ふとした質問






県外の遠征も中盤。この日の夜、吉岡徹也はふと、今回同じ部屋の小松飛鳥と茂原健一と長畑怜樹に質問をした。



徹也「やっぱさ、彼女のエッチなこと考え始めるのってやっぱ自然なことなのかな、」

という質問に、怜樹は飲んでいたお茶でむせてしまった。


怜樹「……何、あの徹也がとうとうそんなこと考え始めたの」
徹也「いや最近。本当に最近。」
飛鳥「まあ、所詮男と女だからそうじゃん。」
健一「本当に徹也って純粋すぎて見てて面白い」
徹也「笑わないで…」

徹也は長身で爽やかなイケメンの上に、勉強もテニスもできるので、昔からモテていた。告白されることも多くて付き合った経験もあったけど、どうも恥ずかしくて愛情表現ができていなかったみたい。それで、愛想つかされたこともあるみたい。

そんな徹也は、この部活の中でも1番と言っていいほどの純粋男だ。今の彼女とは1年生の9月から付き合っているが、徹也から好きになって告白した。ということ自体、珍しい、と地元の人にはびっくりされたようだ。


怜樹「でもこれからもっとずっと付き合っていくには乗り越えることじゃないの」
飛鳥「他の奴ら見てても分かるだろ。別にそんな恥ずかしいことじゃないし、みんな同じだし。」
徹也「ですよね。」


そう。自然なことです。徹也くん。


健一「逆に徹也にとってはいい成長かもね。」
徹也「多分、中学のメンバーに言ったら絶対最初は驚かれる。自分から唯香に告白したことさえ言ったらびっくりされたもん」


健一「そーいや、怜樹も恋愛経験結構あるんだっけ」
怜樹「中学の時はねー。一応1年以上付き合ってた人いたし、それこそ色々と進んだから。」
飛鳥「思ったけどこの部活絶対童貞のほうが少ない」
徹也「2年生は空真と岳人と…あとお前ら3人もか」
健一「たしかに俺らそうだわ。でも部員でも半々ぐらい?」
怜樹「にしても健一はびっくりだわ。」
健一「俺は…まあ。」


たしかにこの4人の中だと、徹也以外既に。とはいえ健一は最近だ。行きのバスの中で、話の流れ的に、言わなきゃいけなくなったみたいなので、大まかなことは言ったみたい。



飛鳥「高校上がると意外と周りみんなやっちゃってるもんだからね。長江が今の彼女とヤって付き合った話はびっくりしたけど」
徹也「そうなの?!」
飛鳥「うん。少年団同じのすっごい美人いるのさ。その人と」
怜樹「そう見えないけどね。真面目そう」
飛鳥「性格は真面目なんだよ。でも素を出せば口悪いし騒がしいから」
健一「やっぱ意外とそういう人も多いんだね…」

徹也「村瀬先輩もパッと見はあんな恋愛してそうに見えない」
怜樹「それは分かる。」
飛鳥「逆に見た目と中身一致してるのは空真と岳人かな」
健一「確かにねー。」



彼らの先輩、村瀬蓮も昔から恋愛経験が多いほうで、今では後輩の恋愛相談も聞くようになっていた。飛鳥も何度かお世話になったようで。




怜樹「てか健一の話詳しく聞きたい」
健一「結局こう来るとは思ったけど」
飛鳥「まーあんな人数の前で詳しいことは話せないしな」
健一「そうなんだよ。まあこのメンツだから話すけど。」

ということで、先日健一の身にあったことを話すらしい。



健一「東支部の2日目終わったの昼過ぎじゃん。その後に帰りの電車の中で会ったんだよね。前に俺がやりかけて拒まれたことあってそれから音信不通だったけど、でも俺は話しかけに行った。」
飛鳥「だから岳人知ってるんだ」
健一「そこまでは見られてたからね。あと奈緒と岳人は面識あるし。」



先月の中頃の話だ。ちなみに岳人の通っていた雪原中と、健一の通っていた豊美中は区域が隣なので、帰り道はほぼ毎日一緒。岳人が彼女と会う日以外は。


健一「それで話がしたい、って俺が言って、とりあえず近場のお店寄って、色々と今まで思ってたこと話したの。それで結局はお互いずっと好きなままだったのが分かったし、とりあえず奈緒とは和解した。」

飛鳥「ちなみにやったのはいつよ?」
健一「その次の日。部活休みだったじゃん。それで奈緒も学校休みの日で部活夕方までだったから、約束して俺んちで過ごした。」
徹也「って考えたら健一も結構男なんだよね…」
健一「まあ徹也よりはな」
徹也「グサッときたわ。」


部員の中で1番背が低い健一。周りに比べたらちょっとかわいい感じはするけど、でも顔は整ってるし、性格もやってることも男っぽい。まあこの人、テニス姿もそうだけど、ダンス姿もめちゃくちゃかっこいいのだ。


健一「…まあ、付き合ってないけどね、まだ」
怜樹「半月以上経ってるけど?」
健一「まあ会ってはいるよ。でも奈緒側の事情で。まだ彼氏と別れれてないから。」
飛鳥「あ、彼氏いたの?」
健一「しかも俺の友達ー。俺が奈緒と連絡とれなくなった隙に猛アピールしたんだって。それで奈緒も俺ともう顔合わせることできないかも、って付き合うことになったらしい、って別の友達が言ってた。俺の周りみんな東陵通ってるから」
飛鳥「へー。意外と複雑だったこの話」


ちなみに東陵学園高校は、健一の通っていた豊美中の区域内に学校があるので、健一の友人も他にも沢山通っているのだ。まあ、ソフトテニス部がない高校だから、星の里の仲間にとっては、あまり馴染みのない学校だけど。



怜樹「なーんかみんな濃い恋愛してるね。いいねー。」
飛鳥「この1年間で色々と聞いたな。同期の恋バナは」
健一「しかもみんな深いよね。」
徹也「1番話が深いのって誰なんだろう。」
飛鳥「今は駿芽じゃない?」
怜樹「駿芽あいつまだやってないって言い張ってたけど、本当はもうやってそう」
徹也「駿芽ならやりかねない」

おーい、なんか色々と言われてますよー、駿芽くん。



飛鳥「でもやっぱ、村瀬先輩と岳人が1番リア充してるなーって思う」
徹也「それは思う。俺達はお互い寮生だから、色々と限られてる」
飛鳥「まだ会えるだけいい。俺に至っては大会か帰省の時しか会えないもん」
徹也「まあ、飛鳥は本当に色々と凄いわ。」
怜樹「むしろ会えないからこそ惚気けたいんだよね飛鳥は」
飛鳥「うん。そこはわかって欲しい。」


飛鳥も普段から彼女の話ばかりしてるけど、内心は本当に寂しさと不安でいっぱいなのだ。1年経って不安はあまりなくなったけども、寂しさは強くなる一方だし。



健一「実際のところ、部活の仲間とここまで恋バナしたから、俺も前に進めれたのかなーって思う」
徹也「あー。言いたいことはわかる」
健一「みんなの話聞いてたら刺激される」
飛鳥「特に岳人はね。ああいう恋愛したいなっていう手本みたいなもんだわ」
怜樹「岳人はすごいよね。」

と突然みんなで、この場にはいない大橋岳人のことを褒めてる4人。


健一「だって普通なら自分の恋バナとか、必要以上に話したくないもん。キスしただのエッチしただのそういうところもさ」
飛鳥「まあ普通はな、あんまり大っぴらに話すことじゃないけどな」
怜樹「これが星の里高校らしいのかどうなのか…」
徹也「まあ、みんなだから話せる、っていうのはあるよね。」

確かに、普通ならみんなあんまりこういう話をギャーギャー言わない。多分。


健一「それだけじゃないけどさ、星の里のソフトテニス部入って、良い仲間に出会えたなーって思ってる。」
飛鳥「良かったじゃん、入ってて」
健一「睦巳に感謝だわ。」
怜樹「あ、元々は続ける気なかった人」
健一「だって正直第一志望じゃないし、星の里なんて強豪校で部活できるわけないとか思ったよ」

健一は、第一志望である明洋高校の入試は不合格に終わり、この星の里高校に進学したのだ。同じクラスにはソフトテニスで知り合った柴田睦巳がいたので、無理やり誘われたという。


怜樹「逆にそれで部活続いてるのがすごいと思う」
健一「まあ、辞めたいって思ったことはないね。」
徹也「2年生のメンツも濃すぎ」
飛鳥「それなー。」
健一「楽しい環境で部活できてるから俺は、星の里入ったことにも部活入ったことにも後悔してないし、むしろ、恵まれたと思う」


2年生部員は多い上に、みんな仲良し。




怜樹「今年は県総体出れるよう頑張らなきゃ俺も。」
飛鳥「インドアの初戦敗退」
怜樹「うるせえ。今年の県総体西の森じゃん?だから出たいのさ」
健一「今の星の里高校の中で西の森出身って怜樹と修ちゃんだけ?」
怜樹「そうだね。俺的には、西の森のコートでもう1回試合したいってのが大きい」
飛鳥「まあ、次いつ行けるのか分からんしな」

西の森のテニスコートは、近年はあまり県大会の会場になることがなかったみたい。



徹也「飛鳥が彼女の会うところ見るのも楽しみだわ」
飛鳥「いやー、俺も楽しみだわ。」



みなさん、高校総体に向けて、頑張りましょう!