話を持っていく。

智「俺は別に何も思わなかったよ。最初は。でもやっぱり、巡り合わせっていうやつだよね」
玲一「それはどういう巡り合わせですか」
智「んー、結局は1番話しやすいんだよな。一緒にいて落ち着くんだよな、って」
玲一「智先輩って表に出さないだけで結構幸せですよね」

そうだね、智が自分の恋愛感情を表に持ってくるのは彼女の結愛ちゃんの前ぐらいだ。

智「好きな人の前だけで見せたいじゃん?って俺が勝手に思ってるだけ。」

中々かっこいいことを言い出した智。に、玲一は1人で感動していた。

玲一「俺、先輩見習います」
智「でもぶっちゃけ、ライバルいようと、自分の恋愛なのには変わりないんだから、自分の全力出しといたほうがいいよ。何もしないで後悔するよりは、振られて後悔するほうがいいしょ?」
玲一「…はい!」









そうして夜が終わった。

今回もまた、楽しそうで何より