徹也の1日帰省







春休みの真ん中ごろの話だ。星の里高校のソフトテニス部は高校選抜を終え、久しぶりの部活休みがある。春は帰れる日がないため、この機会に、寮生でも近場の人は1日だけ帰省をしている。南市に住んでる本間乙也などもそう。

江南市からでもすぐに行けちゃうところにある北春日市が地元の吉岡徹也もその1人。空港から久しぶりの実家へ戻ろうとすると、近所に住んでいてかつてのチームメイトで北春日東陽高校の、藤川玲矢に会う。



玲矢「あれ?徹也?」
徹也「びっくりしたー。玲矢か」
玲矢「どうしたの?帰省?」
徹也「さっき空港着いて、そのまま今日だけ。明日の夜帰るけど」
玲矢「あー、高校選抜帰りか。星の里すごかったらしいじゃん、お疲れ」
徹也「ありがと。俺は戦犯かましまくったけど」


と、久しぶりに言葉を交わす2人。藤川吉岡ペアといえば、北春日島居中出身で、全中にも出場したペアだ。



玲矢「丁度明日火曜だから俺ら部活休みなんだけど、関根先輩に東支部近いから練習相手になれって呼ばれたからテニスするんだけど、来る?」
徹也「え、どういうメンツ?」
玲矢「俺と関根先輩と、淋と聖也は行くのと、あと石前の長尾先輩と二川原先輩が部活終わったら行くーだって。」
徹也「行っていいやつなら行くよ?」
玲矢「来い。」


というわけで、休日は地元メンバーとテニスすることになった徹也くん。






次の日。



聖也「化け物が来やがった」
徹也「なに、化け物って」
聖也「選抜予選で星の里優勝のボレーを決めた男」
真人「俺らその瞬間見てたけどあのボレー本当にかっこよかった。」
徹也「ありがとうございます。というか関根さん本当に久しぶりすぎて…」
真人「県大で見かけても話しかけにくかった。」
徹也「いや、全然話しかけにきてくださいよ!!北春日の人と話せるの嬉しいんですよ!!飛びつきますよ!!」


中学が同じ玲矢や聖也とはよく会うし、淋も玲矢と一緒に大会の時に話したりするので会うけど、関根先輩は本当に久しぶりらしい。


と、歩いて体育館へ向かう。


淋「というかこの間聞きそびれたから今聞くけど、徹也って唯香と付き合ってんの?」
徹也「ああ、中の島中だから一緒か。9月から付き合ってますー。」
真人「あー俺も思った!唯香と付き合ってんだ」
徹也「そっか関根さんも中の島中ですもんね。でも何で知ってるんですか…」
聖也「徹也の彼女のインスタ」
徹也「ああ…了解」
真人「ちなみに俺は唯香と家近いから小さい頃よく遊んでたよ。」


徹也と現在付き合っている女の子は、中の島中出身の女の子、新見唯香ちゃん。高校は同じ星の里高校で同じく寮生活中、徹也とは同じクラスらしい。


淋「てかあの人バスケいつ辞めたの?星の里だったよね?」
徹也「んー、夏休みだったはず。練習も精神的にも辛すぎて辞めたって」
真人「あーそっか。元から知り合いとかじゃなくて、高校が星の里だから出会った感じ?」
徹也「そうですね。同じクラスなんですけど、地元同じで盛り上がって仲良くなったのがきっかけです。唯香はバスケで星の里行ったけど辞めちゃって…」

玲矢「前回徹也が帰省してきた日、テニス誘ったら彼女と会うからって断られた」
聖也「それな」
徹也「それはごめんなさい、」


徹也も彼女のこと大好きなようだ。



なんて話していると、体育館に着く。




徹也「久しぶりすぎる……」
聖也「俺らはほぼ毎週行ってる」
真人「冬休みの部活ほとんど東体だったよね」
淋「学校の体育館1個は絶対足りない。」


東陽高校は公立高校。その上部活も盛ん。冬は体育館使用は限られている。


玲矢「星の里って専用の体育館あるんでしょ?」
徹也「専用というか…ほぼソフトテニス部しか使わない体育館がある。部活以外だと学祭とか体育祭とかの行事しか使わないかな。」
真人「体育館何個あるの星の里」
徹也「3つですかね。」
淋「さすが私立すげえ……」


と体育館トークはさておき、テニスを始める準備をする。


徹也「関根さんって東支部出るんでしたっけ?」
真人「出るよー。シングルスだけ」
聖也「ダブルスはあと一歩だった…」
玲矢「俺たちも。」

淋「関根先輩たちはダブルスは、インドアで2回戦勝てば出場権はもらえてましたよね。」
真人「まずあそこで白石工業の馬田安藤ってのが強すぎた。」
徹也「あー、安藤さん高身長使ってプレーしてきますよね。馬田さんは速いし」
聖也「やっぱあれぐらいじゃないと東支部行けないんかなと実感…」
真人「安藤くんめっちゃ高い位置のボレーも決めてた」
玲矢「って目の前にいる強豪校のレギュラーに言ってどうする」
徹也「いや俺はまだまだ。ペアがすごいだけ」


徹也のペアは同い年の内藤駿芽。小学生の時から数々の全国大会を経験している。


聖也「でもたしかに、昔から全国とかバリバリ行ってる内藤くんと、俺達が昔からずっと一緒にテニスしてきた徹也がペア組んでるってなんかすごい感覚」
徹也「いや俺も、最初びびったもん正直。他にも良い前衛沢山いるし。俺なんか中3で個人戦でたまたま全中出た程度だよ。他の人に比べたら全然。」



でも、それほど努力して実力を身につけているということですよ、徹也くん。







いざ始めると、沢山汗をかき、楽しんでいる様子が見える。


昼近くなるとそこに、石前大高校の2人も到着。



楓弥「あれ、特別ゲスト?」
淋「です」
徹也「いやそんな特別視しなくても…1年前まで北春日に住んでたんですよ俺」
楓弥「いやもう星の里のレギュラーが何言ってる」
和英「それ」
徹也「まあとりあえず、二川原さんお久しぶりすぎですね。」
楓弥「俺らはインドアの時喋ったもんね」
徹也「佐久間さんに呼び止められて。」


徹也も小学生の時からソフトテニスをやっているので、北春日の人は知り合いが多い。


徹也「長尾佐久間ペアも星の里でも注目されてますよ。新人戦の時に大橋小松が初戦いきなり1負けって痛い目あってますから」
楓弥「その試合結構星の里の人に見られてた気がしてたんだわ。」
徹也「しかもインドアもベスト16楽々と入りましたし。東支部楽しみにしてますね」
楓弥「東支部、お前だけとは当たらないよう祈っとくわ」
徹也「俺も祈っときますわ。というわけで長尾さんと打ちたいです」
楓弥「いや、話の持っていき方」


とここでいきなり、徹也と楓弥が2人で打ち始めた。
それも県大会で名を残す2人だから、他の人はずっと見ていた。


和英「この組み合わせはやばい」
淋「長尾佐久間ペアと内藤吉岡ペア実際に当たったらどうなるんだろう」
真人「北春日勢的にはすごい組み合わせ。本当に東支部当たらないかな…俺見れる」
玲矢「というか東支部の日行くの俺でいいんですよね?」
真人「そうだけどその質問3回目」
玲矢「あ、すいません」


どうやら玲矢も、関根先輩の東支部大会に付き添うようだ。






徹也「長尾さんいつからそんなやらしいプレーするようになったんですかー」
楓弥「日頃の練習だー。いや俺そんなやらしい??」
和英「やらしいよ?」
真人「やらしいね。」
徹也「ほらみんな言ってますよ」
楓弥「徹也お前テニスしたら調子良くなってきたな」
聖也「それが吉岡徹也です」


まあ、久しぶりに地元の人とテニスできて楽しいんでしょう、徹也くん。
徹也も全然地元の人とテニスしてなかったので、嬉しいようだ、相当。




真人「ちょっと長尾吉岡で組んでみ?俺ボコられたいわ」
楓弥「あ、やりたい。」
真人「よっしゃ。俺は誰とやろうかな」
玲矢「行きます?」
真人「おしきた。いっちゃうか。何気に初の藤川関根。」


と、ダブルスをすることになったみたい。




淋「徹也入るだけでモチベーションみんな上がるね」
聖也「それ。」
和英「長尾があそこまで生き生きしてるの久しぶりに見た」



と、唐突に組んで唐突に始まった藤川関根ペアと長尾吉岡ペアのテニス。4人とも楽しそうにしてるので良し。








テニスを終えると、一向は徹也を見送りに駅まで向かうが、まだ時間があるので駅のすぐそこのレストランに入る。




楓弥「にしても徹也、テニスも強くなったのもあるけど、イケメンが更にイケメンになったよなー。背も伸びてるし」
真人「彼女とラブラブだし」
聖也「ただの勝ち組」
徹也「いや俺そんな…そこまででもないです」
淋「嫌味か」
徹也「違っ!」

徹也もあまり自分のことを評価するのが苦手な人なので、言われたらこういった反応をとってしまうが、本心は嬉しいのである。



玲矢「徹也昔からモテるからよく告白されてたよね」
聖也「でも今の彼女けっこう長いんじゃない?」
徹也「たしかに今まではあんまり続いた試しない。今の彼女の前に3回付き合った経験あるけど、長くて5ヶ月とか。」
淋「唯香とは何ヶ月?」
徹也「あと少しで7ヶ月。」
淋「まあでも唯香、前の彼氏とも長かったし」

真人「じゃあ徹也の恋バナ聞きたい。」
徹也「ここでですか?!まあ今しか話せる機会ないですからね。」


徹也も自分の恋バナをするみたいだ。



徹也「話していくうちに、可愛いなって思い初めて、そのまま好きになった感じなんですけど…」
淋「まあ、唯香モテるからね昔から」
聖也「徹也もモテ男だけどな」
玲矢「徹也が自分から女の子好きって言い出すの中々ないよ」
徹也「それは自分でも思った。」


今までは、告白されて付き合っての繰り返し。自分から告白したのも今回が初めてらしいし。


淋「でも唯香と徹也は応援できる。」
真人「な。徹也がデレデレしてるのも中々面白いし」
徹也「いや、バカにしてます?」
楓弥「にやけてる」
徹也「いやーー。」

顔を赤らめて、照れる徹也くん。


和英「徹也、安心しろ、長尾も彼女とすぐイチャイチャするから」
徹也「え、彼女いるんすか?」
真人「ねえ、俺も初耳」
楓弥「和英あとで処刑するからな」

一瞬で、楓弥に彼女がいることがバレてしまった様子。


淋「徹也たちはね、インスタとか見てたら本当に微笑ましいもん。」

と淋は、徹也の彼女のインスタを開く。

徹也「恥ずかしいからわざわざ開かないで、」
和英「彼女とはどこまでしたの?」
徹也「いや、どこまでってほどもないです。」
玲矢「二川原さん、こいつ恋愛で自分から動くの苦手なんですよ。だからすぐ愛想つかされる」
徹也「うるせ」
聖也「思い出しただけで面白いわ。恥ずかしがり屋さんが」
真人「実際今はどうなの?」
徹也「告白で精一杯で、最近抱きつくとかキスとかやっと自然にできるようになった程度ですよ。」


恋愛に関しては恥ずかしがり屋さんらしい。モテ男だけど、こういうところはかわいい。



聖也「徹也は今回は彼女と会わなくて良かったの?」
徹也「あーなんか、唯香の帰省終了と入れ違いなのさ。だからもう寮戻ってる」
和英「まあ学校で会えるんだからいいだろ」
徹也「まあクラス替えない学科ですし。3年間同じです。」
楓弥「まず同じクラスな時点で羨ましいわ」

和英「長尾の彼女は年下」
真人「あーなるほど。」
玲矢「いつから彼女いたんですか?長尾さん」
楓弥「これ言わなきゃダメ?」
徹也「聞きたいです。俺今しか聞けるタイミングないんですよ?」
楓弥「えー。まあ言うけどさ。7日で1年になる。中学でも1年付き合ってたけど別れて、復縁してから1年だけど」


ということは、日曜日に1年を迎えるということだ。おめでたい。




真人「徹也そろそろ時間じゃない?」
徹也「あ、本当ですね。売店寄って帰ります。」
玲矢「そして俺は相変わらず荷物持ち係なのな」
聖也「徹也が北春日出る時もそうだったよな」
徹也「あれは玲矢がジャン負けしたからじゃん」

淋「これからの活躍期待してるわ。」
徹也「ありがと。地区違いますけど、みなさんも頑張って下さい!県大で会いたいです!!」
楓弥「その前に東支部で当たらないこと願う」
和英「まだ言ってるし」



1日だけだったが、地元の人と久しぶりに話せてテニスできて、徹也にとって充実しっぱなしの1日でした。これからも部活、頑張れ!