小学生の時のペア





高校三年生のゴールデンウィーク、北春日市のテニスコートでは数々の学校の練習試合が行われた。


緑陽市の白石工業高校もその1つで、ここで1番手後衛の馬田智貴は、気づいたことがある。

智貴「ねえ安藤、俺ら緑沢高校戦どこと当たるって言われたっけ」
怜央「聞いてなかったの?」
智貴「いや聞いてたけど確認。」
怜央「竹岡杉谷ペア」
智貴「聞き間違いじゃなかったか。」
怜央「あー。竹岡馬田ペア。だっけ」
智貴「そうそう。実は当たるの初めて。」


南市の緑沢高校の竹岡涼成・杉谷世空ペア。竹岡くんは釜川中全中世代の選手で、小学生の時からテニスをしていた。

実は智貴も小学生の途中までは釜川の少年団で、テニスをしていたのだ。その時のペアなんだと言う。しかもこの竹岡馬田ペア、小学生の時に全国出てますから。
ちなみに智貴は現在後衛選手だが、小学生の時は前衛選手でした。




試合中は、少し複雑な気分だったみたい。そりゃそうだよね。実は、智貴が緑陽市に転校してから、1度も当たったことがなかったみたい。





その後、自由時間を見つけ、智貴は緑沢高校の人達が集まっているところへ行く。


涼成「あ!馬田!!」
智貴「気づくの早っ!」

涼成はすぐに気づいたようで、近くにいた涼成のペア、世空もやってきた。


世空「良かったじゃん。話せて。」
涼成「本当にさ。中学生の時は県で会っても話してたけど高校上がってからは中々タイミング掴めなかったよね。」
智貴「確かにすごい久しぶりな感じする。昨年の国体予選で少し話したの最後?世空も元気そうじゃん。」
世空「何とか元気でやれてる。」

世空は東町少年団でテニスをしていたので、南市内の少年団でよく交流会や練習試合をやっていたので、その時からの仲だ。


涼成「白石工業のオーダー聞いた時びびったもん。まず白石工業とやれたのも初めてだったから、馬田と当たればいいなとは思ってたけど」
智貴「同じだわ。緑沢高校って聞いた瞬間このペアしか頭に浮かばなかったわ。不思議な感覚。」
涼成「ねー。」
智貴「支部大会では、北陽のあの3人の誰かとはよく当たるんだけどね」


涼成が中学で全中出た時の元ペアは、北陽学園高校の1番手前衛、金子翔弥のことだった。
他にも翔弥の現在のペアである辻凛太や、凛太の中学までのペアである古谷瑠斗も同じ。この3人は北陽行った中、涼成だけ地元の学校に進学したのは周りもびっくりしたみたいだ。


世空「東支部後一歩だったんでしょ?すげえな」
智貴「いやー。ギリ全国逃したよね。」
涼成「俺たち西支部にも届かなかったわ。」
世空「東江南の大谷西井ペアに負けたからねー。」
涼成「その前から俺たち県大の成績ダメだったし。」
智貴「でも活躍してるって聞く。」


旧友と話すのが楽しいようで、つい話し込んでしまう智貴。




智貴「てか、涼成って葉月と別れたの?」
涼成「あー。バレてたのか」
智貴「というよりかは、凛太と瑠斗がこの前の大会の時に会って教えてくれた」
世空「っても、つい最近の話?」
涼成「むしろ1年続いたことに褒めて」
世空「まあ、涼成の言い分も聞いてあげて。」
智貴「何があったの。」

涼成「やっぱあいつ、翔弥しか見えてねえもん。俺の事ただ寂しさ埋めるだけに使ってただけにしか思えない。」
智貴「結局翔弥なんだ?」


涼成が最近別れた堀葉月ちゃんという、涼成とは小学校から高校まで部活も同じの女の子がいる。翔弥の元カノである。
涼成は中学生の時からずっと好きで、昨年ダメ元で言うだけ告白したら、まさかのOKされたみたいだ。


智貴「翔弥も葉月のこと、意味わかんないって言ってたらしいけどな。」
涼成「そりゃそうでしょ。でも翔弥は別に何も悪いことしてないし、他にも色々とあるからあいつだけは憎めないんだよねー。いくら恋敵でも」
智貴「翔弥も同じようなことずっと言ってるから竹岡金子ペアの信頼感尊敬するわ」
世空「実際のところ涼成のペアは俺なんかより翔弥のほうが色々な意味で合ってるしょ」

涼成「別に世空がダメとか思ってないけどな、でも翔弥の次にペア組みやすい」
智貴「ねえ涼成??俺は??」
涼成「忘れた。覚えてない」
智貴「ひどーい、そうやって」
涼成「嘘。でも今は馬田とペアなんて無理だよ。ダブル後衛苦手」
智貴「まあそうなるよねー。先輩と遊びでやつたことあるけど意外と大変。」


智貴が涼成とペアを組んでいた小学生時代とはポジションが違いますからね、智貴は。今じゃ緑陽市を代表する後衛選手です。



世空「とりあえずまあ、来月の県大会の時も会えたら話したいね」
智貴「ねー。今度は俺が白工側にいる時に二人とも来い?紹介してあげるから」
涼成「行くわ。」



久しぶりに昔の仲間と話せて良かった智貴は、良い思い出にもなった。
そして引退まであと少しだ。